2014年12月22日

 間もなく19時。 議員会館事務所にいる。 今日は終日、東京日程。 幾つかの問題について役所のレクを受けたり、マスコミ関係者と会ったり、資料を読んだりしているうちに、あっという間に夜。 1日が48時間あったらいいのに…。(ため息)

 STAP細胞の検証実験結果と特定研究開発法人の問題、北朝鮮によるサイバー攻撃、衆院選挙結果の分析等、書きたいことは山ほどある。 が、その前に、11月の参院財政金融委員会で取り上げたタックスヘヴン問題とマネーロンダリング対策について書いておきたい。

 日本の外交・安全保障という側面からも、マネーロンダリング対策の強化は急務だ。 密接に関係しているタックスヘブン問題とマネロン対策に関する質疑の中身を、そのまま掲載する。 

 この質問は、警察庁を含む関係機関から注目されているはずだ。 え? 自分がこのブログに掲載する全ての内容には意味がある。 「直滑降ブログ」の読者の方々には、(少し長いけど)ぜひ、目を通しておいて欲しい。

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<参議院財政金融委員会>
平成26年11月13日(木曜日)議事録

○山本一太君 
ありがとうございました。
大変微力ではございますが、私も是非税関の体制整備、強化、応援させていただきたいと思いますので、財務大臣としてしっかり取り組んでいただければと思います。
 
 今日はちょっと限られた時間で、あと十七、八分しかないんですが、タックスヘイブンとマネーロンダリングの問題を取り上げさせていただこうと思っているんです。

 実は、私は財政金融委員会には所属していなかったんですが、タックスヘイブンの問題とそれからマネーロンダリングの問題には以前から高い関心を持っていまして、それには理由があります。

 実は、北朝鮮に対する対話と圧力の路線を維持するために、自民党の議員立法で、自民党中心になって二つの経済制裁法を作りました。実は、勉強会を立ち上げた中心は私でございまして、ここで一応原案を作らせていただいたということがあるんですが。

 大臣、覚えていらっしゃると思いますけど、二〇〇五年にアメリカの財務省は、マカオのバンコ・デルタ・アジア銀行を北朝鮮の不正行為に関与している可能性が高い金融機関というふうに指定をいたしました。この指定を受けて、北朝鮮の資産を、相当な額だったんですけれども、アメリカ当局が凍結をしたと。これはもう北朝鮮がすごく騒いで、金融制裁ではないかというふうに、かなり米朝の間で激しい議論になったんですけれども。

 そのとき自民党の経済制裁シミュレーションチームの座長は私だったんですが、マカオに視察に行ってまいりまして、バンコ・デルタ・アジア銀行はなかなか、何というんでしょうか、マカオ当局とのいろんな連携協定とかもなかったので門前払いだったんですけれども、無理やり中に入って、みんなに嫌がられながらぐるぐるぐるぐる銀行の中を回ってきて、その後、マカオの金融当局といろいろと実は意見交換をいたしました。

 タックスヘイブンとそれからマネーロンダリングは直接関係があるわけじゃありませんが、明らかに関連があると思うんですね。なぜなら、マネロンとかあるいは脱税とか、いわゆる法律に反する行為というのは透明性の低いシステムがあるところで起こりますので、これは本当に関係があるというふうに思っているんですけれども。

 そこで、まずタックスヘイブンについて伺いたいと思いますが、アップル、グーグル、アマゾン等の今グローバル企業がタックスヘイブンを利用して行っている節税策については国際的にいろいろ批判があるところなんですけれども、こういういわゆる課税逃れ、こういう問題は当然我が国でも起こっていて、これに対応していると思うんですが、どういうふうに現状を把握して、そしてどんな取締りをしていくのか。これは国税庁、参考人で結構ですから、簡潔に御説明していただきたいと思います。

○政府参考人(佐川宣寿君) 
お答えします。
 そうした問題につきまして、国税庁としては、主要な国税局に国際課税の専担部署を設置するなどの調査体制の整備を図って海外取引を重点的に調査しているほか、海外への資金送金につきまして国外送金等調書を活用しております。
 
 これに加えまして、現在八十八の国、地域との間で可能となっております租税条約に基づく情報交換を積極的に活用して、各国の税務当局と密接な連携を図って国際的な租税回避に適切に対処しているところでございます。

