2014年10月6日:パート2

 先日のTBS「あさチャン・サタデー」で、久々に福山哲郎・民主党政調会長と一緒になった。 討論コーナーで、消費税増税とアベノミクスについて議論を交わした。 当然のことながら、福山氏とは、アベノミクスに対する見方が違う。 

 アベノミクスが成功するか、失敗するかという話ではない。 日本再興のために、安倍総理の「3本の矢」は、何としても成功させなければならないのだ。 安倍政権の登場で、「日本凋落」に何とか歯止めがかかった。 今の「イメージが自己実現する」サイクルが崩れたら、日本が立ち上がるチャンスは2度とないかもしれない。 これからも全力で安倍政権を応援する。 どんな議論も逃げない!

 「あさチャン」が取り上げた「文書通信交通滞在費」の公開については、なかなか対応が難しかった。 自分も福山氏も、慎重に言葉を選んだ。 自民党と民主党から誰が出演していたとしても、「歯切れが悪い」と批判されただろう。 が、この問題にコメントしたのがこの2人だったのは良かったと思う。 過去10年以上、それぞれのやり方で古い政治文化と戦いながら、「あるべき政治活動」の姿を模索して来たからだ。

 今から12年前、その福山哲郎氏(現・民主党政調会長)、枝野幸男氏(現・民主党幹事長)、水野賢一氏(現・みんなの党幹事長)、山本一太が中心になって、政治とカネの問題を議論する自民・民主の若手勉強会を立ち上げた。 この4人の共著で、月刊誌「論座」に「新しい政治文化を創りたい」という論文も投稿した。

 当時のブログを読み返してみた。 「ああ、12年前も、こんなに真面目に政治に取り組んでいたんだ、な!」「苦しみながらも、政治活動を透明にしようと、必死で頑張ってたんだ、な!」と思って、ちょっぴり感動した。(笑) 12年前に綴った幾つかのブログを紹介したい。 直滑降ファンの皆さん、ちょっと長いけど、ぜひ、目を通してみてください!
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<政治資金収支公開その1 (2002年7月5日 午前零時掲載)>

 昨日、自民党、民主党の若手議員4名が、それぞれの政治資金収支を公開した。メンバーは、自民党の水野賢一衆院議員、山本一太参院議員、民主党の枝野幸男衆院議員、福山哲郎参院議員。独自の報告書には、政党支部・資金管理団体・政治団体の収支の総額、公設・私設秘書の給与と人数等が含まれている。

 もちろん、今回我々が公表した数字は、すでに政治資金収支報告書で明らかにされているデータの範囲だ。それでも、個人が特定出来る形で政治資金の流れをグループとして公開する試みは初めてのことらしい。そういえば、88年に武村正義氏ら10議員によって結成された「ユートピア政治研究会」が政治活動費を公開した際も、個人名は伏せてあった。

 4人の収支公開と同時に、自民、民主の若手議員10名による研究会も発足した。この通常国会は政治とカネをめぐる疑惑のオンパレードだった。まず隗よりはじめよ。とりあえず一緒にやりたいと思う仲間と、政治とカネをめぐる幅広い問題について、本音の議論を始めたい。政治献金や秘書制度の在り方、政と官の適切な関係、陳情処理の実態、現行の選挙制度や法制度の問題点等々、勉強したいことは山ほどある。

 参議院本館二階の自民党国会対策委員会室でキーボードを叩いている。あ、もう12時。三階の幹事長室で行われる執行部会に向かわねばならない。この話は、改めて「政治資金収支公開」その2で書きます。


<政治資金収支公開その2(2002年7月5日 午前1時掲載)>

 その1でも書いたように、4人の議論をもとにまとめた独自の政治資金収支報告書の数字は、すでに政治資金報告書として提出されたデータに基づいている。それでも、今回の政治資金の流れを公開することは、自分にとってそれなりの決断だった。

 だいたいこの手のことをすれば、党内から「自分たちだけいいカッコしやがって」とか、「スタンドプレーだ」とかいう批判が出ることは目に見えている。(この点は最初から覚悟しているが...)さらに、実態を公表したことで、かえって現在の政治活動や掲載された情報の確度について、細部にクレームをつけられるかもしれない。事務所のスタッフに数字を揃えさせたが、万一、記載漏れの部分でもあったら大変だ。

 この報告のせいで、ライバルや政敵に足をひっぱられる可能性だってある。もちろん、自分の良心に従い、きちんと法律を守ってやってきたつもりだが、政治につきものの「グレーゾーン」が全くないとは言い切れない。

