2020年10月11日:パート2

 少し前に、危機管理監に電話した。台風接近による群馬県内の被害は報告されていないとのこと。熱いジャスミンティーを飲みながら、本日2本目のブログを書く。

 過去のブログで何度となく言って来たが、養豚業は群馬の農業産出額の2割を占める主要産業だ。本州最大の養豚王国である群馬県の養豚業を守り抜くため、豚熱(CSF)対策には、(知事として)常に先手先手で取り組んで来たという自負がある。

 それだけに、今回の豚熱の発生はショックだった。臨時会見では、「痛恨の極み」という言葉しか出て来なかった。が、直ぐに気持ちを切り替えた。最も重要なのは原因を突き止め、感染拡大を防ぐことだ。

 国の疫学調査チームによる調査結果を見た上で、必要な対策を早急に打ち出したいと考えていた。

 9月27日から国と県の獣医師で構成される疫学調査チームが、現地で豚熱の発生要因についての調査を実施。10月7日に開かれた「第13回拡大CSF疫学調査チーム検討会」で、調査結果が公表された。

  ブログの末尾に添付した疫学調査チームの検討結果概要を整理したスライドを見て欲しい。

  「農場へのウイルスの侵入要因」としては、「離乳豚の飼養箱に防鳥ネットが未設置だったため、カラス等の野生動物の侵入が容易だったこと」「近隣の感染野生イノシシ由来ウイルスが、車両や野生動物の出入りを介して侵入した可能性があること」などが挙げられた。

  「通報までの経緯」は、次のように報告されている。
 
 当該農場では、9月上旬から離乳豚の一部に下痢と死亡を確認していた。この時、農場主は、以前哺乳豚で確認された浮(ふ)腫(しゆ)病(びよう)を疑っていた。
 
 9月17日に、家畜防疫員が行った下痢便の検査においても寄生虫が確認されたため、直ちに豚熱と解釈することが難しかったと見られる。
 
 ところが、ワクチン接種を見送っていた豚群からも異状豚が増加。その時点(9月25日)で、家畜保健衛生所に通報がなされた。

 同時に、「発生予防対策」として、次のような対策が求められた。

(1)飼養豚の毎日の健康観察はもちろんのこと、ワクチンを使用していても下痢や死亡頭数の増加が見られるなどの豚熱を疑う症状が確認された場合には、早期に遅滞なく家畜保健衛生所に通報・相談してもらう体制の構築。

(2)「母豚の移行抗体が低下する離乳豚舎での飼養衛生管理の徹底」に加え、「農場に入る車両の消毒」「豚舎ごとの長靴や作業着の交換」「防護柵周囲の除草」「豚舎等への防鳥ネット設置」等の適正な飼養衛生管理の徹底。

 上述した疫学調査チームの報告を受け、県として3つの重点対策を講じることを決めた。対策の中身は次回のブログ(その2)で。