2015年4月17日

 午前8時。 武見敬三参院議員、黒川清東大名誉教授、ピーターピオット・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長等との朝食会。 朝から英語で議論するのは疲れる。(ふう) が、とても有意義な会合だった。

 午前10時から参院本会議。 昼12時からは「自民党クールジャパン戦略推進特命委員会」があった。 6月中にCJ特命委員会としての政府への提言を取りまとめ、内閣の方針に少しでも反映させたい。 今日はその流れも意識しながら、政府と海外需要開拓支援機構(クールジャパン)機構からの2度目のヒアリングを実施した。 機構の最新の取り組み状況とクールジャパン戦略に関する政府の人材育成について議論を交わした。

 クールジャパン機構には、政府出資300億+民間出資106億=計406億円が集まった。 機構はこの事業スキームを活用し、次のような基本方針の下に活動を展開して来た。 

(1)民間投資の呼び水としてのリスクマネーを供給し、民間部門では成し得なかった、海外需要獲得の基盤となる「プラットフォーム」(拠点)や「サプライチェーン」(流通網)の整備等を展開する。ただし、機構はあくまで民業補完の機能に徹底。

(2)市場規模・市場ポテンシャルの大きな対象国(地域)における事業を重点的に支援し、核となる成功モデルを世の中に発信することで大きな波及効果を狙う。

(3)投資対象は生活文化に係る幅広い業種。中心はメディア・コンテンツ、食・サービス、ライフスタイル・ファッションの3つ。その他、切り口の違うエリアも並行して検討。

 なるほど、これまでに決定した投資案件は、いずれも上記の方針に合致している。 たとえば、海外に向けて日本のマンガ、アニメ等のポップカルチャーの魅力を発信する事業として「Tokyo Otaku Mode」に15億円を、世界22カ国に日本コンテンツの有料放送チャンネルを展開し、地域物販やインバウンドを促進するため、MCIPホールディングスに10億円を、80言語以上に対応した日本のコンテンツの世界発信のためのローカライズ基幹インフラ(SdiMedia)の買収に70億円をそれぞれ出資している。

 加えて、すでに世界中でブームになっている日本食のさらなるアピールのため、マレーシア(9.7億)と中国(110億)のジャパンモール、ベトナム(7億)の日本食材コールドチェーン等の事業に対する支援を決めている。 KADOKAWAが世界12の国、地域での展開を予定するクリエーター人材育成スクールへの4.5億円の支援も目を引く。

 海外需要開拓支援機構からは、飯島会長と小糸専務執行役員が出席。 とても分かりやすい説明だった。 某副大臣が、「一太さん、会長を含め、機構の幹部はやる気のあるひとが多いですよ!」と言っていたのを思い出した。

 会議の最後に、CJ特命委員長として3つの要望を出した。 第1に、支援対象を発掘するためのネットワークをさらに広げて欲しいこと。 当然、CJ特命委員会での議論や情報にも、しっかり耳を傾けて欲しいと思っている。 

 第2に、機構の資源を人材育成等、もう少し広い用途に活用出来る知恵を考えて欲しいこと。 この点については、CJ特命委としても、政府出資の拡大や新たな支援枠の創設を応援したい考えであることを伝えた。 

 第3の要望は、条件に合致する案件があれば、音楽コンテンツの国際展開事業も支援の対象として考えて欲しいということだ。 知財担当(コンテンツ担当)大臣として取り組んだこの分野には、個人的にも強い思い入れがある。

 気になるのは、クールジャパン政策を担当する経産省の部局が(以前に比べて)「元気がなくなっている」(=守りに入っている)ように見えることだ。 何しろ、日本で最もワクワクする仕事なのだ。 この仕事を手がける場所には、「日本のコンテンツで世界を面白くする!」「クールジャパンで日本の産業を活性化する!」みたいな前向きなエネルギーに溢れた「熱のあるひと」を集めてもらいたい。
 
 今後はCJ特命委員会としても、政府や機構に対して前向きな提案をどんどん出していくつもりだ。 え? 陰で「筋の悪い案件」の採択を政府や官民ファンドに強引に働きかけるようなことは全く考えていない!(キッパリ) オープンに政府のCJ支援を応援し、必要があれば注文を付け、意見を言わせてもらう。 それが与党の役割だ。 もちろん、必要があればブログやツィッター、ネットTVでも議論の中身や結果を発信する。    


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」