2016年1月2日

 元旦の夜、スパイク・リー監督の映画「Do the right thing」(公開は1989年)を20数年ぶりに見た。 1989年の夏の午後、オバマ大統領がミッシェル夫人との初めてのデートでこの映画を観たというのはあまりに有名なエピソードだ。

 当時、オバマ大統領はハーバードロースクールの学生。 ミッシェル夫人は同じハーバードロースクールをすでに卒業し、弁護士としての仕事を始めていた。 さすがは超インテリのカップル。 普通は、初めてのデートでこの映画は選ばないと思う、な。(笑) 

 映画の後、2人はバスキン・ロビンスでアイスクリームを食べ、歩きながら初めてのキスを交わしたとか。(ひゃあ) ということは、初デートで初キスということですか。 外交政策では見られない決断力と迅速さだ。(笑X2)

 自分も誰かと2人でこの映画に行った記憶があるが、それがどこだったのか、相手が誰だったのか、どうしても思い出せない。 少なくとも路チューをしなかったことだけは確かだ。(笑X3) 「普通の人々」「頑張れ、タブチくん!」「クレーマーvsクレーマー」を誰と見たのかは、よーく憶えているのに…なあ。

 黒人映画を初めて全米でメジャー公開させたスパイク・リー監督の作品はほとんど観た。 「ジャングル・フィーバー」も「モ’・ベターブルース」も「マルコムX」も好きだけど、最高傑作は何と言っても「Do the right thing」だと思う。 昨晩、改めてそのことを確信した。

 最初から最後まで、あらゆる場面にスパイク・リーの才能と感性が迸っている。 このユーモラスでかつ革新的な社会派ドラマが何の賞も獲れなかったなんて、本当に不思議だ。 

 登場人物は個性的でインパクトのあるキャラクターばかり。 何より、監督のスパイク・リーが自ら演ずる主役の黒人青年、ムーキーがスゴくいい味を出している。 全編に流れるヒップホップのサウンドも最高にいい感じ。 特に、パブリック・エネミーの「Fight the Power」は映画のテーマソングにピッタリだった。

 物語の舞台はニューヨークのブルックリン。 黒人やプエルトリカンが多く住むこの地域(ベッドフォード・スタイヴェサント地区)で、イタリア系アメリカ人のサル親子がピザの店をやっている。 住民の黒人たちにも人気のある場所だ。 

 主人公のムーキーがピザの配達係として働くこの店で、ある日、事件が起こる。 それが引き金になって人種間の対立が一気に爆発してしまうというストーリーだ。 最後はやるせない結末が待っていた。

 この映画は当時の自分に強烈な印象を残した。 「人種のるつぼ」が生み出す魅力と活力、それとは裏腹な人種間の対立と軋轢。 アメリカ社会の抱える問題の根深さを教えられた。 同時にこう予感した。 

 「国際化の波が押し寄せる中、日本も否応なしにコスモポリタンな社会への脱皮を迫られる。いつか日本社会も同じ試練に直面jするだろう」と。 

 26年前に観たこの映画が、(良くも悪くも)今の自分の移民政策に対する考え方に少なからぬ影響を与えている。

追伸:今日(2日)も、朝からリラックスした時間を過ごしている。 昨日の「朝まで生テレビ」での「難民問題」の議論が頭を離れない。 

 そうか。 もう1本、どうしても見たい映画があった。 1915年、第一次世界大戦中にオスマン帝国内で多くのアルメニア人が犠牲になったと言われる事件を題材にした映画「消えた声が、その名を呼ぶ」だ。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」