2017年1月14日

 

 自民党の二階俊博幹事長が、1月8日に掲載された日本経済新聞のインタビューの中で「安倍総裁が3選出馬を表明した場合の対応」について聞かれ、「全面支援する」と明言した。

 

 同時に、「(無投票でなく)選挙があったほうがいい。競い合うのが自民党の活力だ!」とも語った。 「いつやっても安倍総理が圧倒的支持を得る」という見方も披露した。

 

 昨年12月の日露首脳会談の結果に対する自らの辛辣な評価とバランスを取った面もあるとは思うが、(いろいろな意味で)「さすがは練達のベテラン政治家だ」と感じさせる発言だった。

 

 二階幹事長は、安倍総理に対する国民の好感度と安倍政権の実績を冷静かつフェアに分析している。 加えて、最大野党である民進党に対する有権者の期待が低いことも、世の中の多くの人々が政治的安定を望んでいることも十分、分かっている。

 

 自民党にとって最大の目標は、次回の衆院選でも与党で過半数の議席を確保し、政権を維持すること。 そのためのベストシナリオは、「国政選挙4連覇」という前人未到の偉業を成し遂げた安倍内閣が今後も高い支持率をキープし、そのままの状態で解散総選挙に突っ込むことだ。

 

 二階幹事長の日露首脳会談の成果に関する厳しい評価、すなわち、「(北方領土問題で何らの進展もなかったことには)国民の大半がガッカリしている」という言葉は、あちこちで物議を醸した。 が、これは安倍総理への批判ではない。 事実、二階幹事長は日露首脳会談自体は評価していた。

 

 そして、(山本一太の認識とは異なるものの)この二階幹事長の「ガッカリした発言」は、けっして悪くなかったと思う。 むしろ、「この場面でよく言ってくれた!」とさえ感じた。

 

 安倍・プーチン会談の結果に関しては、自民党内にも、二階幹事長と同様の落胆を覚えた議員が結構、いた。 「正直な気持ち(不満)をぶちまけたくても、なかなか外には言いにくい」と感じていた議員たちにとって、首脳会談直後の二階幹事長のセリフは、ある種のガス抜きになった。

 

 さらにつけ加えるなら、自民党No.2の幹事長の言葉によって、図らずも「自民党が自由に意見の言える政党である」ことが証明された。(笑)

 

 日露平和条約締結交渉への環境を醸成するために結ばれた今回の日露間の経済協力合意の大部分は、民間ビジネスに関わるものだ。 お互いにメリットがあるから進むのであって、いわゆる「食い逃げ批判」はあたらないと考えている。

 

 そうは言っても、今回の対ロ経済協力を「やけにはしゃいで」前進させようとしている人たちへの批判は、党内でもよく耳にする。 二階幹事長のあのひと言は、「あまりに前のめりな対ロ協力」に対する牽制としても働くはずだ。 この点もポジティブに捉えたい。

 

 ちなみに、安倍総理なら(時間はかかっても)日露関係の再構築を必ずやり遂げてくれると確信している。 15回もの会談で培った首脳間の個人的な信頼関係があることに加え、両首脳ともに国内の政治基盤がしっかりしている。 安倍・プーチンで進展がなかったとしたら、未来永劫、北方領土問題は解決出来ないかもしれない。

 

 日露の経済協力も、バランス良く進むだろう。 そう思う理由は明快。 日露関係を総理への手柄にしたい人たちの思惑がどうであろうと、外務省のロシアン・スクールが総理にどんな意見を言おうと、日露交渉の操縦桿(そうじゅうかん)を握っているのは、安倍総理そのひとだからだ。

 

 最終的には安倍首相が判断する。 総理の優れた外交手腕は、これまでの実績が物語っている。(ニッコリX50)

 

 それはそうと、二階幹事長の上記のインタビュー発言の中で、強く賛同したい点がある。 それは、「総裁選はやったほうがいい!」という指摘だ。

 

 もちろん、安倍総理が来年の総裁選に手を挙げたとしたら(微力ながら)自分も全面的に応援する。 他に誰が出ようと、投票用紙には、(これまでと同様に)安倍晋三と書く。 そして、誰が対抗馬になろうと、必ず安倍総理が勝つだろう。

 

 ただし、勝算があろうとなかろうと、総理を目指す志のあるひとたちには、ぜひ、総裁選に立候補していただきたい。 もっと具体的に言うと、石破茂前地方創生担当大臣(元自民党幹事長)は、今度こそ、堂々と名乗りをあげるべきだ。

 

 いわゆる「石破派」を結成した20名の確信犯の人たちには、何があろうと石破さんを総裁レースにエントリーさせる義務があると思う。

 

 過去のブログでも繰り返し主張して来た。 「安倍内閣が9年間の戦後最長政権になることが、日本にとって(あらゆる意味で)最大の国益だ」と。 「そうなるように、少しでも自分が出来る貢献を考えたい!」と。

 

 が、それはそうとしても、今のような「あまりに弱すぎる野党」は、日本の民主主義を劣化させる。 加えて、党内の「過度な安倍一強」が続くことも、けっして好ましい状態だとは思わない。

 

 安倍総理や官房長官に慢心や油断がなくても、党内には「驕り」兆候が出始めている。 そうじゃなかったら、国民の6割、特に女性の7割が反対しているカジノ解禁法案を「たった6時間の衆院審議」で参院に送って来るはずがない!(怒)

 

 二階幹事長の表現を借りるまでもなく、「競い合う」からこそ、活力が生まれる。 それこそが自民党の伝統だ。 もし安倍総理があと5年、首相の座に留まる(=9年の戦後最政権になる)としても、いや、そうなるからこそ、党内に「健全な対抗勢力」が必要なのだ。

 

 だいいち、安倍総理は5年後に勇退する。 2021年以降は、誰かが安倍総理の後をやらねばならないのだ。 あ、熱いゆず茶を飲まないと。 総裁選の必要性については、その2でさらに詳しく解説する。

 

追伸:明日の深夜便でカンボジアに飛ぶ。 飛行機の機内で2泊する強行日程だ。(ふう)