2015年8月28日

 20時過ぎ。 静岡から東京に向かう新幹線の車中にいる。 掛川市内で行われた宮澤ひろゆき衆院議員(静岡3区)の後援会総会で講演した。 テーマは安倍政権の展望。 対中政策、平和安全法制等について熱く語った。

 いつも言っているように、演説はライブと同じだ。 魂を込めて「言霊」を炸裂させた。 途中で居眠りをするひとは誰もいなかった。 そりゃあ、そうだ。 普通の政治家とは、声量と迫力が違う。(笑)

 最近、複数の雑誌が(立て続けに)「安倍総理の取り巻きは極右ばかり」「安倍内閣は極右勢力の影響下にある」みたいな記事を掲載した。 こうした分析には、違和感を禁じ得ない。 安倍首相は断じて「極右」ではないからだ。 

 安倍総理に近い議員たちに「極右」のレッテルを貼るのも間違っている。 事実、極右のジャンルに属するかのように書かれている何人かの同僚議員は、「国益を重視する柔軟なリアリスト」というのが正しい表現だ。

 たとえば、安倍総理の熱烈な応援団である山本一太は、「穏健な保守」を自認している。 どこから見ても「極右」には見えないでしょう?(笑) その自分が20年も応援している安倍首相が「極右」(極端な右翼思想又はその思想を持つひと)のはずがないではないか!(笑X2) 

 いわゆる「左系」の人々からは、「あいつ(一太)は総理を支える極右側近の一人」だと言われ、「極右」の人たちからは、「保守というよりリベラルに近い!」などと批判されている。 両極から攻撃されるのは、(ある意味で)健全だと思っている。

 たとえば、対北朝鮮経済制裁法の成立には中核的な役割を果たしたと自負している。 が、自分は対北朝鮮強硬派というより、対北朝鮮戦略外交派だ。 

 中国に対しても厳しい発言を繰り返してきた。 「中国は基本的に力の信奉者。ナイーブな友好関係などというものは存在しないと思ったほうがいい!」と。 それでも、日中関係は重要だと考えている。 だからこそ、安倍総理の「戦略的互恵関係」という対中政策を強く支持している。 

 最近の韓国政府の感情的な対日アプローチには辟易しているものの、韓国が日本にとって重要な戦略的パートナーだという見方は変わっていない。 そうじゃなかったら、日韓議員交流をあんなに一生懸命、やったりしない。

 過去のブログにも書いた記憶があるが、安倍総理の「靖国参拝」に関しては、「これまでの戦略を変えないほうがいい」と考えていた。 が、2012年12月に総理が公式参拝した直後から、総理の決断を支持することに決めた。 

 あの時期の参拝には、様々な深謀遠慮があると感じた。 「国家のリーダーとして国のために戦い犠牲になった方々に尊崇の念を表すのは当然」「不戦の誓いをするために参拝した」という安倍総理の説明にも納得した。

 ただし、長期安定政権を目指す安倍総理が在任中、(同じような形で)靖国神社を公式参拝することはないと信じている。 総理の言っていることが間違っているからではない。 2度目の公式参拝は、間違いなく(しかも前回以上に)中国、韓国に政治的に利用されるだろう。 戦後体制の修正主義者だと改めて国際社会に喧伝され、米国を複雑な立場に追い込むことは目に見えている。 

 安倍総理には(名宰相として)歴史に残る外交実績を残して欲しい。 心からそう願っている。 だからこそ、上記のシナリオは回避しなければならない。 そこは冷静かつ慎重な「リアリスト」である安倍総理のこと。 全ての要素を勘案して対応を決めるはずだ。

 安倍総理の「戦後70年談話」は、とてもよく練られた、素晴らしい内容だったと思う。 ひとことで言うと、「今後も平和国家としての道を歩む」という総理の決意が凝縮された談話だった。 いわゆる4つのキーワード、「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「お詫び」も、全て(少し表現は変わったが)盛り込まれた。

 談話発表の記者会見で、総理は「村山談話、小泉談話で引き継がれてきた気持ちは、安倍内閣でも揺るぎのないものとして引き継いでいく」と明言した。

 特に「侵略」というキーワードに関して、総理は同日夜に出演したNHKのニュース番組で、「『中には侵略と呼べる行為もあった」とした21世紀構想懇談会に同意する」と話していた。 

 そのことを踏まえた上で、総理はこうも言った。 「具体的にどのような行為が侵略になるか否かについては歴史家の議論にゆだねるべきだ」と。 総理のこの「政治は歴史に対して謙虚でなければならない」という従来の主張はよく分かる。 安倍総理は行政府の長なのだ。 「これは侵略で、あれは自衛のための戦いだ」などと軽々に論評出来るわけがない。 そもそも、安倍総理が「侵略」や「植民地支配」を否定したことは一度もない。

 ちなみに山本一太自身はこう考えている。 総理が指摘しているように、ある戦争が侵略戦争なのか、それとも自衛の戦争なのかを決めるのは難しい。 だいいち、日中戦争と太平洋戦争を全く同じ基準で論じるのは正しくないと思う。 

 ただし、あの戦争は中国、韓国を含むアジア諸国の人たちの目から見れば、明らかに「侵略的戦争」だった。 この事実を否定することは出来ない。 この点を曖昧にしたら、中国、韓国との間に真の戦略的パートナーシップは築けない。 

 あ、間もなく東京駅のアナウンス。 都内のファミレスで大事な打ち合わせがセットされている。

追伸:安倍総理を支持している政治家の中には、「中国や韓国が何を言おうと、安倍総理は靖国神社を公式参拝すべきだ!」と主張するひとたちもいるだろう。 が、違う意見の議員もいる。 それぞれ、「そうすることが安倍総理のため(国益のため)だ」と確信しているのだ。

 改めて言う。 安倍首相は「極右勢力」に支えられているわけではない。 幅広い考え方の人たちに支持されているのだ。  


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」