2015年8月5日

 午前10時から午後5時まで参院平和・安全法制の一般質疑。 自民党からは、北村経夫参院議員と三宅伸吾参院議員の2人が質問に立った。 北村氏は産経新聞、三宅氏は日経新聞の出身。 それぞれ異なる切り口で、平和・安全法制の意義や目的を浮き彫りにしていた。 レベルの高い質疑だった。

 中谷元防衛大臣は今日も厳しく追及された。 法案担当大臣としては、やむを得ない。 この法案を廃案に追い込もうと躍起になっている野党にとっても、毎日が真剣勝負なのだ。 次々にエースを立てて、波状攻撃を繰り返して来る。 当然の戦略だ。 中谷大臣には、野党の1つ1つの質問に、丁寧かつ真摯に対応してもらうしかない。 誰がやろうと、相当の忍耐力が求められるポジションだ。 

 防衛大臣が答弁する度に、野党席や場外席からヤジが浴びせられる。 「全然、質問に答えてないじゃないか!」「言ってることが違うぞ!」「恥を知らないのか!」 その度に、速射砲のようにピンポイントで応酬してしまいそうになる気持ちを抑え、自分に言い聞かせる。 「与党の委員としてこの法案に臨んでいるのだ!」と。 だいいち、野党時代の参院自民党はもっとアグレッシブだった。

 これまでの衆参での議論を見て、改めて思った。 中谷大臣は(精神的にも肉体的にも)本当にタフだなあ、と。 どんなに叩かれても凹んだりしない。 野党委員に執拗に突っ込まれて審議がストップしても、マスコミに「答弁がゆるい」と批判されても、けっして苛立ったり、拗ねたりする様子がない。

 もし自分があの大臣席にいて、野党議員から聞くに堪えない言葉で罵られたとする。 自分ならその議員の顔も言葉も絶対に忘れない! 平静に振る舞いながらも、「今に見てろよ!どこかで必ず逆襲してやる!」と心に誓うはずだ。 ああ、我ながら、なんと心の狭い人間だろうか。(笑)

 ところが、中谷大臣は淡々としている。 どんなに手厳しい言葉を投げつけられても、相手を憎むとか恨むとか、全くそういう感じがない。 事実、当日の審議で激しくやられた委員に対しても、審議の後は(ニッコリ笑って)頭を下げている。 おおらかというか、さっぱりしているというか、粘り強いというか…。 同い年(政治キャリアはむこうが5年先輩)の山本一太より、明らかに「人間としての器」が大きい。

 20年前、初当選した数ヶ月後に派閥横断の次世代政治家グループ「YKK」(グループ新世紀)のメンバーになった。 最初から最後まで、YKKに参加した参議院議員は自分だけだった。 当時、権勢を誇っていた村上正邦・参院自民党幹事長の圧力があったからだ。

 それはそうと、あれだけ派閥が影響力を誇っていた時代に、(派内の長老たちに叱責されながら)この枠組みを立ち上げた3人の次世代リーダー(加藤紘一元幹事長、山崎拓元幹事長、小泉純一郎元総理)の勇気に改めて感動する!

 中谷大臣もYKKの主要メンバーの一人だった。 当時、若手議員だった安倍総理がこう話していたのを思い出した。 「政治家はどんな勉強会でも役職を欲しがるひとが多いんだけど、中谷さんてポストにこだわらないひとなんだよね!」 

 第一次安倍政権の終盤、その中谷氏が自民党代議士会で安倍首相に退陣を迫る発言をした。 TV番組にも出演して「造反有理」を力説した。 このことは、とても残念だった。

 が、あの時のことを忘れていないはずの安倍総理が、中谷氏を再び防衛大臣に起用した。 ここらへんがまた安倍首相らしいと思ってしまう。

追伸:世の中には、「生まれつき底意地の悪い人間」というのがいる。 政治家になって初めてそのことを知った。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」