○山本一太君
 今おっしゃったその租税条約というのが結構ポイントだと思うんですよね。
 
 いろいろ記憶をたどってみたら、実は二〇一〇年四月の参議院の外交防衛委員会で私は質問に立っていまして、そのときに、シンガポール、マレーシア、ベルギー、ルクセンブルクとの租税協定、条約の改定議定書がかかって、可決されたんですよ。それはもう、租税に関する情報交換がより実効的に行われれば国際的な脱税あるいは租税回避行為の防止に資すると、こういうことで、これを応援する立場で質問したんですけれども。

 ちょうどこの時期、NHKのドラマ、土曜日のドラマで「チェイス・国税査察官」というのをやっていまして、毎週見ていたんですね。すごく面白かったんですけど。極めてタイムリーな時期だったんですが、実は、香港とマカオの租税情報の透明性の確保について、日本の対応を当時の福山副大臣、外務副大臣かな、聞いているんですよね。

 この一年ぐらい前に、たしかG20の金融サミットがあって、そこでサルコジ大統領が、香港とマカオについては、これはタックスヘイブンのリストに入れるべきだと主張して、中国がこれに対して猛反発をしたという報道がなされたんですよ。正確に言うと、報道がなされたので事実関係はどうか分からないんですけれども。このとき私が福山副大臣に、香港との条約はどうなっているんだと。この二つは極めてタックスヘイブンとして世界から批判されているので、香港とのやっぱり条約がなかったら日本としてなかなかここら辺のところをつかめないだろうと。さらに、マカオは更に香港よりも実は税金が低くて、ここも物すごくマネロンとか、今言ったバンコ・デルタ・アジアもありますが、その租税回避行為に使われているということで、ここはどうなっているのかと聞いたら、今から、一〇年だから四年前ですか、これから香港との条約交渉に入りますと副大臣からの回答をいただきました。

 それから、マカオについてはどうなんだと言ったら、マカオについては、どのくらいのお金がマカオで租税回避行為に使われて、どのくらいのお金が日本から行っているのかよく分からないので今検討中ですという話だったんですが、それはその後どういう感じになっているんでしょうか。

○政府参考人(佐川宣寿君)
 今のお話でございますが、我が国と香港との間におきましては、平成二十三年八月でございますが、租税協定が発効しております。それからマカオでございますが、本年、平成二十六年の五月でございますが、租税情報交換協定がそれぞれ発効しておりまして、今、我が国と両地域との税務当局の間では、銀行情報を含めまして情報交換が可能となっているというところでございます。

○山本一太君
 今のその銀行情報を含めてというのがとてもポイントなんですけど。
 私たちが、二〇〇六年の一月か二月だったかな、そのシミュレーションチームの座長として何人かの議員と一緒にバンコ・デルタ・アジアへ行ったときは協定がなかったから当然入れなかったんですけれども、今度の協定、マカオとの協定では、金融機関にもきちっと入れるというか金融機関の情報もきちっと出すと、こういう枠組みになっているんでしょうか。

○政府参考人(佐川宣寿君)
 金融機関の情報も含めまして、両地域の税務当局との間で、我が国で情報交換が可能となっております。

○山本一太君
 非常にいいニュースを今お聞きしました。よかったと思っています。
 先ほど申し上げたとおり、マカオが四年前か、法人税率一二%、所得税率一〇%、香港より低いということで、日本の企業とか国民の中でも、これまで租税回避地として活用してきた香港よりマカオを有望視すると、こういう流れにもなっておりますので、今の租税条約も含めて、もちろん国税庁だけじゃなくて金融庁、それから警察庁、こういうところともしっかりと協力をして、きちっとタックスヘイブンの問題、あるいはこれから聞くマネロンの問題にも、マネロンは国税庁関係ないけど、対応していただければと思います。

 引き続いて、マネロンの対策について警察庁にお伺いしたいと思います。

 日本のマネロン、テロ資金への対策はFATF、これはファトフと言うんでしょうか、読み方がいろいろ変わるのでよく分からないけど、これが、金融活動作業部会と呼ばれるんでしょうか、これ、国際機関というか、国際的な機関じゃないのかな、よく分からないんですけど、国際的な取決め、枠組みですよね、が本年六月に声明を発表して、日本の法整備が不十分だというふうに批判をしました。

