2020年9月27日

 20時過ぎ。プロテインバーをかじりながら、熱いミルクティーを飲んでいる。ようやくブログを更新する時間が出来た。(ふう)

 昨日(26日)夜の臨時会見で発表した豚熱(CSF)発生に関する情報を掲載する。

 前回のブログでも述べたが、 豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)対策には、昨年夏の知事就任以来、最重要課題の1つとして真剣に取り組んで来た。国や市町村とも連携しつつ、国内有数の生産県である群馬県の養豚業を守るために全力を尽くして来た。

  例えば、昨年9月、知事就任2ヶ月目で、豚熱(CSF)対策としては全国的にもトップクラスに手厚い「緊急総合支援」を打ち出した。この中で、野生イノシシの侵入防止柵の設置費用を、市町村と協力して支援する仕組みを構築した。緊急総合支援の予算に関しては、県議会からも全面的な支援をいただいた。

 更には、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)ウィルスの侵入を防ぐための消毒ポイントの設置などの対策も迅速に実施した。

  加えて、安倍総理(当時)や江藤農水大臣(当時)にも直接会って、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布や飼養豚に対するワクチンの接種を要望した。出来る限りの対策を、先手先手で打って来たつもりだ。

 さらに言うと、県内の養豚農家を含む関係者の皆さんが、相当な緊張の中で、必死に頑張って養豚場を守って来たこともよく知っている。にもかかわらず、恐れていたことが現実になってしまった。知事としては、まさに「痛恨の極み」としか言いようがない。

  しかしながら、発生してしまった以上は、冷静かつ迅速に、これ以上感染を広げないための対策を講じていく。ここに全力を傾注していくしかない。
   
 新型コロナウィルス感染症については、なかなか収束の道筋が見えない。その中で、もう1つの緊急事態に直面することとなった。当然のことながら、県職員も休日返上で対応を続けている。が、今回の事態に対しても、関係市町村、畜産農家の方々等と力を合わせ、しっかり押さえ込んでいく。
 最初に、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)の発生状況について説明する。ブログの末尾に添付したスライドで簡潔にまとめてある。

 今回、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)の感染が確認された農場は、高崎市に所在する農場。豚の飼養頭数は、5390頭となっている。
   
 この農場の3㎞圏内には他の農場はない。家畜伝染病予防法に定める家畜の移動制限の対象となる農場はないということだ。
 
 また、10㎞圏内には他に18の農場があるが、全てワクチン接種済みであることから、これらの農場における搬出制限も適用されない。
   
 ちなみに、農場の持ち主の名前や農場の所在地等の情報については、県の防疫マニュアルに基づき、風評被害防止や部外者等の立ち入りによる感染拡大防止の観点から非公表とさせていただく。この点はご理解をお願いします。

 次に、県に第一報があってから、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)の患畜判明までの経緯について報告する。これも末尾のスライドに時系列を記載した。

  一昨日の(25日)昼12時15分、今回豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)が発生した農場から、県西部家畜保健衛生所に対し、豚の死亡が増加している旨の最初の連絡があった。

 これを受け、16時55分に県家畜衛生研究所で検査を開始。遺伝子検査の結果、本日の未明、午前4時25分に、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)の感染が疑われる旨の結果が判明。
 
 その後、国に検体を送付し、遺伝子解析を行ったところ、17時に、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)患畜であると確定された。これが大まかな流れだ。

 第一報が県に届く前の状況に関しても、農場への聞き取り等を行なっている。

 それによると、当該農場では、9月初旬から、離乳舎で子豚の下痢を主徴とした症状が見られたとのこと。その後、散発的に子豚が死亡。連日の死亡事例も発生したため、一昨日、西部農業事務所に通報を行ったとの説明だった。

 今回の事態を受けての今後の県の対応についても説明する。昨日以降の当該農場に対する対応は以下のとおりだ。

  当該農場における飼養豚については、ワクチン接種の有無にかかわらず、全頭の殺処分を行う。 殺処分後は、農場近くの農場主の所有する私有地に埋却する。昨晩から作業を始めている。

 処分に際しては、県外の獣医師や自衛隊に協力依頼をするとともに、農政部を中心に、1日当たり380人の県職員を動員し、作業に当たる。1日あたり2000頭の処分を行う予定。3日間での作業完了を目指す。前述したとおり、発生が確認された直後から、県としての防疫措置に着手しているが、出来る限り迅速にプロセスを進める。

 ブログの冒頭でも言及したように、これまで、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)対策については、隣県で発生事例が散見された直後から、県の最重要課題と位置づけて来た。ワクチン接種の早期実現はもちろんのこと、考え得るあらゆる対策を講じて、本県における発生防止に全力を尽くして来た。

  今回、豚(ぶた)熱(ねつ)(CSF)が発生した農場では、野生イノシシの侵入防止柵もいち早く設置し、相当な注意を払って飼養を行なっていたとも聞いている。それでも(結果として)発生を防げなかった。現実を冷静に受け止め、改めて出来得る限りの対策を通じて、豚熱を封じ込めていく。これ以外にはない。

  今後は、国と連携し、早急に侵入経路の究明と疫学調査を進める。昨日の夕方、野上農林水産大臣とも連絡を取った。大臣と知事が連携を図っていくことで一致した。

  県内の養豚農家、農場主の方々には、日々の飼養衛生管理基準の遵守を更に徹底していただくよう、改めてお願いしたい。

 県民の皆さん、豚熱(CSF)は、豚やいのししの病気です。人間に感染することはありません。感染した豚の肉が市場に出回ることもありません。万一、感染した豚の肉を食べたとしても、人体には何の影響もありません。ぜひ、正確な事実に基づく冷静な対応をお願い致します。

追伸:

1.昨晩の知事会見を受け、本日午前10時から第2回の対策本部会議を開いた。県庁全体で最新情報を共有すると同時に、今後の防疫措置の進め方等を議論した。

2.本日16時30分に報道提供した豚熱防疫措置の進捗状況(27日15時現在)は次のとおり。

<発生農場>
所在地:高崎市
飼養状況:豚、約5390頭

<防疫措置>
(1)殺処分の開始 9月26日(土)21時00分
(2)殺処分の実施 1、120頭(20、8%完了)
(3)作業従事者 133人(累積)

<その他>
(1)豚熱は、豚・いのししの病気であり、人に感染することはありません。
(2)現場での取材は、本病のまん延を引き起こすおそれがあること、農家の方のプライバシーを侵害するおそれがあることなどから厳に慎むよう御協力をお願いいたします。特に、ドローンやヘリコプターを使用しての取材は防疫作業の妨げをなるため、厳に慎むようにお願いいたします。
(3)今後とも。迅速で正確な情報提供に努めますので、生産者等の関係者や消費者は根拠のない噂などにより混乱することがないよう、御協力をお願いいたします。