2020年5月24日

 13時。高崎の自宅で、新型コロナウイルス関連の資料を読んでいる。NBS、MSNBS、CNN、BBC、China Focus等のニュースで、世界の情勢もチェックしている。

 感染爆発の真っ只中にあるブラジルで、30代、40代の死者が激増している。新たな医療崩壊を目撃しながら、「ウイルスが変異を繰り返しているのではないか?」という不安を抱いてしまう。自分は心配性なのだろうか?!

 報道によると、明日、首都圏の4都県と北海道で、緊急事態が全面解除になるようだ。結果として、日本はG7諸国の中で、最も上手く新型コロナウイルスの感染第1波を抑え込んだということになる。いろいろ批判はされているが、政府(安倍政権)のここまでの奮闘努力に、心からの敬意を表したい。

 何度も言っているように、「見えない敵」との戦いは長期戦だ。今後、どこでどんな局面が待ち構えているのかは、誰にも分からない。その1でも触れたが、今の段階で、「どの国が勝ち組で、どの政府が負け組なのか?」なんて判断出来るわけがない。「新型コロナ対策で誰が株を上げたとか、誰が評価を下げたとか」を決めつけるのも早過ぎる。

 第2波、第3波の展開によっては、世の中の雰囲気はガラリと変わる。対策の中身はもちろん、リーダーに対する評価も一変する。ましてや、この後、地域経済(国民生活)への深刻な影響が表面化する。経済へのダメージは予想以上に大きい。知事の知恵と手腕が問われるのは、まさにここからだ。

 繰り返すが、最も重要なのは、(県民の意識も含め)「長期戦に耐え得る態勢」を整えることだと考えている。その点を踏まえ、大型連休中に記したブログ・シリーズ「新型コロナ対策の評価をするにはまだ早い〜長期戦の戦略とは?」の続編(その3)を書く。

 その2で、こう記した。「長期戦(持久戦)を戦い抜くために重要なことが4点ある」と。「昨年の知事就任以来、常のこの4つを念頭に県政を進めて来た」とも。4つのポイントとは、以下のとおりだ。

(1)県庁職員のモラルを高め、彼らの能力を最大限に発揮してもらう環境を整えること。
(2)県内市町村との連携を強化し、対策の実効性を高めること。
(3)県議会との安定した関係を通じて、政策実現力を確保すること。
(4)あらゆる手段で県民に正確な情報を伝え、民意の支持を得ること。

 先ずは、(1)の「県庁職員に最大限の能力を発揮してもらう」ことを重視している理由から解説したい。

 昨年の知事選挙では、公約の柱に「県民の幸福度の向上」を掲げた。幸福度という観点からも、今、県が「新型コロナの脅威から県民を守る」ことを最優先するのは当然だ。

 この4月に入庁した新規採用者に向けて、知事の動画メッセージを発信した。その中で、「大変な時期ではあるが、力を合わせて頑張ろう。私たちは、責任も取れない癖に、外から批判ばかりしている傍観者ではない。当事者だ。責任は重いが、直接、県民のために働ける、県の発展に貢献出来ることを誇りに思って欲しい」と訴えた。

 翌日、複数の若手職員から、「知事の言葉、心に響きました」というメールが届いていた。スゴく嬉しかった。すぐに返信した。

 ただし、知事にとっては、公務員である県庁職員の人たちも、自身の生活や家族の幸せのために日々、真面目に生きている「大切な県民」だ。そのことを忘れてはならないと思う。

 そもそも、同じ志のもとで働いている県庁職員の大多数が「不幸」だと感じていたら、そんな知事に、県民の幸福度を上げることなど出来るわけがない。そうでしょう?!

 組織のリーダーにも、いろいろなタイプがある。よく言われるのは、「トップダウン型か調整型か?」みたいな区分だ。組織によって、個々の事情や状況が違う。どちらのスタイルがいいなどという正解はない。ましてや、地方自治体の首長の場合、地域の特徴や住民の意識も異なる。

 山本一太知事はどうだろうか?独断先行型ではないが、優柔不断でもない。常に心がけているのは、県庁の総合力を最大化することだ。そのためには、県庁職員1人1人のモラルを高め、彼らの潜在能力を最大限に引き出せる環境(空気)を醸成することが、とても重要だと思っている。

 あ、お湯が沸いた。熱いミルクティーを飲んでから、片貝首席補佐官に電話する。

追伸:大型連休が始まってから約1ヶ月。この期間は、自分の人生の中で、恐らく最も辛い1ヶ月だった。詳しいことは言わない。が、当たり前だと思っていた「日常」が失われることが、こんなに苦しいものだとは知らなかった。

 20年前に書いたオリジナル曲「マルガリータ」(誰も知らないと思うが)の歌詞が、時折、胸を過ぎった。

 毎晩、いろいろなことを考えた。自分の中にある弱さに苛立ちを覚える夜もあった。が、逆に、「思ったより精神力が強靭である」ことも再発見した。全て自分が選んだ道だ。何があろうと進むしかない。

 The show must go on!!