2020年5月31日:パート2

 夕方。熱いほうじ茶を飲みながら、パソコンのキーボードを叩いている。

 今回の知事独自の特措法改正案の作成に関しては、森原政策アドバイザー、宇留賀副知事、片貝補佐官、参院法制局への派遣歴がある職員等に知恵を借りた。(感謝)いつも言っているように、群馬県庁は人材が豊富だ。

 知事独自の新型コロナ特措法(正確には「新型インフルエンザ等対策特措法」)改正案の4つの柱について、それぞれ簡潔に解説する。

1.国等と都道府県との役割分担の明確化

①国が基本的対処方針を定めるにあたっては、「地方公共団体が地域の特性に応じた対策ができるようにしなければならない」こととする。現行の法律では、基本的対処方針の中で、国の地方公共団体への関与(協議)が規定されている。が、これを法律の本体に書き込む。

②地域の実情に応じた出口戦略を可能とするため、緊急事態宣言の解除に関する知事への意見聴取手続きを法定化する。現行法には、緊急事態宣言の解除に際して、現場を最もよく把握している知事への意見聴取の手続きが定められていない。

③保健所を設置する市又は特別区が行う感染症法に基づく事務に関し、必要な限度において、都道府県知事が市長又は区長に対し指示を行えるようにする。

2.営業制限の強化

①営業の制限・停止について、「命令」の制度を導入する。現行法においては、営業制限違反への対策が、罰則を伴わない「指示」にとどまっており、実効性のある対応が難しい。ただし、命令制度については、現行法で法的位置付けが不明確な「特定警戒都道府県」を法定化し、指定された特定警戒都道府県の知事だけが執行出来る仕組みとする。他方、個人の外出自粛についての命令制度は導入しない。

②命令に違反した者に対して、30万円以下の罰金を課す。

3.営業制限の損失補償

 営業の自粛要請、制限、停止について、損失補償の制度を導入する。現行法には、営業制限に対する損失補償の規定がない。このことを踏まえ、都道府県の弁済費用を国が段階的に負担する規定を定める。

4.地方公共団体の財源の確保

 新型インフルエンザ等に伴う地方税等の徴収金の減免による減収や対策にかかる経費を補う場合に、起債発行が出来るようにする。現行法には、地方債の特例に関する規定がない。

 法律の施行期日については、交付の日の翌日(2の②に関しては、公布の日から起算して6月以内の範囲内において法令で定める日)とする。

 以下、法律案の要綱と、新旧対照条文も添付する。この続きは、その3で。

<知事独自の特措法改正案〜要綱と新旧対照条文>