2020年11月3日

 先週の定例会見では、豚熱(CSF)対策の現状報告に加え、新たな緊急対応についても発表した。養豚は群馬県にとって、農業生産の2割占める重要な産業だ。先般の豚熱発生を踏まえたその後の対応を、しっかり記しておきたい。
 
 先ずは、県内全ての養豚場に一斉実施をお願いした「衛生管理に関する自主点検」の結果を報告する。ブログの末尾に添付したスライドに整理してある。

 点検は、疫学調査チームから指摘のあった項目を中心に、県内233の全ての農場に実施してもらった。

 点検の内容は、「出入りする車両の消毒」「畜舎に立ち入る者の手指消毒」「衛生管理区域内の整理整頓・消毒」「畜舎ごとの専用衣服・靴の使用」「敷地内の整理整頓」「防護柵などの野生動物侵入防止対策」「防鳥ネットなどの設置」を含む14項目だ。

 点検を実施した農場のうち、「出入りする車両の消毒」や「畜舎に立ち入る者の手指消毒」といった、ごく基本的な事項が徹底されていない農場が15ヶ所あることが確認された。これら15農場での飼育豚数の総数は約2万頭。この数字は、県全体の飼育豚数の3.1%程度にあたる。比較的規模の小さい農場が多かったことが分かる。

 上記の一斉点検を受けて、以下のような対策を打ち出した。

(1)豚熱対策が特に不十分だった15農場に対しては、家畜保健衛生所が緊急的に個別指導を実施。基本的な事項に関しては、既に全農場での改善を確認している。
 
(2)その他の農場に対しても、改善すべき点を指摘。個々の農場に、随時、改善の指導を行っていく。

 特に「畜舎ごとの専用衣服の着用」「敷地内の整理整頓」等、農家の自主的な改善が可能な部分については、家畜保健衛生所の指導のもと、改善作業を進めている。年内をめどに、全ての農場の「14項目適合」を目指す。
 
(3)「防鳥ネットの設置」等、施設改修が必要なものに関しては、現場の状況を直接確認しつつ、早期の導入を図る。

 県内の養豚農家の方々が、これまで豚熱対策のために、どれほどの努力を重ねて来たか?!今も不安と緊張の中で、日々、どれほど懸命に頑張ってくれているか?!知事である自分も、よく分かっている。県としても最大限の方策を講じて来たつもりだ。

 にもかかわらず、(結果として)豚熱の発生を防げなかった。(無念)政府の疫学調査チームからは「(発生農場の)飼養衛生管理が不十分だった」と指摘されてしまった。

 県としても、この冷徹な現実を真正面から受け止め、関係者に対する必要な指導を徹底していくつもりだ。

 その②では、新たな緊急対策について触れる。