2014年12月20日

 衆院選挙が終わった後、ある野党議員が言った。 「自民党が中立・公平な選挙報道を求める文書を各メディアに送ったお陰で、選挙に関するテレビ番組がガクッと減ってしまった。あれは困りますよ!」と。

 今回、テレビのワイドショーも含めて、選挙に関する報道が(前回の衆院選と比較して)少なかったことは事実だ。 ある分析によると、3分の1くらいまで落ち込んだらしい。 が、それは、自民党が民放各局に送付した要望書のせいではない。 以前に比べて、政治関連の番組、特に選挙報道番組が視聴率を稼げなくなっているからだ。

 野党、特に民主党議員の中には、これまで「テレビ出演を選挙の主要な武器ににしてきた」政治家もいる。 自民党の若手議員から選挙に勝つための「極意」(そもそも「極意」などというものが存在するはずもないが)を聞かれる度に、必ず言及するポイントがある。

 それは、「テレビへの露出で知名度が高いにもかかわらず選挙の弱い野党議員こそ、我々の最高の反面教師だ。普段から地元でまともな活動をしていないから、選挙ではメディアでの露出とパフォーマンスだけが頼りになる。結果として、世の中にウケのいいことを探してフラフラする「キョロキョロ政治家」になってしまう。メディアを活用して政策や政治姿勢を発信することは極めて重要。でも、お互い、こういうカッコ悪い政治家にだけはならないようにしよう。最後は誰からも相手にされなくなる」ということだ。

 いずれにせよ、選挙でのメディア戦略を重視して来た民主党にとって「ソフトな政治番組」が激減したのは、痛手だったろう。 そもそも世界にほとんど例のなかった日本の「政治バラエティー現象」自体が終焉を迎えつつある。 以前、マンスフィールドプログラムで山本事務所に研修に来ていたFBIの捜査官が驚いていた。 「政治家がテレビのバラエティー番組にこれだけ頻繁に出るなんて、米国では考えられない。ユニークな現象だ」と。

 もちろん、地上波では「硬派な討論番組」も減りつつある。 だからこそ、逆風の中で(?)頑張り続けている民放キー局の政治報道番組、ワイドショーの真面目な討論コーナーには頑張って欲しいと思う。 逆に元気なのはBSの報道番組。 日本の政治にとっては望ましい傾向だと思うものの、地元へのアピール効果(知名度アップ等)はあまり期待出来ない。(残念)

 「そこまで言って委員会」の収録で久々に会った金美齢さんが言っていた。 「ねえ、山本さん、憶えてる?民主党政権が誕生する前、私たちが時々一緒に出演した政治バラエティー番組で民主党の何人かの議員に散々、やられたわよね。あの時は自民党批判をすればウケていたのよねえ」と。 もちろん、よく憶えている。 誰が何を言っていたのかも!(笑)

 映像(テレビ)の影響力は依然として大きい。 が、普通の政治家がテレビ出演で自己PRをする機会そのものが減っているのだ。 加えて、ネットの台頭で、マスコミ全体のゲームのルールが、すでに大きく変わっている。

 「政治バラエティー現象」の終焉は、個々の政治家の選挙戦略はもちろん、議員に対する有権者の評価にも変化をもたらしている。 選挙区での日頃の地道なコミュニケーションの努力が「選挙でより報われやすい」状況になりつつあると言っていい。

 あ、そろそろ東京駅に向かわないと。 地元の某ベテラン県議の大会に出席した後、前橋市内を回る。


◇山本一太オリジナル曲:
<a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362912973" target="_blank">「素顔のエンジェル」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1362913254" target="_blank">「マルガリータ」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1298511048" target="_blank">「かいかくの詩」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/1372242789" target="_blank">「一衣帯水」</a><br><a href="http://www.nicovideo.jp/watch/so21209855" target="_blank">「エイシア」</a><br>