2015年5月4日:パート3

 安倍総理がホワイトハウス(オーバルオフィス)でオバマ大統領との日米首脳会談に臨んでいる頃、同じホワイトハウスのイーストウィングで、オバマ大統領のネット発信を担当するチームの責任者、ルービン・ナサニール氏に会った。 予想していたとおり、山本一太よりずっと若かった。 

 オバマ大統領の最初の選挙キャンペーンからネット戦略に関わっているこの人物から、大統領を支えるネット発信チームの構成や活動の中身について生の話を聞いた。 スゴく面白かった。

 詳しい会話の内容は書かない。 が、TwitterやFacebook、Instagram等を駆使して、米国大統領の人間的側面や政策を伝えようと日々奮闘しているチームの実態がよく分かった。

 オバマ大統領のパーソナルアカウントのフォロワー数は6千万人弱。 もちろん、ダントツの世界一だ。 大統領府の公式アカウントにも、約6百万人のフォロワーがいる。 Twitterのアカウントを持つ数多くの首脳の中でも、オバマ大統領がこのツールを最も効果的に活用している国家リーダーであることは疑う余地がない。

 それはそうとしても、オバマ大統領の公式アカウントに書き込まれる全てのツイートが「大統領自身の手で投稿されている」と考えているひとはいないと思う。 Twitterを含むSNSを通じて頻繁にメッセージを発信している各国の首脳の場合も同じだろう。 事実、ナサニール氏はネット戦略チーム自体が様々な知恵を出していることを隠さなかった。

 安倍総理もネット発信強化の重要性を認識している。 あらゆるチャンネルを通じて自らの政策や考え方を内外に伝えたいと思っている。 だからこそ、わざわざ「総裁ネット戦略アドバイザー」というポスト(位置付けは総裁補佐)を創設したのだ。 

 ただし、超多忙な総理が、SNS等に直接メッセージをアップする時間はなかなか取れない。 物理的に難しい。 だから、他の信頼出来る人間に「自らの言葉をTwitterを含むSNSに投稿する」ための作業を代行させている。 このこと自体は、けっしておかしなことではない。

 それでも、あえて「誰かが総理の代理で作業している」ことを公にする必要はなかった。 知らせなくてもいい情報をわざわざ(手違いで)発信してしまった。 何のプラスにもならない。 総理がSNS等を通じて公式に発信する全てのメッセージは、それが総理官邸のアカウントであろうと個人のアカウントであろうと、安倍首相自らが(仕事の合間に)パソコンやスマホを操作して書き込んでいると信じていたひともいると思うからだ。 

 今回、山本一太の稚拙なミスで、その人たちのイメージを壊してしまったとしたら、本当に申し訳なかったと思う。 特に安倍総理を応援してくれている人たちをガッカリさせてしまったとすると心が痛む。 この点は率直にお詫びしたい。 本当にごめんなさい!

 先ずこのことを謝罪した上で、改めてこれだけは言っておきたい。 今回のアカウントの誤操作について、一部の人たちがネット上で「総裁ネット戦略アドバイザーの山本一太が安倍総理の『なりすまし』をやっている」とか、「首相のアカウントを乗っ取った」などと煽った。 が、そうした事実は全くない。(断言) 

 その後のツイートでも説明したとおり、総理のパーソナルアカウントから発せられる言葉は、全て総理自身の言葉だ。 ネット戦略アドバイザーである自分が総理の要請を受け、総理自身のメッセージを投稿している。

 だいいち、過去20年間、安倍総理を一途に応援してきた、かつ第2次安倍内閣で閣僚まで務めた自分が、総理の「なりすまし」をやったり、アカウントを「乗っ取る」などということをやるわけがない。 誰が考えたって分かる。 このブログを読んでいる多くの友人たち(たとえば柴山昌彦衆院議員や河野太郎衆院議員等)は、このフレーズを読んで一斉に「そりゃあ、そうだ!」と頷いてくれているに違いない。

