2021年1月3日

 夕方。Youtubeで「back number」と「マカロニえんぴつ」の曲を聴きながら、パソコンのキーボードを叩いている。群馬県出身の人気バンド「back number」の曲はどれもいいけど、昨年末にも聴いた「クリスマスソング」が好きだな。

 今年こそ、Gメッセ群馬でのback numberのライブを実現させたい。改めてお願いしてみよう。

 14時過ぎ。武藤健康福祉部長からの電話で、最新の新型コロナ感染状況の報告があった。本日、県内で判明した感染者は31名。昨日(42名)よりは減ったが、感染経路不明の割合が増えている(?)のが気になる。

 今日も、朝からずっと新型コロナのことばかり考えている。が、せっかくのお正月休みなのだ。普段は忙しくて書けなかったこと、日頃から感じていることを「徒然なるままに」書いてみたい。

 昨年の大晦日、2つの大きな格闘技のイベントがあった。1つはボクシングの世界タイトルマッチ。日本人初の4階級制覇を成し遂げている井岡一翔選手と3階級制覇王者の田中恒成選手の日本人最高峰対決だ。ボクシングファンとしては、絶対に見逃せない一戦だった。

 もう1つは総合格闘技。RIZINバンタム級王者の朝倉海選手と前王者、堀口恭司選手との(やはり)タイトルを賭けた戦い。これも、皆が心待ちにしていた試合だ。

 どちらの舞台にも、スゴい結末(ドラマ)が待ち受けていた。

 現チャンピオン同士の世紀の対決は井岡選手に、新王者と前王者の対決は堀口選手に、それぞれ軍配が上がった。何より嬉しかったのは、群馬県(高崎市)出身の堀口選手が現王者の朝倉選手にリベンジを果たし、自身が返上したベルトを奪還したことだ。

 この2つの試合に共通するキーワードは「ベテランの叡智」の威力。井岡選手と堀口選手の鍛え抜かれた技術と経験(引き出しの多さ)が、「レジェンドを倒して次の時代に駒を進めようとする」若い野望を見事に押し返した勝負だった。

 今から24年前、37歳で国会議員になった。以来、一貫して「政界の世代交代」を叫んで来た。実は、今も「世代交代論者」だ。が、大晦日の2つのドラマ(ベテランの奮闘ぶり)を目の当たりにして、こう思わずにはいられなかった。

 「そう、若ければいいってもんじゃないんだよな」と。

 知事になってから、特にそう感じる場面が多い。

 だって、そうでしょう?!若いから健康だとは限らない。若いから流行に敏感なわけでもないし、若いからグローバルな視野を持っているわけでもない。もっと言うと、若いからクリーンだ(=古い政治体質に染まっていない)とも限らない。ましてや、若いから、思い切った決断や行動が出来るわけでもない。

 持論として、「老害より若手の勇み足の方が絶対にマシだ」と思っている。が、最近、若い癖に「やけに計算高くて、老獪に(?)立ち回ろうとする」つまらない政治家がやけに増えている気がする。

 昔から、こういうタイプの人たちには、全く魅力を感じない。若さの武器って、やんちゃで、無鉄砲なことだ。そうは思いませんか?

 今月、1月24日に63歳になる。が、大晦日の夜、1ラウンドでTKO勝ちを決めた堀口選手が、珍しく勝利の雄叫びを発する姿を見て思った。「よしっ、オレも頑張らないと。まだまだ次世代には負けられない!」と。

 筋トレで肩と腕を痛めたり、以前よりトイレが近くなったり…。ここ数年、加齢による身体の変化を嫌でも感じている。そうした変化は自然に受け入れていけばいい。が、それでも「健康である」ための努力は今年も続けていく。

 まだ30分、休まずに走れるし、歌のキーも変わっていない。63歳になっても、体脂肪15%と体内年齢40代は維持しようと心に決めている。郷土の誇りである堀口選手に、勇気とエネルギーをもらった。(感謝X20)

 さて、何度も言っているように、誰からも評判のいい政治家など、どこにも存在しない。そもそも完璧な人間はいないし、世の中に絶対的な評価の基準もない。ある人にとっては長所に見える性格が、他の人から見ると短所に映る。好き嫌いって、理屈じゃない部分がある。

 だからこそ、(いつも言っているように)政治家の通知表は「選挙の結果」しかないのだ。どんな理由をつけようと、選挙での得票が有権者の評価だ。選挙の強い政治家は民意の支持を受けているし、選挙の弱い政治家は地元で人気がない。得票が伸びれば、評価が上がっている。逆に減れば、人気が衰えている。それだけのことだ。

 知事が県政を進めていく上で重要なのは、県民の真の声を感じ取ること。そのためには、極論を唱える「noisy minority」(騒がしい少数意見)に惑わされず、「silent majority」(物言わぬ大多数)の気持ちを把握することが不可欠だ。

 その意味で言うと、昨年の10月、「県民が山本県政の1年間をどう評価しているか?」を調べる独自の世論調査を実施したことは正しかったと思う。正直言って、コロナ禍での調査は、かなり勇気の要ることだった。実は、厳しい数字を覚悟していた。

 過去のブログでも取り上げたこの調査のサンプル数は1500。一昨年の12月に行った知事選前の独自調査(約3000サンプル)と比較すると数は少ない。が、いわゆる主要メディアの世論調査と比べも(色々な意味で)遜色はない数だ。それほど大きな誤差はないと考えている。

 結果は、「大いに評価する」「ある程度評価する」を合わせて72%。新型コロナ対策を評価する人は67%だった。

 振り返ると、反省すべき点は山ほどある。が、それでも7割を超える県民の方々に、「少なくとも新しい知事は、あらゆる問題に懸命に取り組んでいる」と評価していただいていることが分かった。その点は、素直に嬉しかった。

 この世論調査のデータは、さっそく(その週の庁議で)県庁幹部と共有した。そりゃあ、そうだろう。この数字は、知事の力というより、県庁全体で力を合わせて頑張ってきたことに対する県民の見方を表しているのだ。県庁職員の人たちにとっても、これ以上、励みになる話はない。

 何をやるにも、先ず「正確な事実」を掴むことが大事だ。自らに都合のいい思い込みや希望的観測から、効果的な対策や戦略など出て来るわけがない。「あの会合であの人たちが褒めていた」とか、「こんな場所で、こんな人たちが悪口を言っている」とか、そんな曖昧な情報にいちいち振り回されるのは愚の骨頂だ。実際、そういう政治家に限って選挙が弱い。

 自らの置かれている状況や本当の実力を知るために、具体的なデータを集め、様々な角度から分析する。それが耳の痛いことであっても、受け入れにくい不愉快な情報であっても、ありのままの現実を受け入れる。全ては、そこから始まる。

 ある欧米の有識者が、「日本の行政はもちろん、ビジネスを含む社会全体に、データサイエンスを重視する感覚が不足している気がする」と話していた。全く同感だ。

 あ、気がついたら19時。夕食の時間だ。