2017年7月16日

 間もなく午前零時。睡魔と戦いながら、ブログの続編「苦言:その6」」を書き始めた。紅茶を飲んでも眠気が取れない。(ふう)

 それでも、気力を振り絞って更新する。様々な人たちの「熱い視線」を感じる。某野党議員からも声をかけられた。「一太さんのブログ、ずっと拝見してます!」だって。

 さあ、ここから本題に入る。「その6」も長編になるだろう。最後までノンストップで書き切る。

 「直滑降ブログ」にも何度か書いたが、自分は日本にカジノを導入するためのIR法案(いわゆるカジノ法案)には、極めて慎重な立場だ。にもかかわらず、本来ならとっくに掲載していてもおかしくない「カジノ法案に断固、反対する!」みたいなシリーズは発信していない。「カジノ構想自体を全面否定しているわけではない」というスタンスを取っているからだ。

 過去のブログでも言及したが、カジノ導入に関しては、「絶対反対とは言わないが、極力、慎重に検討すべきだ」という主張を続けている。これも何度か書いた憶えがあるが、「反対」ではなく「慎重」というマイルドな表現に止めているのは、次の2つのシンプルな理由による。

 第1に、安倍総理と菅官房長官がカジノ導入に前向きなこと。総理も長官も、私欲や利権で動くようなタイプではない。この2人がカジノの早期導入を後押ししている背景には、山本一太などではとても考えが及ばない政治戦略とか、よほどの経済効果(?)とか、何かの深謀遠慮があるに違いない。たとえば、総理官邸と「維新の会」との連携(?)を維持したいという政局的な思惑が働いている可能性もある。

 第2に、自民党内でカジノ推進を唱える同僚議員の人たちが、長年に渡って真剣にこの構想を議論し、真面目に検討を重ねて来たことをよく知っているということだ。自分の記憶が正しければ、日本国内でのカジノの実現を目指す議員連盟には、100名以上(?)の自民党議員が名前を連ねていた気がする。

 そうは言っても、国会では一度も議論したことのないカジノ法案を、(たとえ中身が大まかな枠を決める「プログラム法」だったとしても)たった6時間の審議で強引に成立させ、そのまま参院に送って来た衆院のやり方は、とても乱暴だと感じた。

 そりゃあ、そうだろう。直近の世論調査で「国民の6割がカジノ導入に反対」(特に女性の7割がネガティブ)という数字が出ていたのだ。

 吉田博美・参院自民党幹事長の英断により、参院ではカジノ法案の審議を衆院より丁寧にやった。衆院の3倍にあたる18時間の審議日程を確保し、衆院から送付された法案の一部を修正して衆院に送り返したのだ。「再考の府」として当然の役割だ。結局、カジノ法案は衆院で再可決された。

 その後、カジノ推進派のある議員が、ある会合でこんな発言をしたと聞いた。「多少の反発はあっても、いったん成立すれば国民はすぐに忘れる!実施法案も出来るだけ早期に国会に提出し、可決させたらいい!」

 この言葉が事実だとしたら、とんでもない勘違いだと思った。(怒)カジノ法案が参院本会議で可決された翌日、議員と有識者が参加した勉強会で憤懣をぶちまけた。

 「いくら衆院で与党が3分の2以上の議席を持っているからといっても、国会のカジノ法案への対処は強引過ぎたと思う。自民党参院議員としてとても不愉快だ。」

 「公明党の山口代表は参院本会議の採決で反対票を投じた。参院で20数年振りの単独過半数を確保したからこそ、今までより謙虚に振る舞う必要があるのではないか?!慎重意見の強かった与党の公明党にも、もう少し配慮すべきだったのではないか?!」

 「国民的人気の高い安倍首相の下でいくら国政選挙の連勝を続けているからといって、自民党はもっと国民の声に謙虚に耳を傾けたほうがいい。国民が少し傲慢だと感じ始めていることにもっと注意したほうがいい。『一強多弱の奢り』が出て来ている。今後のことが心配だ。」

 後日、秘書たちにも同じ趣旨の話をした。

 「最近の自民党は国民の目に傲慢に映っているのではないかと心配だ。特に衆院の運び方が乱暴。こんな感覚で続けていたら、どこかで有権者からの反発に遭う。今こそ、参院の出番じゃないだろうか?」

 「安倍政権には死角が見当たらないと周りに言って来たが、油断や慢心は禁物だ。カジノ法案の扱いを見て、見方が変わった。何かの拍子に自民党や内閣への支持が急落する危険性を感じる。よく地元の声を聞き、オレに報告して欲しい!」

