2020年4月19日:パート2

 午後、高崎の自宅にいる。武藤健康福祉部長からの報告によると、今日も20件近いPCR検査が実施されるようだ。夕方(?)には、結果が分かるだろう。

 昨日のPCR検査で、藤和の苑の感染者が入院していた利根中央病院の3名の看護師の陽性が判明した。これには、少なからぬ衝撃を受けた。

 利根中央病院は、地域医療の最後の砦だ。この地域の救急搬送の4割以上を担ってもらっている。面積の広い北毛地域(利根沼田、吾妻)では、唯一、分娩と小児の入院機能を持つ病院だ。

 東日本大震災の被災地支援に加え、県の災害医療訓練への積極的な協力、他の病院の模範となるような院内災害訓練の実施、災害拠点病院としてのDMAT活動などに、熱心に取り組んでくれていた。

 新型コロナ患者と接する医師や看護師の方々も、かなり注意して治療に当たっていたに違いない。にもかかわらず、恐れていたことが起こってしまった。

 昨晩、横山沼田市長とも電話で話をした。県と市が協力してクラスター(集団感染)を食い止めると同時に、病院の再開に向けては、県としても、しっかり後押しをして行きたい。

 県内の院内感染を防ぐことと、介護施設での発生を抑えることは、医療崩壊を回避し、県民の命を守るために極めて重要だ。県としてどんな対策が出来るのか、緊急に検討する。

 医療関係者と言えば、新型コロナの治療に携わる医療関係者が差別的な対応を受けるケースが頻発しているらしい。報道によると、愛知県の病院に努める看護師のお子さんが、保育園から受け入れを拒否されたとのこと。とても胸が痛んだ。

 今回のような緊急事態では、誰もが疑心暗鬼になる。当然、感染者やその関係者への差別や偏見が広がりやすくなる。不安な気持ちは分かるが、差別や偏見は、社会全体にとってマイナスの影響しかない。

 特に懸念しているのは、「感染者や濃厚接触者に関わる情報は、とにかく何でも公表しろ」みたいな要求が高まることだ。

 世の中には、感染リスクを無視した無責任な行動を取っている人、体調が悪くても外出している人、自分が陽性とは気がつかないまま感染を広げている人々もいるだろう。しかしながら、基本的には、感染者は、新型コロナウイルスの「被害者」だ。感染が判明した人を「悪者」みたいに扱うことは、あってはならないと思う。

 何度も言ってきたように、感染拡大を防げるかどうかの最大の鍵は、感染ルートの解明だ。個人的には、感染経路の特定に繋がる「公益性の高い情報」は、出来る限り公開すべきだと考えている。

 他方で、個人のプライバシーの保護や風評被害等にも、十分、配慮しなければならない。繰り返すが、ウイルスに罹患してしまった人も、陽性者が出た会社や施設を経営する人も、真面目に頑張っている「同じ県民」なのだ。

 時には、難しい判断を迫られる時もある。その場合は、「何をどこまで情報公開出来るか?」を真剣に議論する。結局、ケースバイケースで決めていくしかない。

 少し前のブログで、「情報共有」と「情報公開」は違うと記した。次回のブログ②で、情報公開に関する知事の考え方を(改めて)明確にしておきたい。