2015年6月27日 *掲載順が前後します。

 14時から長野県飯田市育良町(シルクプラザ)で開催された吉田博美・参院自民党国会対策委員長の政経フォーラムで講演した。 1年近く前から、「一太さん。来年6月に地元で予定している私のフォーラムにゲストとしてぜひ来て欲しい!」と頼まれていた。 

 吉田博美・参院議員の支持者の集まりで演説するのは、2年前の参院選挙の決起大会以来だ。 自分で言うのも何だけど、あれはかなりの名演説だったと思う。(笑) 「了解しました。声をかけてもらってスゴく嬉しい。吉田さんの会だもの。必ずうかがわせてもらいます!」と約束していた。

 テーブル形式の会場は満席だった。 40分間、熱弁を振るった。 講演の冒頭、次のように言った。 「今日は参院自民党執行部で吉田国対委員長の右腕として活躍している石井準一参院議員も私の後にしゃべることになっています。」

 「吉田国対委員長が自民党の中でどれほど重要な役割を果たしているかについては、準ちゃん(石井参院議員)から語ってもらえると思います。だから私は、今の日本において、吉田博美という政治家がどんな役割を期待されているかということに絞ってお話したいと思います。」

 安倍総理の対中政策を切り口に、吉田国対委員長に担って欲しい役割、いや、吉田さんでなければ果たせない役目について力説するつもりだった。 が、その前に、吉田参院議員の人柄や政治信条に少しでも触れたかった。 中津川駅まで迎えに来てくれた吉田さんの長年の支援者である社長さんから、「一太さん、吉田議員の政治家としての魅力や存在感を集まったひとたちに伝えてください!」とお願いされたからだ。 

 気がつくと、その部分だけで、ほぼ30分を費やしてしまったことに気がついた。(ガクッ) 日中関係の展望に言及する時間はなかった。(残念) やっぱり思い入れがあるから…なあ。

 吉田博美氏の人間性を語る上で、江戸時代中期に活躍した松代藩(長野県)の名家老、恩田木工(おんだもく)のエピソードは欠かせない。 2年前の応援演説でもこの人物に言及した。 恩田木工こそ、吉田博美参院議員が心に描く理想の政治家像なのだ。

 恩田木工の業績を綴った「日暮硯」(ひぐらし・すずり)は、藩政改革のバイブル(成功例)として、その後も広く読み継がれた。 今も経営者のセミナー等では題材としてよく使われているようだ。 この人物の政治哲学や業績を調べれば調べるほど、吉田博美参院議員の政治スタイルに重なる。

 恩田木工は改革を断行するにあたって、「率先垂範」を旨とした。 松代藩の財政を立て直すために、最後まで2つの哲学を貫いた。 ひとつは、「絶対に嘘をつかない」こと。 もうひとつは、「いったん下した指示は、命に代えても撤回しない」ことだ。 そう、「信義を守る(人との約束を破らない)」ことは、人の上に立つ人間にとって、最も重要な資質だ。 

 加えて、恩田木工は人心掌握術も巧みだった。 藩の改革を最も恐れていたのは、悪行を繰り返していた役人たち。 その悪役人たちを成敗する(=敵に回す)のではなく、彼らの悪知恵を生かすために味方につけた。 「改革は急がずゆっくり進める」と言って、皆を安心させた。 ここらへんの手法が、実に吉田さんのやり方に似ている。 

 メインテーマとして考えていた日中関係の考察は全て省略して、最後にこう締めくくった。 「安倍総理自身に慢心や油断はありません。が、ここ一連の出来事を見ると、自民党に驕りが出ているのではないかと心配しています。」

 「総理は周りのアドバイスに真摯に耳を傾けてくれるひとですが、長期政権になるに従ってさらに存在感を増すと、なかなか総理に物を言えるひとがいなくなってくると思います。多くの政治家は、総理のご機嫌をとって得をしよう、いい役職ををもらおうと考えるからです。が、吉田国対委員長には、最初からそういう下心がありません。安倍総理とこの国のことを本当に思っているからこそ、必要な時は総理に直言出来る。そういう数少ない存在であり続けて欲しいと願っています。」

 「あ、そうだ。今日、時間がなくて出来なかった日中関係の話は、来年の政経セミナーでやらせていただきます!(笑)」

追伸:
1.「汗はかいても手柄はひとに」とか、「表に出るより裏で支えるひとになる」とか、口で言うのは簡単だ。 が、本当にそれを実践している政治家って、吉田博美氏の他には思い浮かばない。 

 国会対策委員長だって、本人が望んだ役職ではない。 政経セミナーの挨拶でも、「申し訳ないが、自分が大臣になることはない。そういう期待はしないでください!」と本気で話していた。

2.過去のブログにも何度か書いたが、最初に知り合った時、吉田さんがあの青木幹雄元参院議員会長の側近だとは全く知らなかった。 お互いに何の打算もなく始まった友情だ。 そこがとても気に入っている。 なるほど、政界でもこんなことがあるんだなあ。

3.このブログを掲載したら、必ず(いつものように)複数のメディア関係者から電話が来るだろう。 きっとこう言うはずだ。 「一太さんがそこまで言うなんて、吉田さんてスゴい政治家なんですね!」


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」