2014年10月18日:パート3

 23時30分。 熱い味噌汁(紅茶じゃなくて(笑))を飲みながらのブログ。 (笑)って、書いてみたが、心はスゴく重い。 あ、「小渕経済産業相が辞任を否定」という報道が流れている。 少しホッとした。

 前々回のブログに、「インターネットは社会全体のゲームのルールを変えつつある」と書いた。 玉石混淆のあらゆる情報が同時多発的に様々な場所から発信され、その情報が瞬時に世界を駆け巡り、猛スピードで拡散していくネット時代には、政治家の危機管理の方法も変わらざる得ない。

 自民党が野党だった時代、参院予算委員会で民主党政権の「問題を抱えた閣僚たち」を徹底的に追及した。 次々と辞任に追い込んだ。 「けっして愉快でも痛快でもなく、実は苦しい心境だった」と過去のブログで白状した。 特に、政治とカネの問題では、複数の大臣を厳しく質した。 

 野党自民党からの2の矢、3の矢の攻撃を恐れて、実質的に更迭された閣僚もいた。 提出すると約束した資料を出さないまま、閣僚を辞任した大物議員もいた。 未だに真相はあいまいなままだ。

 「大臣ポストを手放せば、国会での追及は止む。ある程度、時間が経てば、この問題は忘れ去られるだろう。ほとぼりが醒めたら、また表舞台に立てばいい!」 そういう算段だと思う。 が、10年前ならいざ知らず、この方式は最早、機能しない。 良くも悪くも、ネットの存在が「情報の風化」を許さないからだ。 ルールが変わっていることに気がついている政治家が、今の永田町にどのくらいいるだろうか。 

 たとえば、ある著名人をインターネットで検索してみる。 ほんの10分、ネットサーフィンをやっただけで、「この人の親族が10年以上前に重大な犯罪を犯している」みたいな情報に到達する。 

 もう1つ、例を挙げたい。 最近、ネットを通じて寄せられた匿名情報の中に、「先日、あるTV番組で立派な人物として取り上げられていた00氏の息子は、過去、クスリの所持で逮捕されている。違法ドラッグが深刻な社会問題になっている最中に、こんな人間にスポットを当てた番組プロデューサーの罪は重い」というのがあった。 真偽のほどは分からないが、あまりに具体的な記述に驚いた。

 いったんネット上で流布された情報は、半永久的にサイバースペースを駆け回る。 そして、何かのキッカケがあれば、(たとえ20年前の事件であっても)過去の失敗を何度でも蒸し返され、拡散される可能性がある。 昔と違って、大臣を辞めただけで、問題は解決しない。 

 ある大臣が、国会で指摘された自分自身の疑惑や問題にまともな説明や反論をしないまま大臣を辞めたとする。 辞職によって、一時的に国会の追及を逃れることは出来るだろう。 ただし、そのひとが次に閣僚になった時には、再び(同じ問題で)標的にされる可能性が高い。 自己増殖していくウェブ空間の情報クラウドから、過去のインフォメーションを簡単に引き出せるからだ。

 政治は権力闘争だ。 万一、野党が10年以上前の問題を持ち出したとしても、「狙いを定めた与党の大臣」を政治的に追い込むことは(問題の性質にもよるが)難しいだろう。 そうだとしても、その閣僚の未解明の疑惑や問題を国会で取り上げることによって、大臣本人のイメージを悪化させ、内閣の支持率を落とすことは十分に可能だ。 中途半端な状況のまま閣僚ポストの辞職に追い込まれた政治家に、何が起こるか? 総理大臣は、火種を抱えたままのその議員を、再度、閣僚に起用することをためらうに違いない。 その政治家が、政府の中枢で再び活躍するチャンスは劇的に減るということだ。 

 だからこそ、小渕優子経産大臣には(逃げずに)「国民への説明責任」を果たしてもらいたいのだ。 自分は、一部のマスコミが「小渕大臣が辞任の意向を固めた」という憶測を流した後でも、小渕大臣に踏みとどまって欲しいと考えている。 少なくとも、閣僚としての説明責任を果たすための精一杯の努力をしてくれると信じている。

 仮にもう1つの選択肢を選ぶ場合であっても、小渕大臣には「真実を語らないまま閣僚を辞める」ようなことはやって欲しくない。 今回の政治資金問題は、思ったより深刻だ。 対応を誤ったら、「さらに悪いシナリオ」に陥っていく危険性もある。

 あ、大事な電話をかけないと。 次回のブログに続く。 


「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」