2016年7月13日

 参院選挙が終わったのは7月10日。 参院議長を含む参院自民党執行部の人事案が流れたのが翌日の7月11日(?)だった。 参院議員会長選挙の日程を決める選挙管理委員会が、明後日(7月15日)にも開かれるらしい。

 まさに電光石火だ。 3連休を挟んで、来週中には「立候補者の届け出締め切り」みたいなスケジュールになるだろう。 

 参院自民党の中には、(自分と同じように)「(結果はともかく)オープンな議員会長選挙をやるべきだ!」と考えるひとはきっといる。 が、この日程では、派閥間で合意された候補者以外の議員が、立候補に必要な15名の推薦人を確保するのはかなり難しい。 まあ、政治とは元来、そういうものだ。

 「このまま、報道されたとおりの新議長、新執行部が誕生する可能性が極めて高い。ここで余分なことを言っても後で損するだけだ!」 普通の政治家はそう計算する。 が、もともと失うもののない「ボヘミアン政治家」は思考回路が違う。 

 何でも自由に物が言える自由な安倍自民党だ。 自民党参院議員として真っ直ぐに歩んで来た20年の経験と視点から、今回の人事案(?)について感じたことをストレートに書かせてもらう。

 参院議員会長選挙が行われない公算が大きいとしたら、尚更、このブログに「心ある人たち」の真の声を書き留めておく必要がある。

 マスコミ報道によると、「伊達忠一・幹事長が新議長に、橋本聖子・参院議員が議員会長に、吉田博美・国会対策委員長が幹事長に、松山政司・議運委員長が国対委員長に就任」という流れになっているようだ。

 盟友である吉田博美・国対委員長には、ぜひ幹事長をやって欲しい。 党人派としての胆力、人間力は本物だ。 ウソをつかないから信頼がある。 「吉田博美・幹事長」なら、派閥の枠組みは大切にしつつも、適材適所で若手を抜擢してくれるだろう。

 「橋本聖子・参院議員会長」(当選4回の同期)もいいと思う。 橋本議員会長が誕生すれば、参院自民党で初の女性リーダーということになる。 女性活躍推進の流れにも沿う。 何と言っても人間性がいい。 聖子さんを嫌いなひとはいない。 皆、喜んで応援するはずだ。 

 だからこそ、聖子さんには、議員会長選挙で堂々と選ばれて欲しい。 「参院自民党内の選挙でトップを選出する」というこの仕組みこそ、参院自民党の力の源泉なのだ。 けっして手放してはならない。

 松山政司氏は、議運や国対で真面目に汗をかいて来た。 野党との交渉力もある。 「松山政司・国対委員長」にも異論はない。 ただし、(本当に申し訳ないが)「伊達忠一・参院議長」という案には驚きを禁じ得ない。 派閥の事情はよく分かるが、幾らなんでも無理があると思う。 

 伊達忠一氏は参院自民党の現幹事長。 参院では当選3回。 過去に内閣府副大臣を務めた。 参院選に出馬する前は、道議会議員も4期勤めている。 いわゆる「練達の政治家」だ。 利権や政治資金問題には無縁の、清廉かつ立派な人物に違いない。 

 伊達氏の悪口を言ったり、批判したりするつもりは毛頭ない。 が、参院の「顔」である参院議長としてはイメージ出来ない。 ごめんなさい! でも、20年間、自民党ひと筋で真面目に参議院議員をやって来た政治家の率直な感想だ。

 考えて見て欲しい。 参議院議長とは、衆院を代表する衆院議長と並ぶ「立法府を司る三権の長」なのだ。 「良識の府」である参議院の「象徴」とも言うべき存在であるはずだ。 

 日本の国会の代表として、各国の要人とも会うことになる。 参院議長の中身は、そのまま参院に対する内外の評価に繋がる。 政治家としての経歴、識見、品格ともに「三権の長」にふさわしいひとになっていただきたい。 今の自民党に、当選5回以上の適格者は複数いる。

 過去20年、いろいろな参院議長をこの目で見て来た。 ぜひ、今の案と比べて見てください。 

 たとえば、ミスター参議院と呼ばれた斎藤十朗議長(当選6回、元厚生大臣、元参院議員会長)には、参院のあるべき使命についての確固たる理念があった。 

 憲政史上初の女性議長だった扇千景議長(当選5回、建設大臣等を歴任、元保守党党首)は存在感抜群。 いろいろな意味で、ダイナミックな議長だった。 

 与党時代の民主党にも、西岡武夫議長(衆議院議員(11期)、参議院議員(2期)、新自由クラブ幹事長、文部大臣等を歴任)のような命がけの信念を持ったひとがいた。 

 議長になってもおかしくない経歴、見識を有していた尾辻秀久参院議員(元厚労大臣、参院議員会長、元日本遺族会会長)は、西岡議長の下で副議長を務めていた。

 それぞれ、心から尊敬出来る立派な先輩政治家であり、日本の国会を代表する風格と識見を持つ人たちだった。

 過去のブログにも書いた憶えがある。 過去20年、山本一太は自らの意思で参議院議員をやって来た。 そういう自負がある。 その気なら、衆院に鞍替えする好機も何度かあった。 知事選に出馬する(=知事になる)選択肢もあった。 が、そうしたチャンスには見向きもせず、参院議員であり続けたのだ。

 選挙だって、衆院議員に負けない努力を重ねて来た。 6年に1度の選挙を4度も戦い、全てダントツでトップ当選した。 直近の得票データを比べても、各小選挙区で県選出の衆院議員全員の得票数、得票率を上回っている。

 参院への思い入れが強い分、今回の議長人事には本当に失望した。 怒りを感じるというより、やるせない(悲しい)気持ちだ。 劣化を続ける参院の現実を突きつけられる中で、「ここまでして参院で頑張って来た意味があったのか…なあ」と思ってしまう。

 いや、こんな後ろ向きのことを言ってはいけない。 そう自分に言い聞かせる。 どんな状況にあっても、前向きに自分に出来ることを考えるのが、一太イズムだ。

追伸:派閥による予定調和の人事案が外に漏れる前に、すでに根回しは終わっていると見たほうがいい。 恐らくあちこちに手を打っている。 前述したように、参院議員会長選挙は行われない公算が高い。 報道されているとおりの「参院議長&執行部」が出現するだろう。

 「直滑降ブログ」の最大の強みは、グーグルのページランクが高いことだ。 書けば必ず大勢の人間の目に触れる。 口には出さなくても、多くのひとが思っていることをサイバースペースに永久保存しておきたい。 将来、参院のさらなる存在低下を招くような「悲しい人事」が再び行われることを少しでも抑止するために!

 限られたポストを分け合わねばならない参院自民党の実情は理解している。 が、要所要所には、実力主義で能力のあるひとを送り込むべきだ。 そうじゃないと、ますます、参院の「衆院下請け化」が進んでしまう。 もう一度、言う。 参院議長には、同じ「三権の長」である衆院議長に見劣りしない人物を選ぶべきだ。

 今は安倍総理がいるからいい。 でも、こんなことを続けていると、参院自民党は次の(3年後の)選挙で痛烈なしっぺ返しに遇う。 大臣だろうと、党幹部だろうとバタバタ落選する。 そのことに、どれだけのひとが気づいているだろうか?!    


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」