2015年5月28~29日 *掲載順が前後します。

 沖縄担当大臣になって以来、琉球新報と沖縄タイムスに目を通すようになった。 そりゃあ、そうだろう。 沖縄に関する情報量は(他紙に比べて)圧倒的に多い。 発行部数等から考えても、この2つの新聞が沖縄で最も影響力のあるメディアであることは疑う余地がない。

 大臣時代、定例記者会見の席には、常に琉球新報と沖縄タイムスの記者がいた。 時々、難しい質問をされたが、個人的に悪い印象はない。 2年弱の間に何度かひとが変わったが、真面目で勉強熱心な記者ばかりだった気がする。

 ただし、沖縄基地問題に関する2紙の論調はかなり偏っていると言わざる得ない。 沖縄の外から客観的に見れば、誰だってそう思うはずだ。 「朝まで生テレビ」では、(言葉を慎重に選びながら)次のような趣旨の発言をした。

 「昨年12月の沖縄知事選挙では、翁長知事が選ばれた。これが沖縄の方々の民意だ。その点は重く受け止めねばならないと思う。が、翁長知事の考え方が(多数であったとしても)『沖縄の圧倒的な民意』だと言われると違和感がある。昨日、知事選挙の結果を改めて細かくチェックしてみた。翁長候補(現知事)が約36万票、仲井真候補(前知事)が約26万票だ。比率にすると5対3.5ということになる。」

 柔らかい口調でこう続けた。 

 「仲井真前知事は辺野古への代替施設建設を容認する立場を鮮明にして選挙を戦った。それでも4割近いひとが仲井真候補を支持した。残念ながら、仲井真前知事の名前を書いたこのひとたちの意見が、2つの主要メディアでほとんど取り上げられていない感じがする。」

 ひと呼吸おいて、以下のような問題提起をした。

 「(沖縄の過去の歴史や基地問題の経緯等から)それはそれで沖縄のメディアのあるべき姿だというなら、そう考える理由を聞きたい。自分はマスコミの重要な役割の1つは、多様な意見をすくい上げ、世の中に発信することだと思っている。影響が大きい分、報道にもそれだけの責任が伴うのではないか?琉球新報と沖縄タイムスは、4割近い人々の立場ももっと取り上げるべきではないのか?」と。

 司会の田原総一朗氏が「4割近い民意を十分伝えていないという点はどうなの?」と投げかけた。 小林よしのり氏が、「確かに偏っている。読むのが嫌になった時期がある」という意味のことを言った。 が、コメントを求めた2人の有力なジャーナリストからの反論や説明はなかった。

 翁長知事がよく、「本土のメディアは上から目線だ」と批判する。 が、中央のメディアは、政府の立場だけでなく、翁長知事の主張もしっかりと報道している。 沖縄の主要メディアにも、同じことをお願いしたい。 基地問題や沖縄振興に関して複数の意見を紹介する時は、ぜひとも「異なる立場の見解」を掲載して欲しい。

 
◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」