2016年3月30日

 衆院群馬1区の現職である佐田玄一郎氏の公認問題に関するブログのシリーズは、今回で最後にしたい。 冒頭、25本の連載をやらざる得なかった理由を改めて書いておく。

 第1に、群馬1区を含む全県を選挙区とする参院議員、しかも群馬選出の国会議員を20年も務めて来た政治家として、自らの政治活動にも直接、関係する1区の公認問題に関して意見を表明する機会が全く無かったこと。 

 ここに至るまで、この問題を議論する群馬選出国会議員団(?)の正式な会合も、国会議員団と県議団との正規の話し合いの場も全く設けられていない。 群馬1区の当事者の1人として、この件に対して口をつぐむことは出来ない。

 第2に、群馬1区公認差し替え問題に関する背景や正確な事実関係を発信しておく必要があると強く感じたこと。 佐田玄一郎衆院議員には申し訳なかったと思う。 が、(何度も言うが)同郷の先輩議員である佐田氏の批判をするために書いたのではない。 

 党本部が十分な情報を把握出来ずに判断を誤ったら、本当に分裂選挙に雪崩れ込んでしまうという危機感があった。 そうなったら、群馬県だけの問題に留まらなくなる。 参院選全体に負の影響を及ぼすことは必至だ。

 地域党員の声を体現した群馬1区県議団9名の苦渋の決断(支部として現職の公認申請をしないという決定)がやむを得ないものだった(「造反有理」だった)ことも内外に伝えたかった。 当然だろう。 もともと県議団を追い込んだのは、国会議員の「不作為」だったのだ。

 ある関係者にこう聞かれた。 「仮に党本部が県連選対部と話し合って新たな公認候補を決めたとする。現職の佐田議員が納得しなければ、無所属でも立候補するかもしれない。そうなると、結果としては分裂選挙になるのではないか?」と。

 が、自分は全く心配していない。 万一、佐田玄一郎氏が無所属で出馬したとしても、選挙の趨勢を大きく変えることはないと思う。 すなわち、保守系の2人の候補者が同時に立つことになっても、分裂選挙と呼べるほどのインパクトは生じないだろう。 過去4回、群馬1区で選挙を戦った政治家としての直感、というより皮膚感覚だ。

 そうなったとしても、保守票(自民党支持票)は、新たな公認候補に集中する。 あらゆる情勢から考えて、組織票も無党派の票も佐田議員に大きく流れることは考えられない。 

 導かれる結論は、「新しい公認候補とそれを不服とする現職が同時に衆院選に立候補することになっても、自民党支持層が割れて『共倒れ』になることはない」ということだ。 新しい候補者が正式に決まり、県連が一致結束して応援すれば、誰が出て来ようと必ず自民党公認候補が勝つ! 

 政治は冷徹なパワーゲームだ。 「何があってもオレは(私は)やる!」とか、「どんな状況でも勝負する!」みたいな台詞は、その政治家の意志と能力が両方あってこそ、バーゲニングパワー(交渉力)として働く。 

 理屈は「国家の抑止力」と同じ。 抑止力が機能するのは、攻撃を加えようとする相手が「やれば必ず手痛い反撃を被る」と認識している時だけだ。

 第3に、新たな公認候補を決めるにあたって、群馬の政治に「機会平等を過度に歪める」状況を作るべきでないという従来の主張を明確にしておきたかったこと。 

 康隆氏の資質や将来性に疑義を挟んでいるわけではない。 が、「親子による同時期の2議席独占」という状態には、どうしても違和感がある。 他の国会議員、県議団、地域支部役員等の関係者と、「口には出さなくても多くの県民(一般の国民)が普通に抱く感覚」を改めて共有したかった。

 最後にもう一度、関係者の方々に強くお願いしたい。 

 織田沢幹事長、南波選対委員長代行、橋爪総務会長(選対部副部長)、1区関係県議団、そして県連選対部のメンバーの皆さん、私も過去20年、群馬1区を含む全県選挙で4回当選を重ねて来た同じ群馬選出の国会議員の1人です。 このブログでオープンに発信した山本一太の意見も、今後の新たな公認申請候補選びのプロセスにぜひ、反映させてください!

 安倍総理、谷垣幹事長、茂木選対委員長、衆院群馬1区の現職公認差し替え問題をめぐる混乱は、「現職衆院議員VS地元県議団」の感情的対立というような構図から導き出されたものではありません。 

 1区県議団の行動は、地域の自民党支持者、有権者の気持ちを体現した苦渋の選択です。 彼らの苦しい立場を理解してあげてください!

 衆院選候補者の公認権を持つ自民党本部として、1区の経緯や現状を正確に把握し、地域の自民党員や有権者(=国民)の声に耳を傾け、ぜひとも的確な判断をしていただきたいと思います。 いや、そうしてもらえると信じています。

 そして、もし群馬1区の新たな候補者を選ぶという流れになった時は、比例区の女性議員として真面目に活動を積み重ね、自民党にも貢献して来た現職の尾身朝子氏にぜひ、チャンスを与えてあげてください! あらゆる意味で最も皆が納得出来る尾身朝子を党本部として後押ししてあげてください! 重ねてお願いします!!


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」