2017年5月27日

 

 朝。熱い紅茶を飲みながらのブログ。今日は政治家・山本一太にとって「とても重要な1日」だ。

 いつものことではあるが、夜中の2時頃、(睡眠時間をチェックしながら)「さて、残りの1時間をどう使おうか?明日のTV出演のための資料を読むか?運動するか?熱いお風呂に入るか?10分でもアコギの練習をするか?収録しなければならない英語インタビューの発音テキストを復唱するか?それとも(睡眠時間を削っても)全部やるか?」と悩む時までに、どうしても終わらせておかねばならない「幾つかの重要な仕事」があるからだ。

 そのうちの1つは、明日、地元で開く予定の「第1回山本一太後援会代表者・選挙戦略会議」の準備に他ならない。全県各地から後援会幹部が集まるこの会議は、2年後の群馬選挙区参院選挙の趨勢、いや、自分自身の今後の政治キャリアに大きな影響を及ぼすことになるだろう。必ず成功させなければならない。

 さて、こうした重要なミッションに取りかかる前に、まだ書いていない「政敵(?)を抑止するのは情報力と捨て身の覚悟:その2 」の続編(その3)を掲載しておく。このエピソード、今なら書いても大丈夫だろう。

 10年前、第一次安倍政権下で行われた自分にとって3回目の参院選挙は、本当に苦しい戦いだった。選挙の直前にも、選挙戦突入後も、閣僚や党幹部の失言が相次いだ。その度に逆風が強まった。最初から最後まで一瞬も気を抜けなかった。(ふう)

 結果として群馬地方区では圧勝したものの、自民党は大きく議席を減らした。

 事実、有力な自民党現職が次々に落選。その他の議員も軒並み票を落とした。地方区の自民党公認候補者の中で「前回の票を大きく伸ばして圧勝した」のは、たった1人。群馬県の山本一太だけだった。

 最大野党だった当時の民主党は、群馬地方区に公認候補を立てなかった。代わりに国民新党から立候補した候補者を推薦するという形を取った。

 国民新党が公認したこの候補者の名字は、群馬出身の故・某元総理大臣と同じだった。しばらくすると、群馬県内に「この人物は元総理の親戚らしい」という噂が広まった。参院選挙が近づくと、この「親戚説」が、週刊誌等に選挙関連の小ネタとして取り上げられるようになった。

 誰がこの噂を流布したのかは知らない。が、誰が考えても、この候補者の陣営(?)の狙いは明らかだった。「元総理の親戚だとPRすることで、元総理を応援していた保守の票を引き剥がそう」ということだ。

 詳しいことは書かないが、当時、「山本一太と戦うには、この戦略が最も効果的だ」と思わせる状況もあった。

 噂が広まるにつれ、さすがに故元総理の関係者にも問い合わせが入ったようだ。元総理の流れを汲む事務所の代表が地元紙に対して、「たまたま名字は同じだが、この候補者と元総理が親戚関係にあるという事実は一切ない!」とこの噂を強く否定するコメントを出した。そんな中、国民新党公認のこの人物が候補者会見を開いた。

 当然、記者たちは次のような質問をした。

 「あなたが00元総理の親戚だという話が出ているが、それは事実なのか?」と。

 その質問に対して、この人物(国民新党の公認候補)は次のような趣旨の答えを返した。翌日の新聞記事に加え、記者メモでも確認したので(表現ぶりは)よく憶えている。

 「私自身は(元総理とどんな親戚関係なのかは)よく知らない。が、亡くなった私の父からはそう(親戚関係にある)聞いている。先日、私の秘書がたまたま元総理が眠るお寺にお墓参りに行ったところ、故元総理のお墓のすぐ側に私の祖父のお墓があった。」

 さっそくこのお寺に足を運んだある記者から連絡があった。「一太さん、確かに事実です。元総理とこの人物の祖父のお墓は近いところにありました」と。地元秘書にも確かめさせた。

 ここから「山本機関(笑)」が本格始動した。あらゆる人脈を駆使して、情報収集した。最初から、いろいろと不自然な点があった。調査の結果、お墓問題(?)に関しては、次のような経緯が判明した。

 「もともとこの候補者の祖父のお墓は県内の違う場所にあった。が、この人物が選挙に立候補する6年くらい前に、有力な檀家を通じて元総理が眠るお寺の住職に頼み込み、お墓をそのお寺に移していた。」

 国民新党公認、民主党推薦のこの人物の記者会見での言葉、これまでの発言の中身を検証しながら、こう思った。「これが事実なら、一種の印象詐欺(?)ではないか!(苦笑)こんな姑息な手を使う人間には、何があろうと絶対に負けられない!」と。

 こうも考えた。「今後の展開によっては、調査結果のメモをブログで公表しよう。記者会見を開いてもいい。相手側に公開質問状を出すというやり方もある。」

 結局、この「お墓事件」のことは外に出さなかった。ブログにも書かなかったし、公開質問状を突きつける場面もなかった。選挙情勢に関する各種の世論調査で(最初から最後まで)圧倒的なリードを維持していたからだ。
 
 ただし、仮に選挙選が接戦になっていたとしたら、候補者の資質に直結するこの情報は、決定的な一打になっていた可能性もある。

 もう一度、言う。政治家が政敵の攻撃から身を護る(=どんな権力者にも一矢を報いられる)手段は、「情報力と捨て身の覚悟」しかない。

 あ、お湯が沸いた。紅茶をもう一杯飲んで、肝心の仕事に取りかかる。

追伸:平然とウソをつく人間には、大抵、「悲惨な結末」が待ち受けている。この件には触れない。