2015年8月24日

 朝鮮半島情勢が緊迫している。 軍事境界線付近の韓国側の非武装地帯における北朝鮮の地雷の爆発、対抗措置としての韓国による北朝鮮向けの宣伝放送の再開、それに続く韓国軍と北朝鮮軍による砲撃の応酬という流れの中で、南北間の緊張が高まっている。 北朝鮮は前線地帯に「準戦時状態」を宣言した。 板門店で南北高官による協議は行われているものの、緊張緩和に向かうかどうかは分からない。

 韓国国防当局の発表では、北朝鮮は約70隻ある潜水艦の7割、つまり通常の10倍以上の潜水艦を出動させている。 韓国軍が追跡に全力をあげているがまだ位置を掴んでいないらしい。 軍事境界線付近の砲兵戦力も数倍に増加させているとのこと。 これに対抗して韓国軍も北朝鮮軍の同時多発的な挑発を念頭に、最悪の状況も想定した最高レベルの警戒態勢を維持していると報道されている。

 このブログは、参院予算委員会のTV中継を見ながら書いている。 朝鮮半島における南北間の軍事的緊張が高まっていることについて、岸田外務大臣は、「北の自制を求める。我が国としては情報の収集に努めつつ、米韓とも緊密に連携して、対応に万全を期したい」という意味の答弁をした。 

 安倍総理からは、「平和安全法制は特定の国を対象としたものではない。が、北朝鮮の情勢や中国の動きを考えれば、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっていると言わざる得ない。切れ目のない対応と外交の両面で対応していく」という趣旨の答弁があった。

 徒らに危機感を煽るつもりはない。 政府には、引き続き冷静な分析と対応を求めたい。 南北の話し合いで事態が鎮静化することを期待している。 が、(たとえ可能性は低くても)「最悪の展開」を想定した備えは必要だ。

 数百発のノドンミサイルは日本全土を射程に収めている。 それだけに、韓国の聯合ニュースの「韓国政府関係者が北朝鮮が中距離弾道ミサイル『ノドン』や短距離ミサイル『スカッド』の発射に向けた動きを見せている」という報道にはドキッとした。

 今回、南北の軍事境界線付近で発生した軍事的緊張は、図らずも日本を取り巻く安全保障環境がいかに不安定なのか、平和安全法制によって切れ目のない抑止力を確保しておくことが我が国の安全を守るためにいかに重要なのかを内外に示すことになった。 

 朝鮮戦争はまだ終わっていない。 そして、朝鮮半島有事のシナリオは、けっして机上の空論ではない!


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」