2016年8月1日

 午前10時から参院本会議。 記名投票の結果、伊達忠一氏が「参議院議長」に選出された。 議長選挙の投票用紙には(不本意ながら)「伊達忠一」と書いた。 一瞬、手が滑って「武見敬三」と書きそうになった。(笑) 

 過去20年、苦しい時も一途に「自民党」を貫いて来た政治家として、オープンかつ民主的な手続きで示された「参院自民党の民意」は重く受け止めざる得ない。 造反したら、それこそ野党を利するだけだ。

 1996年に参院議員に初当選した。 初めて参院本会議場の最前列近くの席に座った時、緊張と期待で胸が高鳴った。 

 あれから20年。 まさか誇り高き参院自民党が、「自ら衆院の(自民党内の)2軍であると内外に宣言する」(=参院がマイナーリーグであるとわざわざ自分から認める)ような場面に遭遇するとは、夢にも思わなかった。 残念、いや無念としか言いようがない。

 万一、今回の議長人事を陰で(?)描いた人物がいるとすれば、本当に参院をバカにしている。 その人物は、間違いなくこう考えている。 「お前ら、もともと自民党の2軍だろ?衆院と違って、誰が組織の頭(参院議長)になろうと関係ないじゃないか。世の中の大勢には影響がない。世間的にも何の関心もない!」と。

 仮に参院自民党内部の誰かがこの人事構想を推し進めたとすれば、「恥を知れ!」と言いたい。(怒) 激しい言葉になってしまうので、これ以上は書かない。

 これまで「参院議長」になりたいと思ったことは一度もない。 なれると考えたこともない。 「良識の府」のメンバーとして長年、実績を積み重ねた「選ばれたひと」だけが就任出来る最高職だと考えていた。 が、伊達議長の誕生によって、「誰でも簡単になれる役職」であることが判明した。(ガクッ)

 もう少し詳しく言うと、「良識の府」の象徴であり、総理、最高裁判所長官、衆院議長と並ぶ三権の長である「参院議長」は、今日をもって、当選回数が3回でも、閣僚経験がなくても、参院の役割に関する理念や哲学を一度も語ったことがなくても、大きな派閥に属してさえいれば「誰にでも手の届く超軽量級のポスト」に衣替えした。 何という「お手軽な三権の長」だろうか!(笑) 何か反論があれば、ぜひ、聞いてみたい。

 ウィキペディアによると、過去、「8月1日」には、以下のような事件が起こっている。 

527年 - ユスティニアヌス1世が東ローマ皇帝に即位。
1944年 - アンネ・フランクが最後の日記を書く。
1972年 - 郷ひろみが男の子女の子で歌手デビュー。
2012年 - ロンドンオリンピック体操競技、男子個人総合で内村航平が日本選手として28年振りの金メダルを獲得。

 ここにもうひとつ、2016年の新たな歴史的事実を加えたい。 それは、「参院自民党が衆院に対して正式にマイナーリーグであることを宣言!」という一節だ。 8月1日は(少なくとも自分の中では)「参院自民党・屈辱の日」として、長く(?)歴史に刻まれることになるだろう。

 明日から、参院議長人事に関する報道はほとんどなくなるはずだ。 そもそも(何度も言っているように)一般の国民は「参院議長が誰か?」なんて興味も関心もない。 秋の臨時国会が開幕すると、参院本会議の度に議長が登壇し、そこにいる全員が何事もなかったように拍手をする。 いつもの日常が戻って来るだけだ。

 参院本会議の度に、(恐らく自分だけが)「参院自民党が衆院の2軍である」ことを再認識する。 毎回、「なるほど、山本一太もマイナーリーグ所属のプレーヤーだったのか」と思い知らされる。

 参院自民党は、明らかに「2軍」だ。 自分たちがそう認めているのだから仕方がない。 世間の認識もそうだ。  

 ただし、参院自民党という組織が2軍であっても、そこにいる参院議員たちは2流ではない! 参院には、衆院にはいない多様かつ魅力的な人材が集まっている。 心から尊敬出来る先輩政治家だって、全くいないわけではない。

 だから、こんな「恥ずかしい惨状」を見せつけられても、やっぱり自らが籍を置くマイナーリーグ(参院)を嫌いになれない。(苦笑) 何しろ、20年もここ(参院)でプレーして来たのだ。 メジャーリーグ(衆院)に全くコンプレックスを持っていない(=衆院に鞍替えしたいと思ったことがない)からこそ、余計にそう感じるのかもしれない。

 昔、よくインタビューを受けていた英国BBCラジオの記者たちに、「肩書きを英語で何と紹介したらいいか?」と聞かれた。 その度に、「Senator(上院議員)と呼んで欲しい」と答えていた。(笑X2) 何度も言うが、誇りを持って「参議院議員」の看板を背負い続けて来た。

 今日、20年前と同じ参院本会議場で初めて思った。 もうこの「従属の府」での山本一太の役割は終わったのかもしれない、と。

 あ、財務省の役人が来た。 この続きは次回のブログで。

追伸:伊達参院議長の体制は(少なくとも)あと3年続く。 その後の議長も同じ基準(派閥の数のバランス)で選ばれる。 すなわち、次の6年間、主要派閥に属していない政治家が参院議長になる可能性は「ほぼ皆無」と言っていい。 当選回数も、実績も、能力も、見識も関係ない。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」