2015年3月31日

 今晩のBS日テレ「深層NEWS」(22時~23時)に生出演した。 テーマは普天間基地移設問題。 在沖米軍の必要性を議論する際、尖閣をめぐる中国の動きに言及した。 

 安倍総理は「東シナ海における力による現状変更は認められない!」と繰り返し明言している。 国際法に基づく解決が日本政府の一貫した主張だ。 にもかかわらず、尖閣諸島周辺海空域での中国の挑発的行為は続いている。 

 たとえば、2012年から現在までの3年数か月の間に、中国公船(国家海洋局)による領海侵入は120回を超えている。 隻数にすると385隻。 接続水域航行の日数も600日余り。 こちらは隻数にすると2000隻以上に達している。

 領海だけではない。 2013年11月、中国が突然設定した尖閣諸島を含むADIZ「防空識別圏」は世界を驚愕させた。 東シナ海の公海上空では、中国軍の戦闘機が自衛隊機に異常接近を繰り返す事件も発生している。

 日本の領土である尖閣諸島の防衛に在沖米軍の存在は不可欠だ。 しかも、中国が見ているのは尖閣だけではない。 今後の展開によっては、沖縄にも触手を伸ばして来ることは十分に考えられる。

 この点に関して、2013年5月12日付の中国の新聞「環球時報」(中国共産党の機関紙「人民日報」の国際版)に掲載された社説「琉球問題を掘り起こし、政府の立場変更の伏線を敷く」の内容を常に頭に置いておく必要がある。

 環球時報の社説は冒頭、「歴史的な懸案で未解決の琉球問題を再び議論出来る時が来た」という4日前の人民日報の論文に言及しつつ、「1971年に米国は中国の意見を全く求めぬまま『沖縄返還』協定を締結し、米軍の占領する琉球諸島を日本に密かに引き渡した。その違法性を裏付ける法理上の根拠はいつ遡っても存在する」と断じている。

 さらに同社説は、「歴史上、琉球国は中国と藩属関係にあったが、決して中国の版図の一部ではなかった。中国は琉球を『奪回』しようとするものではないが、琉球の現状を否定することは出来る…」と指摘する。 その上で、「日本が最終的に中国と敵対する道を選んだならば、中国は現在の政府の立場を変更し、琉球問題を歴史上未解決な問題として再提起することを検討すべきだ」と主張している。

 驚くのは、この社説が琉球問題を再提起出来るとする3つ目のステップの中身だ。 そこには、次のような記述がある。

「日本が中国の台頭を破壊する急先鋒となった場合、中国は実際の力を投じて沖縄地区に『琉球国復活』勢力を育成すべきだ。あと20~30年後に中国の実力が十分強大になりさえすれば、これは決して幻想ではない。日本が米国と結束して中国の将来を脅かすのなら、中国は琉球を日本から離脱させ、その現実的脅威となるべきだ…」

 中国政府の意図と戦略を、けっして読み違えてはならない。

追伸:本日は午前、午後と財政金融委員会。 夕方には参院本会議があった。


◇山本一太オリジナル曲:
「素顔のエンジェル」
「マルガリータ」
「かいかくの詩」
「一衣帯水」
「エイシア」