2020年11月14日:パート2

 19時過ぎ。蜂蜜入りのヨーグルトを食べた。NBCのニュースを見ながら、本日2本目のブログ(前回の続編)を書き始めた。依然として敗北を認めていないトランプ大統領の陣営が、少しづつ追い詰められている。まだ紆余曲折はあるかもしれないが、米国大統領選挙の結果がひっくり返ることは、(あらゆる意味で)あり得ないと思う。

 さあ、ここからは前回のブログの続編。

 改めて強調しておく。群馬県は、政府が実施する「Go To トラベルキャンペーン事業」の趣旨に一貫して賛同している。知事としても、ずっとそう言い続けて来た。「Go to トラベル」に関して、政府と県の考え方に違いはない。もちろん、「感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図っていく」という方向性も同じだ。

 実際、この事業は、群馬県の地域経済の回復を後押ししてくれている。1つ、分かりやすい具体例を示したい。群馬県では、極端に落ち込んだ県内観光地の経済を立て直すため、この6月、7月に、「愛郷ぐんまプロジェクト〜泊まって応援キャンペーン」という事業を実施した。

 県民による県内旅行の宿泊費を補助するこの事業には、遠方(県外等)への旅行より、身近な地域(県内)での観光を推奨する「マイクロツーリズム」の思考を定着させるという狙いもあった。

 結果として、上記の「愛郷ぐんまプロジェクト」は、予想以上の効果を上げた。成功の要因はいろいろあると思う。が、最も大きかったのは、7月下旬から始まった国の「Go Toトラベルキャンペーン」との相乗効果だった。

 実際、観光庁の宿泊統計調査によると、7月の観光を目的とした宿泊者数で見た場合、群馬県内の温泉地の数値が、前年比で全国で最も大きい回復を示していたと分かった。さらに言うと、8月以降も、「Go To トラベル事業」が、地域経済の回復に大きく寄与していると分析している。

 新型コロナ感染症への対応に関しては、1つ、頭に入れておかねばならないことがある。それは、日本が感染の第1波に見舞われた4月前後の時期と比べると、ウイルスの正体が「かなり解明されて来た」という事実だ。

 同月、国から7都道府県を対象とした緊急事態宣言が出され、さらに対象が全国に拡大された頃と比較すると、様々な知見が積み重ねられている。例えば、基本的な感染防止策(こまめな手指消毒、マスクの着用、適切な換気)を徹底すれば、感染のリスクを低減出来ることが分かっている。

 さらには、PCR検査数の数も増加し、抗体検査の導入等によって、結果も早く診断出来るようになった。先般、医療機関関係者の感染者の情報公開に関して、「原則、公開する」という方針を見直したのも、その一環だ。

 すなわち、「感染防止と社会経済活動の両立を図る」という視点に立ちつつ、新型コロナ対策も、現状に合わせて柔軟に手直ししていく必要があるということだ。そのことを頭に置いた上で、次回の知事会見から、「不要不急の移動自粛」という表現を修正したいと考えている理由を説明する。

 今年の8月に入ってから、群馬県内では、県外行動歴のある新規感染者の増加が顕著になった。この状況を受けて、人口10万人当たりの新規感染者の数値を用いた基準を設定。以来、週1回の定例知事会見では、毎回、基準値を超える都道府県を示し、そうした地域への「不要不急の移動自粛を求める」という言い方で、県民の方々に対する注意喚起を行って来た。

 「不要不急の移動の自粛」の対象となる都道府県は、数値に基づき定期的に見直すことにしていた。前回のブログでも触れたが、これまでの対象地域は、東京や沖縄を含む数都県に留まっていた。それが、今回の第3波(?)の襲来により、一気に8県に増えていた。そのため、県の方針が、今まで以上に注目を浴びたのだ。

 ちなみに、GoToトラベル、またGoToイートなど、政府の進めるGoTo事業の対象として選定されているのは、感染対策が取られた旅館やホテル、飲食店等だ。群馬県としては、国のこのルールに沿った形で、(県内外の人たちに)「十分な感染対策を取った上での事業の活用」を呼びかけて来ている。

 以上の流れを見れば、ここ最近、知事が記者会見で使って来た「不要不急の移動自粛」という表現は、緊急事態宣言が発出されていた当時の「不要不急の移動自粛」とは、ニュアンスが異なると分かってもらえるはずだ。

 「県が設定した基準値を超えた(=要請の対象となる)都道府県への移動は慎重に判断して欲しい」「同時に、その地域での行動も慎重に行ってもらいたい」というのが、知事の真意だった。

 しかしながら、単語の持つ意味を考えると、「Go Toトラベルをめぐる政府との見解の違い」を指摘されても仕方がない表現だ。県の考え方に関する説明も不十分だった。

 こうした反省を踏まえ、今後は「不要不急の移動の自粛を求める」のではなく、「特に慎重な行動をお願いする」という表現に改めたいと思う。

 新型コロナウイルスは、(予想以上に)手強い。欧米の窮状を目の当たりにして、改めて長期戦+持久戦を覚悟している。新型コロナ対策については、引き続き政府とも、しっかり連携、協力していく。感染状況を注視しながら、臨機応変な対策を練る。

追伸:
1.4月の緊急事態宣言の前後は、各都道府県が「不要不急の移動自粛」という表現を多発していた記憶がある。が、最近は随分、言い回しが変わって来ているようだ。

 例えば、ある県は首都圏との往来に関して、「やむを得ない場合を除き、出来るだけ自粛」という表現を用いている。群馬県以外は、「慎重に」「注意」といった言葉が主流になっている感じだ。

 また別の県では、東京や北海道については、「往来の必要性を検討した上で慎重に判断。往来する場合にあっては慎重な行動」を求めている。先の2地域より感染状況が低いレベルにある茨城県に関しては、「感染防止対策を徹底した上での慎重な行動」を呼びかけている。

 群馬県は、「実態を踏まえた表現の調整が少し遅れた」ということか。

2.群馬県の事情は、地元の知事である自分のほうが政府より詳しく把握している。当然のことだ。が、他の都道府県の状況は、よく分からない。今後の感染状況によっては、政府の判断で「Go Toキャンペーン」の内容が修正される可能性もあるだろう。

 もちろん、県民を守るために必要だと思った時は、逡巡なく行動する。今後の展開によっては、県民の皆さんに対して、感染リスクの高い場所への「移動の自粛」を、改めて(より強い言い方で?)要請する場合だってあるかもしれない。

 それはそうとしても、現在、地域の観光振興(地域経済の回復)を目的とした「Go Toトラベルキャンペーン」が、全国に展開中なのだ。加えて、新型コロナ流行の第3派に直面している都道府県の知事の人たちも、(事業の対象から外されないように)必死に感染拡大を押さえ込もうと努力している真っ只中なのだ。

 人口あたりの新規感染者数のデータを参考にしているとはいえ、要請の対象として発表した都道府県との往来に関して、群馬県知事である自分が、以前と同様の「不要不急の移動の自粛」などという表現を使っている。このことを不快に思った知事だっているかもしれない。

 特に誰からも文句は来ていないが、他の都道府県に対するデリカシーが「やや欠けていた」気もする。関係都道府県の知事の皆さん、ごめんなさい。