2016年7月13日

 何度も言うが、安倍総理は選挙に勝った。 今回も勝因はシンプル。 安倍内閣の実績と総理自身の人気だ。 自公の議席は改選時の過半数を大きく上回った。 自民党が獲得した議席は56。 その後の平野達男氏の入党で、27年ぶりの単独過半数を確保することになった。 注目されていた改憲賛成派の議席も3分の2に達している。

 それでも、過去のブログで「苦々しい勝利」と書いた。 そりゃあ、そうだろう。 参院の同志である大切な2人の現職大臣(=しかも原発事故のあった福島と基地問題を抱える沖縄の現職)が議席を失ったのだ。

 東北の1人区は秋田を除いて全滅。 真面目に頑張っていた中堅や若手ホープが落選した。 特に、個人的にも大好きな長野選挙区の若林健太を失ったことは、(自分にとって)痛恨の極みだった。 健ちゃんを当選させるために必死で頑張っていた盟友の吉田博美・国対委員長のことも助けられなかった。 本当に申し訳なく思う。

 沖縄振興や基地負担軽減のために奔走していた島尻さん、苦しかった野党時代に様々な委員会で福島復興を訴えていた岩城さんの姿が改めて頭に浮かんだ。 けっして派手さはないが、青森の山崎さんだって真面目に仕事に取り組んでいた。 7月11日(開票日)の夜は、悔しくて眠れなかった。

 安倍総裁や谷垣幹事長が「参院選挙に勝利した」というのは当然だ。 事実、そうなのだから。 菅官房長官の判断は的確だったし、茂木選対委員長の戦略は功を奏した。 「ただし、参院自民党として勝利宣言するのは控えて欲しい」と前々回のブログに記した。 

 議席が増えたとはいっても、落選した現職(仲間)がいる。 浮かれる気分でもないし、そんな余裕もないはずだ。 次回(3年後)の参院選挙では、1人区でさらに厳しい戦いを強いられる可能性が高い。 

 この選挙の結果を受けて参院の執行部が最初にやらねばならないことは、組織のトップである議員会長を公選(民意)で選んでいる参院自民党として、独自に「なぜ東北地域で苦戦したのか?」「無党派の動きをどう見るのか?」「野党統一候補はどこまで効果を上げたのか?」「3年後の選挙に向けてどんな対策を打っていくべきなのか?」を徹底的に分析し、広く意見を聴き、次の戦いに勝つための戦略を練ることだ。

 そう考えていた矢先に(しかも参院選挙の直後に)、新たな参院議長を含む参院自民党の人事に関する報道が(何もなかったように)流れ始めた。 派閥間の予定調和で検討されている方針だ。 微調整はあったとしても、ほどんど決定だろう。

 そもそも、大多数の国民は「参院の幹部が誰なのか?」なんて知らない。 ましてや、「参院自民党の人事がどうなるか?」なんて、ほとんど関心を持っていない。 たとえば、参院自民党の議員会長が「参院自民党内の選挙で決まる」なんて誰も気づいていないと思う。(苦笑) 

 要すれば、(幸か不幸か)誰がどのポストに就こうと就くまいと、世論の批判に晒されるような危険性(?)もない。

 それはそうだとしても、今回、参院議長をはじめとする参院自民党の幹部人事が参院選の直後に報道されたことには、違和感を禁じ得ない。 というより、(もっとハッキリ言うと)不愉快だ。 「沖縄、長野、福島ショック」から抜け出ていなかっただけに、余計、嫌な感じがした。 今、マスコミに流れている人事の中身に関しても言いたいことがある。 

 この件に関しては、過去20年間、苦しい時も自民党一筋で、かつ誇りを持って参院議員を務めてきた政治家として、率直な意見を堂々と発信させてもらう。 

 別に予定調和どおりの結果でもいい。 誰が選ばれることになろうと、参院議員会長選挙は(前回と同様に)オープンにやるべきだと思う。 新しい参院自民党のリーダーになるひとが、今後の参院自民党の目指すべき方向をどう考えているのか? 参院の役割について具体的にどんなビジョンを描いているのか? それをぜひ聞いてみたい。 新人議員のひとたちにとっても、議員会長選挙は「参院の役割を考える」最高の機会になるはずだ。

 加えて言うと、参院議長は良識の府と呼ばれる参院の「顔」だ。 新たな参院の「シンボル」となるひとには、参院議員としての理念や哲学、参院のあるべき姿を仲間の議員たちの前で、いや国民の前で語っていただきたい。 衆院議長に「勝るとも劣らない」人物であることを内外にアピールして欲しい。 参院への関心が低いからこそ、余計にそれが必要なのだ。

 掲載した瞬間から、このブログは、あちこちでまた物議を醸すだろう。 が、逡巡せずに「直滑降」で行く。 続きは次回のブログで。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」