 しかも、訪米中の総理のツイートの投稿には、特に慎重を期した。 安倍総理のその日の日程が終了した後、同行していた広報担当の総理秘書官等と毎晩、集まって作戦会議をやった。 ツイートする総理の言葉をアップする前に、表現等に問題がないかをチェックするためだ。

 親しい友人(ネットの達人)が、電話でこう話していた。 「一太さん、今回の件がいわゆる『なりすまし』と違うことは、皆、分かっているんですよ!」と。 そう、分かっているのに、面白がって意図的に拡散している人たち、悪意を持って安倍総理へのネガキャンに使っている人々がいるのだ。 

 世の中には、四六時中、安倍総理の足を引っ張ろうと躍起になっている勢力がある。 誰が見ても大きな成果を上げた(=文句のつけようがない)今回の訪米についても、ケチをつける材料を懸命に探している人たちがいる。 

 ちょっぴり悔しいのは、自分の不注意で、何かあれば(どんな理由をつけても)安倍総理を攻撃しようと狙っている人たちに「格好の材料」を提供してしまったことだ。 その点については、命がけで日本再興に取り組んでいる安倍総理に申し訳ないことをしてしまったと思う。 それでも、電話で経緯を報告した時の総理は優しかった。(ため息) 

 政治家山本一太は、見た目より慎重だ。 大臣就任前も就任後も、そして閣僚を降りた後も、安倍総理にマイナスにならないように注意深く行動してきたのに…なあ。(残念) 

 が、自分はどんなことも前向きに捉えることにしている。 こんなことで挫けたりしない。 見方によっては、「総裁ネット戦略アドバイザー」の存在を世間に知ってもらうキッカケになったかもしれない。 

 災い転じて福となす。 この失敗を反省し、次に生かしていくことが重要だ。 ネット戦略アドバイザーとして初となる総理の外交日程への同行で学んだことは山ほどあった。 今後はさらに知恵を絞って、安倍総裁のより効果的かつ戦略的なネット発信の展開を後押ししていきたい。

追伸:
1.昨晩、ネット戦略アドバイザーの「首相アカウント乗っ取り(?)事件」に関するツイートをかなり丁寧に読んだ。 こんなこと普通はやらないが、少し気になることがあった。  

 ふうむ。 批判されるのは仕方がないとしても、よくこれだけ様々な切り口で他人の悪口を書けるものだ。 不愉快になる前に逆に感心した。(笑) それ以上に、自分に対する悪口雑言の並ぶツイートを平気で読み続けられる自らの忍耐力に感動した。(笑X2)

 中には、(少数でも)正確な事実を指摘してくれたり、ネット戦略アドバイザーの失態を庇ってくれるつぶやきもあった。 なるほど、サイバースペースの世論は多様だ。 産経ニュースが事実関係を正確に伝えてくれことは嬉しかった。

 が、しかし、幾つかの「あまりに悪質な誹謗中傷のツイート」はその場で保存した。 事実を意図的に歪めて拡散させ、他人の人格を捻じ曲げて伝え、安倍総理のネガキャンに結びつけようとする狙いが明確だからだ。 

 本当に申し訳ないが、内容をもう一度精査した上で、(場合によっては)投稿した人物を(正規の手続きを踏んで)特定させてもらう。 公に抗議するためだ。 そうなった時は、その人物のツイートの内容はもちろん、今後のやり取りも全てこのブログで公開する。 

 すなわち、このシリーズは3、4と続く可能性がある。 続編が登場した時は、ぜひ、読んでください。 日本におけるネットリテラシーの議論に(ほんのちっちゃな)一石を投じられるかもしれない。

2.総裁ネット戦略アドバイザーの使命は総理のSNS等による発信をサポートすることだけではない。 外交戦略としてのSNSの活用はもちろん、サイバーセキュリティー対策を含むネット政策全般に関しても、安倍総裁への様々な提言を準備している。

 総裁ネット戦略アドバイザーの設置から半年が経過。 試行錯誤を繰り返して来たが、そろそろ一歩踏み出す段階になった。 発信の材料も揃いつつある。 今月中には「定例記者会見」をスタートさせたいと思う。   


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」