2015年10月14日

 夜。 新幹線で東京に向かっている。 本日は高崎を中心に企業回りをやった。 無駄のない日程だった。 地元秘書の努力に感謝!

 内閣改造に少し遅れて、新たな党人事の全体像が固まった。 こちらも骨格はほとんど変わっていない感じだ。 下村前文部科学大臣が副幹事長になり、木村前首相補佐官が広報本部長に任命され、政調会長代理の顔ぶれが少し変わった。 そんな程度だろうか?

 政調会長代理は4人。 田村憲久・元厚労大臣、小野寺五典・元防衛大臣に加え、新藤義孝・元総務大臣と松本純・元官房副長官が新たな政調会長代理に就任した。 なかなか強力な布陣だ。 特にシンディー(新藤氏のニックネーム)が政調幹部に加わったのが大きい。 稲田政調会長にとっても大きな力になるだろう。 

 つくづく思う。 こういう「実力主義」の人事が出来るところが、衆院のダイナミックなところだ、と。 さすがは常在戦場に生きる肉食系の人々だ。(笑)

 参院議員としてちょっぴり寂しいのは、参院自民党のトップ人事が一切、話題になっていないことだ。 知り合いのメディア人に電話して、文句をつけた。 「安保法制だって吉田国対委員長を中心とする今の参院執行部が必死に頑張って成立させた。合区の問題でも溝手議員会長が逃げずに矢面に立った。その参院の人事に関して全く何の報道もないって、ちょっと失礼じゃないの?」と。 こんな答えが返って来た。

 「一太さん。申し訳ないけど、参院の人事はマスコミ的にも、世間的にも関心低いです。だって与党の大勢に影響ないもの。それに体制はこのままでしょう?」と。 この言葉が、今の衆参の関係(=参院自民党の存在感)を象徴している気がする。(ため息)

 30代から40代にかけて、いろいろな人たちから、「そんなに元気がいいのに、なぜ、衆院への転出を狙わないのか?上を目指すなら衆院に行ったほうがいい!」と言われ続けた。 「一太さんは安倍さんを総理にしたいんだろう?衆院議員になったほうがずっと役に立てるじゃないか!」とも。

 3期目に突入した後は、(一部の支持者から)「一太君、あんまり長く参院にくすぶっていると、能力がないと思われちゃうよ!」というお叱り(?)まで受けるようになった。

 過去のブログでも触れたが、親分肌の群馬の某先輩衆院議員から、「オレの後継者として次の選挙にに出てもらえないか?」という正式な申し入れをいただいたこともある。 他県の親しい議員(県連会長)から、「うちの衆院の00選挙区が空いてるんだけど、マジに考えてくれませんか?」と誘われたことも今、思い出した。 

 そうかと思えば、尊敬する大物県議から、「ぜひ知事選に出馬して欲しい!どのみち、参院ではトップを目指せないだろう?」と促されたこともあった。 

 それでも(何度も言うが)参院から脱出しようと考えたことは一度もなかった。 「6年間の任期がある参院議員だからこそ出来ることがある!」と信じていたからだ。

 振り返ってみると、無謀にもたった1人で逆らい続けていた村上正邦氏や青木幹雄氏はスゴかった。 良くも悪くも、当時の参院自民党は強烈な存在感を放っていた。 

 ただし、自分が思い描いていた参院の発信力強化の戦略は、参院幹事長だった亡父・山本富雄が考案して、青木幹事長が完成させた「派閥の垣根を低くして1人に権力を集中させることで衆院とのバーゲニングチップ(交渉力)を高める」ことではなかった。 

 この構図だと結果としてトップの発言力は増しても、その他の参院議員の活動を縛り、彼らの個性(存在感)を奪うことに繋がるからだ。 実際、この仕組みがもたらした副作用のために、多くの同僚議員が落選の憂き目に遭った。 

 参院のドンだけに権力が集中する仕組みではなく、参院ならではの多士済々のメンバーが個々の能力を最大限に発揮することで衆院を凌駕するというモデルを目指すべきだと思っていた。

 今から4年前、参院自民党を改革するための唯一のチャンスが巡って来た。 待ち続けた好機だった。 が、革命の試みは1年で頓挫した。 全て自分の力不足が原因だ。 そもそも、基本戦略が間違っていた。 政治家の資質を見抜く目がなかったのだ。(ガクッX20)

 気がつけば、自民党参院議員を20年もやっている。 にもかかわらず、参院の体質は変えられなかった。 次々と参院の舞台に登場する新人たちに、「なるほど、山本一太みたいな生き方が出来るなら、参院議員も面白いな!」と思ってもらえるようなロールモデルを示したかった。  

 今の1回生グループにも、魅力的な人材が顔を揃えている。 ふと思う。 参院自民党のルーキーたちは、参院の実態に失望や幻滅を感じていないだろうか、と。 

 かつて自分が参院のベテラン議員から言われた言葉を、若手参院議員には言いたくない。 「あのね、一太君。君はまだ若い。どこかで衆院に行くチャンスを狙ったほうがいい!本当に活躍したいなら、参院なんて長くいたらダメだよ!」

 参院自民党には、衆院とは異なる才能や実績を持つ人材が集まっている。 そのポテンシャルを活かし切れていないのは、本当にもったいないと思ってしまう。(ため息X2)

 山本一太の「参院自民党革命」は、完全なる失敗に終わった。 が、それでも参院の競争力強化は諦めていない。 そこにある現実を踏まえ、現執行部の奮闘を心から期待している。 いや、期待を寄せているだけではなく、参院自民党幹部の方々の「参院復活のための努力」を少しでも応援したいと考えている。

 ある国際比較のデータによると、日本の高齢者は「昔を懐かしむ」傾向が強いとのこと。 何かと言うと、「昔は良かった」とつぶやくひとがスゴく多いらしい。 50代の今もブロードウェーで夢の実現に奔走している友人の演劇プロデューサーの言葉が、いつも耳の奥に響いている。 「昔は良かったなんて言ってはいけない。俺たちはこれからが旬だ!」

 あ、間もなく東京のアナウンス。

追伸:ハッと気がついた。 「女性がもっと輝ける社会を作る」という安倍内閣の方針に関して言えば、参院自民党は「女性閣僚抜擢」の主要な装置になっている。 この点での存在意義は大きい、な。   


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」