2015年4月26日~5月2日:パート6

 訪米同行中、安倍総理がイライラしたり、周りを叱り付けるような雰囲気は全くなかった。 同行している官邸や外務省のスタッフを(いろいろな意味で)大事にしていた。 

 こういう総理なら、仕えている役人たちだってやり甲斐があるだろう。 「このひとを本気で支えよう!」と心から思うに違いない。 安倍総理の「人間力」については、このシリーズの中で改めて触れる。

 え? こんなこと、外に発信するひとは誰もいない。 だから、このブログを続けているのだ。 さあ、熱い紅茶を片手に、<サンフランシスコ編>の後半を始めたい。 

<サンフランシスコ編:No.2>

 今回、総理がシリコンバレーでどの企業を訪問するのかは、最後まで議論になった(?)ようだ。 最終的に総理が訪問先として選んだのは、あのイーロン・マスク氏が経営するテスラー社と、若きマーク・ザッカーバーグ氏が創設したFacebook社だった。

 宇宙産業に革命を起こしたスペースX社のCEOを務めるイーロン・マスク氏は、今、米国で最も注目されるベンチャー経営者の一人。 昨年、来日した際には、総理官邸の安倍総理を表敬訪問した。 実はこの2人の初めての遭遇には、山本一太も貢献している。

  イーロン・マスクCEOが来日する少し前に、スペースXの副社長から次のようなメールを受け取った。 「総理との面会希望を出しているが、官邸側からまだ返事がない。山本前大臣からプッシュしてもらえないか?」という内容だった。 

 さっそく担当の総理秘書官に連絡し、安倍総理に簡単なメモを届けてもらった。 メモには、「総理、イーロン・マスク氏は、今、米国で最もホットな人物です。時間が取れるようなら、ぜひ一度、会ってみてください。それだけの価値があると思います」と書いた。 それからほどなくして、日程が固まった。

 総理とイーロン・マスクCEOとの縁を作ったことは、(大臣時代に)インドのモディ首相のツイートに対するリプライを総理に進言したのと同じくらい「意味のあること」だったと自負している。(笑) 

 残念だったのは、来日中、某ホテルで開催されたテスラーのお披露目式に駆けつけたイーロン氏に(会場への到着が遅れて)会えなかったことだ。(ガクッ) 今回も直接、言葉を交わす機会はなかった。 いつか、ちゃんと会えるといいなあ。

 テスラー社の入り口に置かれた赤い車。 そのカッコいい車の前で、イーロン・マスク氏が総理を出迎えた。 最高の構図を撮ろうとTVカメラが殺到。 イーロン氏はその場で総理と通訳を車に乗せ、自らの運転でテスラー社の周りをぐるっと回り、同じ場所に戻って来た。 さすがは時代の寵児。 マスコミの使い方が上手い。 そのまま2人で建物に入り、内部を視察。 最初から最後まで、イーロンCEOが総理にぴったりと同行。 全て自分で説明した。

 続いてFacebook社を訪問。 本社の前で、ザッカーバーグ氏が待っていた。 トレーナー(セーター?)パーカーとジーンズというお馴染みのスタイル。 総理とFacebook幹部との懇談では、ビッグデータに関する日本政府との連携等が話題になった。 終始、なごやかな雰囲気だった。

 総理のザッカーバーグ氏を見る目は優しい。 Facebookの最高責任者と言っても、まだ29歳なのだ。 2人の細かいやり取りは書かない。 が、ザッカーバーグCEOにとって、映画「ソーシャルネットワーク」があまりお気に入りではないことは感じ取れた。(笑)

 次の訪問地は、iPS細胞の山中伸弥教授が籍を置くグラッドストーン研究所だった。 ノーベル賞受賞後も全く変わらない山中教授の誠実な人柄と細胞研究に対する真摯な姿勢に、改めて感銘を受けた。 世界最先端の研究を牽引し続けるこのひとこそ、「生きているクールジャパン」かもしれない。

 20年の政治生活の経験から得た結論。 それは、「際立って優秀な人間は大抵、性格が悪い(=底意地が悪い)」という事実だ。(笑) たとえば、頭がキレる政治家ほど二枚舌を使う。 

 さらに言うと、科学技術担当大臣として様々な研究者に会う中で分かったこともある。 こちらは、「天才と人格者は滅多に両立しない」という法則。 その意味で言うと、山中教授は「天才と人格者が共存している」数少ない存在だと思う。(笑X2)

 あ、携帯が鳴っている。 この続きは<サンフランシスコ編:No.3>で。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」