2020年6月29日:パート2

 22時30分。高崎の自宅にいる。

 つくづく思う。政治家の原動力は「志」だ、と。「志」があれば、どんな逆境も乗り越えられる。どんな嫌なことにも耐えられる。そして、「志」は誰にも止められない。

 基本的に「直球」で勝負する。本当に大事なことを、誰かを介して「やんわりと伝える」みたいな手法は使わない。自らの意思は、自らの言葉で伝える。逆に言うと、本人が口にしないことは、本人の意思ではない。

 夕方。水上温泉郷の法師温泉に足を運んだ。自民党県議団有志による「温泉文化研究会」と群馬県温泉協会が主催する合同研修会に出席するためだ。法師温泉が新潟の県境近くにあることを、すっかり忘れていた。15分で行ける場所だと勘違いしていた。

 現地までの所要時間は約1時間半。挨拶の直後に、引き返さねばならなかった。どうしても18時30分までに、高崎に戻らねばならなかったからだ。皆さん、本当にごめんなさい。法師温泉も「クール群馬」の1つ。ぜひ、どこかで一泊したい。

 少し前に、自民党政務調査会の「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策PT」が、政府に手渡した対策PRの提言を読んだ。とてもよくまとまっていると思う。

 この提言を踏まえ、政府には、是非とも(次期臨時国会を念頭に)法改正やその他必要な対応を早急に行なっていただきたい。

 提言の冒頭の「背景」では、SNSの普及等に伴い、ネット上の誹謗中傷、人権侵害等が年々増加していると指摘。子どものネットいじめ、新型コロナによる医療者・事業者等に対する被害が増加していること。加えて、ネット上の誹謗中傷等で自死に追い込まれる被害者も発生していることにも言及。問題が深刻化していると分析している。

 現行でも、プロバイダ責任制限法上の規定(権利侵害情報の削除・発信者情報開示、民法上の損賠賠償請求、刑法上の名誉毀毀損罪・侮辱罪等)はあるものの、被害者にとって実効性のある対策とはなっていないという点は、全くその通りだと思う。

 被害の増加を受けて、諸外国では制度改正により対策を強化している。が、日本は長年、制度改正を行なっていない。ここも重要なポイントだ。

 対策の根幹は、「表現の自由に十分配慮しつつ、被害者救済の実効性を強化する」こと。その上で、対策の中身を、(1)民事上の対応の強化(2)人権擁護機関等による対応の強化(3)刑事上の対応の強化(4)ネットモラルの理解促進、相談対応強化に分け、それぞれ必要な対策を列挙している。

 特に民事上の対応の強化の中で挙げられている「対処すべき個人の権利侵害の明確化」「発信者情報開示の円滑化」「プロバイダの迅速な解除の促進」等は急務だと考える。

 「表現の自由」を重視すべきなのは言うまでもない。しかしながら、表現の自由を守ることと、ネット上で誹謗中傷を受けた被害者を救済するために、情報発信者(加害者)の特定を容易にすることは、全く次元の違う話だ。

 マスコミ報道によると、総務省の有識者会議が議論を始めている。「SNS上で名誉毀損にあたる書き込みをした発信者を、短時間で特定出来る新たな仕組みを作る」流れになっているようだ。現行のプロバイダ責任制限法の改正を睨んで、7月に対策を取りまとめるとのこと。総務省にも、ぜひ頑張って欲しい。

 上述した有識者会議では、あるメンバーがこんな趣旨の意見を述べたらしい。「裁判を覚悟した人しか、インターネットで表現出来なくなる可能性がある」と。

 この理屈、何かがおかしい。というより、絶対に間違っていると思う。

 気がつくと午前零時を回っている。寝る前に運動しないと。