 こうやって一国だけ名指しで勧告を出すというのはFATFの歴史でも多分初めてだと思うんですね。それだけつまり、国際的なマネロンを防ぐために、日本の法整備だけ不備だったらそこがループホールになってしまうという危機感から恐らくこういう声明が出たと。これ、ほっておくと、いわゆるグレーリストとかブラックリストとか、まあブラックリストって北朝鮮とかイランだから、そこまで行くかどうか分かりませんけど、このままほっておいて法整備をしなかったら日本もグレーリストとかブラックリストに入ってしまうんじゃないかという危機感があって恐らく今国会、二本の法案を出されているんだと思いますね。

 これが犯罪収益移転防止法と組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法なんですけれども、簡単に、物すごく簡単にこの二本の法律のポイントだけ教えていただけますか。

○政府参考人(樹下尚君)
 まず、犯罪収益移転防止法の改正案についてでありますけれども、これは、疑わしい取引の届出に関する判断の方法を主務省令で定めるということによりまして顧客管理の充実を図るものでございます。

 それから、国際テロリストの資産凍結法案でございますけれども、これは、関係する安保理決議を踏まえまして、外為法で対外取引が規制されている国際テロリストにつきまして、同法で規制されていない国内取引の規制を新たに行うものでございます。

○山本一太君
 中身は今おっしゃったとおりで、私もちゃんと勉強してきましたけれども、まあこれは、国会、政治は生きているので、いろんな状況が起こるからやむを得ないことかもしれませんけれども、たしかこの二つの法案は、衆議院の内閣委員会は通っていたと、参議院の内閣委員会でたしか今日ぐらいに趣旨説明か何かの日程だったと思うんですが、これはもう全体の状況を見ないとしようがないんですが。

 私は、個人的にはマネロン問題にずっと関心を持ってきた議員としては心配していまして、これが今国会も通らないと、それこそ次はグレーリストに入っちゃうんじゃないかというように思っていまして、これは別に政府の努力だけでいくわけではないと思うんですけど、なるべく、なるべくといっても誰もどうにもできないのか分からないんですけど、緊急事態なので、できる限りこの国会でこの二つは成立させた方がいいんじゃないかと思っているんですが、当局としてはどんなお考えでしょうか。

○政府参考人(樹下尚君)
 FATFの第三次の対日審査におきまして、顧客管理措置等が不十分であると、こういう指摘がありまして、先ほど委員御指摘のように、今年の六月には声明が出されたということでございます。

 現在、こういった指摘に応えるため、二つの法案をお出しをしまして審議をいただいているところでございますけれども、こういった法案が成立をしまして関連政省令が整備された場合には、FATFから十分な理解を得られるように丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

○山本一太君
 今日は警察庁の方も来られているので、よく御存じだと思うんですけれども、欧米の特に情報機関は、やはりマネーロンダリング問題を非常に、当然ですけど、深刻に捉えていまして、やはりマネロンを通じてテロリストに資金が流れると、これが最も危険な、何というんでしょうか、ルートですから、これを何かもうキャッチしようと思って非常にここに力を注いでいるということもあって、やっぱり日本でちゃんと法整備しないと連携できないと。

 連携できないと、例えばマネロンも、もうこんなにお金とか情報が一瞬でボーダーを越えて飛び交う世界だから、やっぱり日本の法整備がちゃんとできないと連携できない、国境を越えたマネーロンダリングをやっぱり日本の当局としても追いかけられないということがあると思うので、この二つの法案についても関心を持っていますし、今国会で何とか通ればと思うんですが、いずれにせよ、これは絶対に必要だということをここでも申し上げておきたいというふうに思います。

 いろいろあるんですけれども、あと五分になってしまったので、最後にちょっと、アベノミクスについて財務大臣にお聞きしたいというふうに思います。
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◇山本一太オリジナル曲:
<a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362912973" target="_blank">「素顔のエンジェル」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362913254" target="_blank">「マルガリータ」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1298511048" target="_blank">「かいかくの詩」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1372242789" target="_blank">「一衣帯水」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/so21209855" target="_blank">「エイシア」</a><br>