 誤解のないように書いておく。いわゆるポピュリズム政治を肯定しているわけではない。世論が正しいとは限らない。内閣支持率だけを考えて政策をやるべきだなどとは、露ほども思っていない。

 どんなに反発があろうと、国家・国民を守るために必要なことはやらねばならない。どれほど国民に不人気な政策であっても、国民の将来の幸福に繋がると信じることは勇気を持って断行する。それが政治の責任だ。

 消費税の増税も、平和安全法制も、特定秘密保護法も、安倍内閣でなければ到底、出来なかっただろう。どれも国家の命運に関わる重要問題だ。当然、反対意見もあった。

 が、安倍総理は逃げずに国家的課題に立ち向かった。こうした重要法案についての国民の疑問や不安に正面から向き合い、説明責任を果たそうと最大限の努力をした。総理の熱意とエネルギーには圧倒された。

 たとえば平和安全法制を議論した国会での安倍首相の答弁回数は、過去のどの総理よりも多かった。時には担当大臣を制して自ら答弁に立ち、野党委員の質問に答えた。

 野党委員の厳しい追及に対して、総理自身の言葉で、辛抱強く説明を繰り返していた。総理のこの姿勢は国民にも評価されていたと信じている。平和・安全法制に関する特別委員会の委員として、ほぼ全ての審議に出席した自分が言うのだから間違いない。

 国会の審議時間も過去の重要法案と比べて「全く遜色のない」ものだった。この時は、与党としても審議時間確保のために十分な努力をしたと思う。

 その証拠に、特定秘密保護法をめぐる国会の混乱等で一時期ダウンした内閣支持率は、短期間で回復した。最近、地元の有権者から「平和・安全法制」に対する批判の声は、ほとんど聞かれなくなった。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、国民の生命と安全を守るための法制に対する国民の理解が進んだと見るべきだろう。

 これに比べると、(上記の法案とは重要度が違うとはいえ)カジノ法案の審議の進め方は、あまりに丁寧さを欠いていた。どう考えても、自民党の「奢り」としか見えなかった。

 ちなみに、テロ等準備罪法には賛成だ。この法律を前国会中に成立させたかった政府の意図もよく分かる。が、国民の間には、まだ不安が残っている。法律の成立後も、引き続き(あらゆる機会を捉えて)国民の理解を求めていく努力が欠かせない。

 金田勝年法務大臣は参院の同期当選組だ。一見、無愛想に見えるが、熱いハートの持ち主。テロ等準備罪法の質疑は本当に大変だったと思う。担当大臣として、最後まで全力を尽くしていたことはよく分かっている。その点は敬意を表したい。

 

 ただし、(率直に申し上げるが)多くの国民は(少なくとも群馬の有権者は)「金田法務大臣の答弁は、時として心もとなかった」「分かりにくい部分があった」と感じている。地元の集会では、あちこちで厳しい言葉を投げつけられた。他の議員も同じだろう。

 

 昨今、ネット上に「金田法相は素晴らしい!」「金田大臣、大好き!」みたいなコメントを繰り返す一団が出現しているが、世の中の大勢の認識はそうなっていない。(苦笑)

 どんなことでも先ず「事実」を正確に把握し、受け入れることが重要だ。そうじゃなかったら、効果的な対策は立てられない!

追伸:以前のブログでも触れたが、ある時、カジノ法案に関する意見を伝えるために総理官邸を訪ねた。安倍総理、菅長官とサシで会った。かなり前のことだ。

 敬愛するこの2人の政治家にこう申し上げた。「カジノ導入のための法案は、くれぐれも慎重に扱うべきだと思います!」と。そう考える理由も説明した。詳細は書かない。

 最近の政治の流れを見て、総理と官房長官も「なぜ、山本一太がカジノ法案に懸念を抱いているのか?」を、少しは分かっていただけたのではないかと勝手に期待している。

 考えて見て欲しい。自分は安倍総理をずっと応援して来た。菅長官は今、永田町で一番好きな政治家だ。安倍政権の成功を心から願っている山本一太が、何の理由もなく「総理と長官が後押しする(?)法案」にケチをつけるようなことを言うはずがないではないか!!

 カジノ実施法案を次の臨時国会に提出する動きがあるようだ。が、あまり急がないほうがいい。依存症対策の内容や効果はもちろんのこと、マネーロンダリングのような犯罪を防ぐ仕組み等についても、丁寧に議論を深めるべきだ。

 強引なやり方をすると、自民党へのさらなる反発を招く。同時に、30%を切った安倍内閣の支持率をさらに押し下げる要因にもなりかねない!!