2015年6月4日 *掲載順が前後します。

 午前8時から「自民党クールジャパン戦略推進特命委員会」の役員会があった。 提言の取りまとめについて話し合った。 その後も党の部会や議員連盟(懇話会)、国会議員とのミーティング等が続いた。

 19時からは、自民党中央政治大学院「まなびとプロジェクト異業種勉強会交流」で講師を務めた。 前回の「日本の対外情報発信力の強化とクールジャパン」が好評だったと事務局におだてられ(笑)、続編をやる羽目になった。 日中関係を切り口に、クールジャパン外交の可能性について熱く語った。 前回同様、質疑応答も活発だった。 出席者の皆さん、次は居酒屋かなんかでやりましょうね。

 昼食は中華料理。 20年来の盟友である荒井広幸参院議員と久々に食事をした。 過去20年、途中から政治家としての道は大きく分かれてしまったが、2人とも何とか生き残って来た。 山本・荒井の間には、周りが思っている以上の「絆」がある。 

 今から19年前、参院選挙に当選した数ヶ月後に、早くも大きな政局に遭遇した。 同じ派閥で、亡父とも親しかった小泉純一郎元総理が自民党総裁選挙に初めて立候補したのだ。 

 国会議員としては数年先輩で同い年の荒井広幸氏と一緒に派閥(清和会)の総裁選挙チームに加わった。 2人しかいない企画本部で、様々な候補者PRのアイデアを練り、次々に実行した。 というか、小泉候補の魅力を国民にアピールする戦略は、ほとんどこの若手コンビに任された。 

 この時の思い出を語り始めたら、何時間あっても足りない。 当選したばかりの新人議員にとっては、ドキドキする経験の連続だった。

 当時、荒井広幸衆院議員は、安倍総理の最も親しい同僚だった。 党本部の大ホールで開催された候補者演説会では、安倍晋三衆院議員が(小泉選対を代表して)小泉純一郎候補の応援演説をやることになった。 さっそく、3人(安倍、荒井、山本)で新橋の料理屋の2階に集まった。 安倍代議士の応援原稿の内容をチェックしたり、ストップウォッチで演説の長さをチェックしたりした。 あの時の様子は、昨日のことのように憶えている。

 当時、安倍総理は(人望はあったが)党内でも世間的にも地味な存在だった。 いわゆる2世議員の中では、石原伸晃氏、渡辺喜美氏、河野太郎氏等のほうがずっと目立っていた。 が、山本・荒井コンビだけは、「安倍さんは将来、必ず総理候補になる!」と確信していた。 

 オリジナルの「ふかひれスープご飯」を食べながら、荒井氏が嬉しそうな顔で言った。 「安倍総理があの地獄を乗り越えて復活した。戦後の名宰相としての道を歩んでいる。あの頃を知るオレらにとって、こんな嬉しいことはないよなあ!」と。 1996年の秋。 自民党総裁選挙を共に戦ったあの頃から、安倍総理を応援する気持ちだけはお互いに全く変わっていない。 その事実を再認識した。

 気がつけば、20年も政界にいる。 数え切れないほどのエピソードがある。 この間、いろいろな政治家と関わり、すれ違った。 今ではすっかり「大物」みたいに振舞っている議員たちだって、新人の頃には落選を経験したり、資金集めに苦労したりしていたのだ。 中選挙区時代には常に下位で当選していた人たちが、小選挙区に変わった途端に「選挙の強い政治家」に変貌した。 「オレ(私)は選挙基盤がしっかりしているからね」なんて囁いているのを聞くと、苦笑いしてしまう。

 「政界の一寸法師」と呼ばれる荒井広幸氏は、地盤も看板もないところから苦労を重ねて赤い絨毯まで攻め上って来た。 安倍総理と親しいのは、お互いに相手にないものを持っているからだと思う。 荒井氏の政治手法は、やはり2世議員である山本一太とも違う。

 デザートを食べている最中に、「これだけタイプの違う2人(山本一太と荒井広幸)が、どうして永田町で生き残ってこれたのか?」という話題になった。 少し考えて、荒井氏が次のようなことを言った。  

 「まあ、オレらは『等身大』を貫いて来たからじゃないか。たとえば、若い時に選挙に弱かったり、お金がなかったりした議員は、無理して強引に資金集めをやったり、胡散臭い人脈にも頼ろうとする。これが後々の災いになって自分自身に返って来る。そういうケースは多いよ。」

 頷きながら、こう返した。 「うん、荒井さん。そのとおりだと思う。それと、(幸か不幸か)勘違いがなかったのがよかったね。」と。

 政治家は重要ポストに抜擢されたり、長い間、重い役職についていたりすると、周りにチヤホヤされ、勘違いする。まるで自分が未来のリーダー候補であるかのように思い込み、自意識過剰の状態になる。 実際は国民的な人気や知名度もなく、仲間からの人望も大してないのに!(苦笑)  こういう場合にも、『等身大の自分』を見極める謙虚さが必要だ。 

 来月、荒井議員と親しい若手政治家を2人誘って、もう一度、4人でご飯を食べることになった。 過去を懐かしむだけでは、何の進歩もない。 が、過去を振り返ることで、未来の姿が見えて来ることもある。 山本・荒井懇談、数ヶ月に一度くらいは、やったほうがいいかも。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」