 それでも公表に踏み切った。最も大きな理由は「自信を持って政治活動をしたい」からだ。この7年間、朝から晩まで政治の仕事に取り組んできた。平日は朝8時から党の部会や調査会で勉強し、官僚のブリーフィングを受け、所属委員会で質問をやり、本会議に出席し、法案を通過させるために野党と水面下で交渉(国会対策)する。政策を作り、政局で飛び回り、議員連盟を切り回し、地元からの要望をつなぐ。夜は夜で、様々な勉強会や派閥の会合に顔を出し、政治セミナーを主催する。家に戻るのはほとんど12時近くだ。

 当然のことながら、週末は地元の日程がぎっりし詰まっている。土日となれば、選挙区の各地で、終日、様々な会合や行事に出席し、街頭演説に立ち、後援会で国政報告をやり、支持者の挨拶回りをこなす。畑仕事を手伝って農家に泊まることだってある。不況の中、本当に申し訳ないと思いながら、企業献金を続けてくれている地元の会社を回って協力をお願いしてきた。

 別にいい車に乗りたいとか、高い服を買いたいとか、贅沢な生活をするために政治資金を集めている政治家なんて、一人もいない。(はずだ。)政治活動に必要なコストをまかなうために、必要なんです。

 毎日毎日、曖昧な線引きに悩みながら、何が適切な政治活動なのかを考えながら、自分なりに一生懸命政治活動に携わってきた。自分がやっていることが、ある日ルール違反だと指摘されるかもしれない不安を抱えながら政治活動をすることだけはしたくないと思う。

 小泉改革について議論する秘密会議?の時間が近づいてきた。続きはその3で書くことにしよう。


<政治資金収支公開その3(2002年7月6日 午前零時掲載 )>

 朝の新幹線で地元に入る。高崎市を中心に遊説、街頭演説をやった。「音楽遊説」の実験成果はまずまずといったところだ。

 夜、東京に戻ってTVをつけると、英国のベンチャー企業「バージン・レコード」社長のリチャード・ブランソンが熱っぽく語っていた。

 「日本経済を立て直す唯一の方法は、規制緩和をすすめて小さな企業をより多く作り出すことだ。なぜなら、経済を発展させるのはこうした小くて元気のある企業だから。政府が健全な競争を促すことが重要なんだ。」とコメントしていた。学歴社会のイギリスにあって、高卒でベンチャー企業家の雄となったブランソンの言葉には説得力がある。

 さて、今日の街頭演説では、政治とカネの問題について熱弁を振るってきた。もちろん話の中心は、自民・民主の若手4人による今回の政治資金収支公開についてだった。

 4人の政治活動や資金の流れについての情報、公開の目的や共通の思いは、昨日発売になった月刊誌「論座」の特集「新しい政治文化を作りたい」に収められている。そこは政治家らしく?「ぜひ近くの本屋で購入してください!」という宣伝も忘れずにつけ加えておいた。

 デパートの前の演説を終え、立ち止まって耳を傾けてくれた50歳前後の女性と握手する。「頑張ってください。山本さんの言うように、私たち国民にも責任のある話ですよね。応援してますから...」と声をかけられた。

 政治家だけがいくら頑張っても、政治の古い体質や意識を変えることは出来ない。政治文化を変えるというのは、政治家と有権者の共同作業に他ならない。

 気がつけば午前1時過ぎ。この続きは、「その4」で。

<政治資金収支公開その4(20027月7日 午前零時掲載)>

 ちょうど夜の11時を回ったところ。高崎の自宅でパソコンを開いた。考えてみたら、今日は七夕だった。蒸し暑い一日だったが、雨は降らなかった。織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)は一年ぶりの再会を果たしただろうか。

 今晩は高崎に泊まることに決めた。明日は朝8時から高崎駅の街頭に立ち、そのまま新幹線で東京に向かう予定だ。通常国会閉会まであと23日間。今週からいよいよ本格的な国会対策の始まりだ。

 さて、先週金曜日に若手議員4名のグループで公表した独自の政治資金収支報告書の数字をひっぱり出すのは、思ったより骨の折れる作業だった。まず、昨年は参議院選挙の年で通常の政治活動費のデータに馴染まないということから、今年の1ー5月の収支を示し、そこから一年間のコストを推計するという形を取らざる得なかった。それ以上に大変だったのは、事務所スタッフにこの試みの意味を理解してもらうことだった。

