2017年7月10日

 間もなく15時。加計学園問題に関する参院の閉会中審査(文科・内閣委員会による合同審査)のTV中継を見ながら、パソコンのキーボードを叩いている。「安倍長期安定政権を望むからこその苦言:その5」に行く前に、北朝鮮問題に関する重要なブログを書く。

 先般のBSフジ「PRIME NEWS」で北朝鮮問題を議論した。その際、「北朝鮮を国連から除名出来ないのか?」と聞かれて、「自分が知る限り、そういう前例はない。これとこれをやったら国連から除名出来るという仕組みにはなっていない!」という趣旨の話をした。

 この番組を見ていた外務省の元幹部から連絡をもらった。「発言の趣旨そのものは間違っていないと思うが、国連憲章第6章には以下のような除名規定がある」とのことだった。

『国連憲章第6条:この憲章に掲げる原則に執拗に違反した国際連合加盟国は、総会が安全保障理事会の勧告に基づいて、この機構から除名することが出来る。』

 「PRIME NEWS」での自分の発言を少し修正する必要があるかもしれない。すなわち、「北朝鮮が国連の原則に執拗に違反する場合には、国連総会が(安保理の勧告があれば)国連から除名出来る」ということだ。

 最近、韓国政府が北朝鮮の除名問題を国連でもほのめかすようになっているという事実も教えてもらった。なるほど、2016年10月9日付の「ハンギョレ新聞」がこの問題を取り上げている。

 ハンギョレの記事によると、ユン・ビョンセ韓国外交部長官が、昨年9月の国連総会演説で「北朝鮮に平和を愛する国連加盟国としての資格があるかについて真剣に検討しなければならない時期である」という問題提起を行ったとのこと。

 同記事は、「91年に韓国と北朝鮮が共に国連加盟国になって以来、韓国政府が国連総会の場で北朝鮮の加盟国としての資格に疑義を唱えたのは初めてのことだ」と解説した上で、問うべきポイントとして次の4つを挙げている。

 (1)北朝鮮の追放は可能か?(2)除名の前例はあるか?(3)政権(当時はパク・クネ大統領)がこれらの発言を行動に移すか?(4)北朝鮮核問題の解決に役立つか?〜という4点だ。

 上記の4つの視点を踏まえ、記事の分析はこう続く。

 第1に、国連憲章には、加盟国の「除名」(第6条)と「権利と特権の停止」(第5条)の規定がある。この2つの規定とも、安保理勧告によって総会で決めることが出来る。逆に言うと、安保理常任理事国(米国、中国、ロシア、英国、フランス)のうち1国でも拒否権を行使すれば、除名は不可能ということになる。

 第2に、1945年の国連創設以来、加盟国が除名された前例はない。が、1974年から1994年までの21年間、加盟国としての資格が「事実上、停止された」南アフリカ共和国のケースはある。この時は、国連総会会議運営規定が援用され、国連安保理の勧告なしで加盟国の資格を実質的に停止させるという流れだった。

 最後に、北朝鮮除名問題をテーマにしたハンギョレ新聞の記事は、次のように結論付けている。

「北朝鮮の国連除名は中国とロシアの拒否権があるため不可能だ。ただし、目指すのが「資格停止」なら、中ロの反対を迂回する手段はある。」

 日本政府としても、そろそろこの「北朝鮮の除名問題」を真剣に議論する時期に来ているのではないか?!