2015年1月2日

 韓国を代表する企業の一つである大韓航空の副社長が、客室乗務員のナッツの出し方が気に食わないという理由で、動き始めた飛行機をゲートに戻すという、とんでもない事件を引き起こした。 世界を呆れさせたこの「ナッツリターン事件」は、日本でも連日、大きく報道されている。 

 昨年末、この事件の主役である大韓航空のチョ・ヒョナ前社長が、航空保安法違反等の容疑で韓国の検察当局に逮捕された。 チョ社長のあまりに身勝手な行動はもちろん、その後の大韓航空の対応にも、空いた口が塞がらない。 日本の航空会社ではあり得ない話だ。 

 チョ前社長の傲慢な振る舞いをきっかけとして、韓国社会では鬱積していた財閥企業への反発が一気に噴き出した。 以前から指摘されていた財閥企業のオーナー経営の体質にも厳しい批判が沸き起こっている。

 韓国の主要紙も「財閥企業3世の世襲経営問題」を取り上げている。 ひとことで言うと、「米国の有名大学で経営や金融を勉強した財閥オーナーの3世たちは、競争もなく安易に経営に加わっている。陰で努力しているひとの気持ちを理解出来ない」という趣旨のようだ。 実際、財閥企業の3世役員たちは、過去にも様々な醜聞を引き起こしているらしい。 

 なるほど、韓国でも「3代目は会社を潰す」みたいな感覚があるんだ、な。 ただし、3代目の中にも、優秀な経営者はいると聞いた。 先日、韓国の若い友人(ベンチャー企業経営者)が、電話でこう話していた。 

 「確かに3世の中には、親が偉いというだけで勘違いし、周りの人間を家来みたいに思っている馬鹿なナルシストもいる。(笑)が、チョ前社長とは正反対に誰に対しても礼儀正しくて、かつ経営感覚の優れた立派なひとも知っている。要は親の教育の問題ではないじゃないかなあ」と。 その言葉を聞きながら、達夫君(福田達夫衆院議員)の顔が頭に浮かんだ。

 12月の衆議院選挙の最終日。 高崎駅周辺で、福田達夫候補の応援演説に立った。 マイクを握って次のような演説をした。 「お集まりをいただいた皆さんはご存知だと思いますが、福田達夫候補は大学卒業後に三菱商事に就職。商社マンとして活躍しました。この間、米国の大学院で国際政治を学び、グローバルな視野も身につけています。その後は、父君である福田康夫元総理の首相秘書官として、政治家になるための実績と経験を積み、2年前の選挙で満を持して政界入りを果たしました。祖父は故・福田赳夫元総理、父君は福田康夫元総理。いわば、政治エリートです。」

 ひと息ついて続けた。 「にもかかわらず、達夫氏には威張ったところが微塵もありません。誰に対しても礼儀正しく、誠実で、仲間を大切にする。この2年間も高崎の様々なひとたちとこの街の未来について語り合い、この街の発展のために行動して来ました。私はそんな達夫候補が大好きなんです!このひとに、群馬最大の都市である高崎の代表として、盤石の基盤を築いて欲しいと願っているんです。これから焦らず、着実に実績を積み重ね、将来は日本を担う政治家を目指していく。今回の2回目の選挙は、そのための大事な一歩にしなければなりません!(後略)」

 え? 政治家・福田達夫は、どのみち「スタンダートな王道」を行く。 だって、不器用な達夫君(そこも魅力)が、山本一太のように「ロックのライブみたいな演説」をやったり、アコギを弾きながら歌なんて歌うわけがないもの!(笑) 皆、それぞれの強みを生かしたアピールをしていけばいいのだ。 

 亡くなった山本一太事務所の秘書、矢島学(やじま・まなぶ)のことは、何度もこのブログに書いた。 間違いなく「日本一の遊説隊長」だった。 言葉は乱暴でも、義理と人情の上州男児だった。 その矢島のことを、達夫氏は兄のように慕ってくれていた。 福田康夫元総理の最後の選挙でも、達夫氏の初陣でも、遊説チームを率いて大活躍していたからだ。 

 矢島のほうも達夫氏を「達にい」と呼び、仲間としてスゴく大切にしていた。 矢嶋が救急車で運ばれる前、七転八倒の苦しみの中で意味不明のことを書き殴っていた紙があったそうだ。 その中に、山本一太と福田達夫の名前があったと後から聞いた。(涙)

 これも以前のブログに書いたが、一昨年の夏の参院選挙では、福田達夫氏が山本一太の群馬4区選対本部長を引き受けてくれた。 達夫氏は、候補者の代わりに遊説カーに乗る時も、矢島の小さな写真をいつも胸に入れて戦っていた。 その気持ちと人柄に改めて感動した。 

 早々と当確が出て、選対事務所で万歳をする直前に、達夫君が矢島の写真をそっと手渡してくた。 だから、お礼の言葉の冒頭に、「亡くなった秘書の矢島もきっと喜んでくれていると思います!」と忘れずに言うことが出来た。(あの時はありがとう!)

 4度目の参院選挙の結果は圧勝だった。 参院群馬地方区の過去最高得票をマークした。 民主党と共産党の候補が立候補していたにもかかわらず、高崎でも群馬4区全体でも、得票率は7割を上回った。 その後、高崎選対の打ち上げで矢島学の話が出た時、達夫氏は大声で泣いたそうだ。 そのことを、高崎の選対幹部を務めてくれたIT企業の社長(頼りになる兄貴分)から聞いた。

 人間は誰でも勘違いする。 が、育った環境、すなわち家庭の教育がしっかりしていれば、銀のスプーンをくわえて生まれて来たことが強みになる。 プライドは高くても、他人を見下したりしない「ノブレス・オブリージュ」に繋がる。 だから、どんな職業でも、どの国にも、素晴らしい2世、3世というのは存在する。

 あ、携帯電話が鳴っている。


◇山本一太オリジナル曲:
<a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362912973" target="_blank">「素顔のエンジェル」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362913254" target="_blank">「マルガリータ」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1298511048" target="_blank">「かいかくの詩」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1372242789" target="_blank">「一衣帯水」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/so21209855" target="_blank">「エイシア」</a><br>