2020年3月28日:パート2

 世界の政治リーダーたち、特に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に晒されている欧米諸国の大統領や首相は、毎日のように記者会見を開き、国民に向けてのメッセージ発信を続けている。

 例えば、米国のトランプ大統領、英国のジョンソン首相、カナダのトルドー首相等の会見は、YouTube Premiumで、ずっとフォローしている。

 国家のトップばかりではない。ニューヨーク州のクオモ知事の会見が注目を浴びていることは、前回のブログでも触れた。クオモ知事以外にも、米国の主要メディアに頻繁に登場し、州の現状を訴えている知事は多くいる。

 そうした会見の中で、彼らが必ずと言っていいほど口にするのは、最もリスクの高い医療現場の最前線で、必死の戦いを繰り広げている医療関係者に対する感謝の言葉だ。あのメルケル独首相も、3月16日の国民に向けた演説の中で、医療関係者への謝意を表明している。

 首脳たちのスピーチの中で最も印象に残ったのは、2週間くらい前にライブ配信されたトルドー首相のスピーチだった。どの国の首脳も言及するありきたりの謝意とは違う温かみを感じた。トルドー首相は、感情を込めて国民にこう呼びかけていた。

 「もしあなたが、最前線で頑張ってくれているお医者さんや看護師さん、医療関係者を見かけたら、もし知り合いにそうした人たちがいたら、感謝の気持ちを口に出そう。ありがとうと伝えよう。」

 医療関係者と言えば、24日、群馬県の館林厚生病院で、新型コロナウイルス感染症の診療にあたっていた医師(1名)の感染が判明した。もう1人の医師と2名のチームを組んで対応していたが、ほとんど休みの取れない状況が続いていたと聞いている。

 ご本人は、毎日、4、5回の検温で自らの体調を確かめ、診療時の防護服の着用等、感染防止のための十分な注意を払いつつ、全力で医療活動に従事していた。このことに関しては、(記者会見でも述べたが)知事として感謝を申し上げたい。

 この医師がなぜ感染したのかは、分かっていない。が、人的資源の不足も関係している気がする。そもそも、地域医療に携わる医療関係者の人たちは、ギリギリの状況の中で踏ん張ってくれているのだ。

 最近は、知事の定例記者会見でも、臨時記者会見でも、県内の医師や看護師を含む医療関係者の方々への感謝の気持ちを、必ず言葉にするようにしている。同じようなメッセージを発信している首長は他にもいるはずだ。

 しかしながら、日本のリーダーである安倍総理の口から直接、国内の医療関係者に対する感謝と敬意の気持ちを伝えてもらうことが大切だと思う。地方自治体の長と比べたら、国民に対するインパクトが圧倒的に違う。

 安倍総理に毎日、国民向けの会見をやって欲しいなどとは思っていない。日本と欧米では、政治文化も国民の意識も違う。仮に毎日、総理がTVカメラやペンの前で演説したら、途端に「メディアの政治利用だ」みたいな批判が巻き起こることは目に見えている。(苦笑)

 安倍総理、どんな機会でもいいのです。ぜひ、国民のために現場で必死に頑張ってくれている医療関係者の方々に(国民を代表して)感謝の気持ちを伝えてください。厳しい環境の中で「見えない敵」との戦いを繰り広げている医療関係の皆さんにとって、これ以上の励みはないと思います。

追伸:3月26日、英国のウイリアム王子とキャサリン妃の子どもたちが、英国の医療関係者に「感謝の気持ちを伝える拍手」をする映像がSNS上で公開された。この動画が、世界中で話題になっている。

 英国内では、大勢の人々が、同じ時間に医療関係者に感謝の拍手をするムーブメントが広がっているとのこと。この映像、何度見ても、本当に愛らしい。

https://www.instagram.com/p/B-NZ0tSFc0X/?utm_source=ig_web_copy_link