 ちなみに、山本事務所の秘書は現在全部で9名。そのうち政策秘書を含む2名が東京の議員会館事務所で、公設秘書2名を含む7名が選挙区の事務所で仕事をしている。、近い将来、新しい道にすすむ者もいるが、自分にとっては全員、信頼出来る大切なサポーターだ。

 今回の件では、資金の流れを管理する地元秘書と何度も電話で連絡を取りあった。が、時間的制約と人手不足もあって、なかなかスムーズに数字が出てこない。もともと政治資金の収支をマスコミを通じて明らかにすることについては、スタッフの間でも慎重意見が大半だった。すでに政治資金報告書で表に出されている情報だったにもかかわらず、である。

 データを集める過程でも、秘書から「こんな数字を公表する必要あるんですか。他の事務所はやってませんよ」とか、「正確な資料にするために、もう少し時間が欲しい」とか、「こうした数字を出すことでライバルから足を引っ張られるのではないか」とか、「派閥に迷惑がかかる」といった反応があった。もちろん、すべて政治家山本一太の将来を思っての言葉だ。

 夜、珍しくイライラして、国会対策委員会の部屋から地元のベテラン秘書に電話を入れた。「明日は皆予定があって、朝からは作業出来ません」という秘書に、次の4つのことを話した。

1.心配してくれるのはわかるが、すでに公表されている政治資金報告書の内容を逸脱していない。この程度の数字をもし公開出来ないのなら、政治家を続けている意味がない。

2.自分の良心にしたがって、7年間一生懸命やってきた。万一、今回公表したことでクレームがつき、政治生命を失うような事態になったとしたら、最初から国会議員の資格、能力がなかったということ。その点は覚悟している。

3.他の事務所がやってないからとか、相対的にクリーン(うちが問題視されるなら、他の議員だって全部ダメなはずだ)だからとかいう理屈は通用しない。たとえ古い政治文化に浸っている部分があったとしても、誰かが始めなければ、この政治文化は変えられない。

4.もし、公表した情報に不正確な点が見つかったら、きちんと謝罪して修正すればいい。今回の政治資金収支公開を通じ、改めて山本事務所の会計処理や資金管理をしっかりさせる。そのくらいの気持ちでやってほしい。

 ベテラン秘書は、「わかりました。出来るだけ急いでやります」とだけ言って電話を切った。早速もう一人の公設秘書と相談しながら、何とか時間内に報告書をまとめてくれた。

 政治資金収支公開と同時に、自民党・民主党の若手議員10名で、政治とカネに関する研究会(政局にとられても困るので、会の名前はあえてつけなかった)を発足させた。この会のメンバーや目的については、その5で触れることにしたい。

気がつけば、午前1時30分。それにしても暑い。明日の街頭演説にそなえて、そろそろベッドに入ります。

<自民・民主若手議員勉強会初会合(2002年7月9日 午前零時掲載)>

 自民党・民主党若手議員10名による政治とカネの問題を考える勉強会の初会合を、明日(水)午後5時から急遽行うことになった。とにかくまず10人の顔合わせをやり、その後は、出来れば1週間に一回程度のペースで勉強を続けていくことを提案するつもりだ。

 もちろん、勉強会のすすめ方も、目指すべきアウトプットも、この10人の話し合いの中で決めていけばいい。先週、山本・水野/枝野・福山という4名の議員が行った政治資金収支公開を、他のメンバーに押しつけるつもりもない。それぞれの政治活動の現状や問題意識を披瀝し議論する中で、公設秘書給与の問題点や陳情処理の在り方、政と官の関係、既存の選挙法の矛盾等について徹底的に議論し、何が問題で、どんな改革が出来るのかを考えていければいいと思う。我々4人が今回行った試みは、こうした議論を始めるための格好の材料になるだろう。

 同じ志を共有してさえいれば、おのずと答えは見つかるに違いない。自分のイメージとしては、この研究会の活動を通して、政治資金の流れを透明にする一つの「基準」や陳情処理を含む政治活動に関する「一定の物差し」が作れたら、と思う。そうしたルールを発信するが出来れば、日本の政治文化を変える小さな一歩になるからだ。

 夜9時20分。今晩の二つ目の会合に向かわねばならない。久々に安倍晋三官房副長官を囲んでの「勝手補佐官」(懐かしい響きでしょう?)4名の放談会が待受けている。
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 12年前のブログたちと向き合いながら、改めて自分に言い聞かせた。 「初心、忘るべからず!」と。


「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」