2019年12月29日

 

 12月18日。東京高裁が、4月の県議選における陣営の公選法違反で辞職した南波和憲 前自民党県議に対する連座適用を認め、5年間の立候補禁止を言い渡した。

 これは、かなり厳しい措置だ。詳しいことは書かないが、この判決には、連座制の適用を訴えた検察側の強いメッセージが込められている気がする。

 5月下旬、南波前県議が辞職を表明した際、複数の地元メディアから感想を求められた。群馬県選出の自民党国会議員(前自民党県連会長)として、次のような趣旨のコメントをした。

 「南波県議の地元は自分と同じ吾妻郡。県議会の重鎮であり、吾妻のために、長い間、尽力されてきた方だけに、大きなショックを受けている。まだ真相はよく分からないが、こんな形で政界を去られることになったのは、とても残念だ!」

 同時に、こんな趣旨のことも言った。

 「それはそれとして、また県内で、しかも自民党現職県議の選挙をめぐる『政治とカネの問題』が発生してしまったことに関しては、自民党所属の国会議員の1人として重く受け止めている。」

 「その点を踏まえ、先ずは、県民(国民)の皆さんに心からお詫びを申し上げたい。こういうことが起こる度に、県民(国民)の政治不信が強まってしまう。自分自身も含め、1人1人の政治家が再度、襟を正さねばならないと強く感じている!」

 同じタイミングだったが、少し後だったかはよく憶えていないが、(同様の取材に対して)何度か以下のような発言をした記憶もある。

 「どこかの新聞記事にもあったが、私の地元でもある吾妻郡の方々は、とても困惑している。ご本人の口から、ちゃんと事情を説明して欲しいという声も多い。どこかで説明の機会を持たれたほうがいいのではないか?」と。

 前回のブログで言及したように、12月19日の記者会見では、前日の南波前県議に対する連座制適用判決を受けて、地元紙の記者から同様の質問があった。「知事として、(今回の事件を)改めてどう受け止めているのか?」と。

 この問いに関しては、その場で前県議の辞職直後の自らの発言に言及し、「私の気持ちはあの時と全く変わっていない!」と強調した。要約するとこうだ。

 「この5月に南波前県議が辞職を表明された際にも申し上げたが、これは決して、他人ごとではない。(つい最近まで)自民党に所属していた国会議員としては、やはり反省しなければならない。こういうことがあると、国民、県民の政治不信というものは、強まる。政治家1人1人が、こういうことを契機に襟を正さなければいけないと思う。」

 併せて、こんなエピソードも紹介した。

 「今、思い出したが、この事件の後、地元事務所の秘書全員を集めた。何があろうとこんなルール違反をやってはならないと伝えた」と。

 記者の質問に答えながら、その日(19日)の地元紙(上毛新聞)が社会面で大きく掲載した南波前県議に対する連座制適用(=5年間の立候補禁止)判決に関する記事のことが頭を過ぎった。記事の見出しは、「南波元県議に5年間立候補禁止 自民支部長の続投意向に疑問の声」だった。

 報道の内容は、「南波氏が地元の自民党吾妻支部の支部長を続投する意向を示しており、これに対して地域住民の間に憤りや不満がくすぶっている」というものだ。

 知事会見当日の地元紙の記事に対する関心も高いに違いないと思って、(同じ会見の中で)南波前県議の自民党支部長続投問題にも触れた。上記の上毛の関連記事に言及した上で、次のような趣旨のことを申し上げた。

 「(支部長続投問題は)もちろん自民党県連がお決めになること。知事である私が口を出すような話ではない。あくまでご本人の意思という仕組みになっているのかもしれない。」

 「ただし、これだけは言える。私が同じ立場だったらスッパリ辞め、後進に道を譲ります!」

 この日の知事会見の翌日、全国大手紙の群馬版に、南波前県議への連座適用判決に関する山本知事の発言が引用されていた。その中に、「山本知事は南波前県議を厳しく批判した」という件があったが、これは(山本一太の真意とは)ちょっと違う。

 なぜ自分が(今でも)南波前県議に説明責任を果たして欲しいと考えているのか?!どうして地域の自民党支部長続投問題にまでコメントしたのか?!それは、政治家山本一太が(南波前県議と同じように)吾妻郡で生まれ、吾妻郡で育ったからだ。

 長年に渡り、出身地域の発展のために頑張って来た同郷の先輩議員が、周りに(特に応援してきた地元の支援者の方々に)何の直接的な説明もなく、こんな形で議員バッジを外してしまったことに、今ひとつ納得がいかないからだ。地元住民の多くも、全く同じ気持ちだと思う。

 もっと言うなら、自分自身の地元中の地元であり、今夏の知事選でも最も高い得票率をマークした吾妻地域の支持者の人たちの気持ちの中で、南波前県議が「県議会の重鎮として地元のために積み上げてきた長い間の実績」に対する評価が、「根底から崩れてしまいつつある」ことが残念でたまらないのだ。

 次回のブログ③では、ここらへんの気持ちを正直に書かせてもらう。

追伸:2019年12月19日付けの地元紙(上毛新聞)の社会面に掲載された記事の全文は以下のとおり。残念ながら、今の吾妻地域の雰囲気をかなり正確に描写している。

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  <南波元県議に5年間立候補禁止 自民支部長の続投意向に疑問の声>
                     (上毛新聞:12月19日付け:社会面)
 4月の群馬県議選吾妻郡区を巡り、公選法違反の罪で妻の有罪が確定した元県議の南波和憲氏(72)に東京高検が連座制適用を求めた行政訴訟で、東京高裁(近藤昌昭裁判長)は18日、検察側の請求を認め、判決確定日から県議選への5年間の立候補禁止を言い渡した。南波氏は県議辞職後も務める自民党吾妻郡支部長を続投する意向を周囲に示しており、地元住民からは道義的責任を問う声や混乱を懸念する声が上がっている。

◎公の場で説明なし 自民支部長の続投に疑問の声
 行政訴訟で南波氏側は口頭弁論期日に出頭せず争う姿勢をみせなかったため、裁判長は検察側の請求を全面的に認めた。判決によると、南波氏の妻は4月9~10日ごろ、運動員9人に報酬として、ようかんを配ったり現金を渡したりする申し出をするなどした。

 南波氏は4月の県議選で当選したが、5月に辞職。妻は懲役1年、執行猶予4年とした前橋地裁判決が確定している。事件後、南波氏は報道陣の取材に応じておらず、公の場で事件についての説明はない。

 一方、現在も自民吾妻郡支部長を務めており、複数の関係者によると、今後も支部長を続投する意向を示しているという。

 同支部によると、支部長の交代は役員会を開いて決めるが、南波氏本人が辞職を決めて役員会を開催しない限り交代はないという。支部関係者の一人は「20年近く支部長を務めている。周囲から辞職を迫るのは難しい」と明かす。

 自民県連は「支部長選びは各支部に委ねられている」と説明した上で、「今回の判決では政治活動は制限されていないため、続投してはいけないということではない」としている。

 地元には南波氏が支部長にとどまることに対し憤りや不満もくすぶる。南波氏の選対幹部を務めてきた中之条町の男性は「落選後も支部長を続ける例はあるが、支持者にまで迷惑が及んでいる中で続けるのは道義に反している」と言い切る。

 別の町内の男性(64)は「県議を辞職したとはいえまだ説明責任も果たしていない。一般の人にしっかりと目を向けて行動してほしい」と指摘している。
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