2014年9月7日

 夕方。 新幹線で東京に向かっている。 本日は、午前中から地元を回った。 14時からは、前橋市内で開催された群馬県主催の「世界遺産登録記念式典」に出席した。 

 大臣在職中は、週末も地元に戻れないことが多かった。 が、それでも(日程の都合がつけば)重要な行事には足を運んだ。 久々に群馬の会合を回って、あることに気がついた。 それは、大臣を退任した途端に、挨拶の順番が下がったことだ。 衆院議員が一通りやってから、参院議員がマイクを握るという日常が帰って来た。 「ああ、自由なボヘミアン(?)に戻ったんだ、な」と感じた。(笑)

 本日の「世界遺産登録式典」では、参院議員山本一太の挨拶はなかった。 某衆院議員が国会議員を代表してスピーチした後、若手3人衆と一緒に(しかも一番最後に)名前を紹介されただけだった。 来賓席に座り、知事や関係市町村の首長、文化庁長官の代理、国会議員代表の挨拶を、ボーッと聞いているだけだった。(ガクッ)

 他の国会議員と比べても、自分はけっして「ランクコンシャス」な政治家(細かいことにいちいち文句をつけるタイプ)ではない。 地元選出の政治家、特に「群馬で生まれて群馬で育った」数少ない国会議員として、世界遺産に登録された富岡製糸場と絹産業遺産群を応援したい気持ちは人一倍、持っている。 だからこそ、本日の式典にも顔を出した。

 が、これでも20年近く、国会議員をやっている。 新人議員ではない。 この式典で最初から自分の挨拶がないと分かっていたら、知事や岩井富岡市長、世界遺産登録のために努力して来た関係者の方々にお祝いのメッセージさえ発信する機会がないと知っていたら、このイベントには行かなかったと思う。 今週の重要な国際会議(中国でのサマーダボス会議)の準備に時間を費やしていたはずだ。 地域担当秘書に「挨拶の有無」をちゃんと確認していなかった自分が悪い。(反省X5)

 先月、富岡製糸場内で行われた富岡市主催の記念式典にも(大臣としての忙しい日程を調整して)参加した。 とんぼ返りだった。 まだ閣僚だったこともあるが、岩井市長が気を遣って、来賓として最初に祝辞を述べさせてくれた。 この心遣いは、ちょっぴり嬉しかった。(ニッコリ)

 え? もちろん、今日の式典の祝辞の内容は(頭の中で)素早く組み立てていた。 以下のようなスピーチをさせてもらうつもりだった。 「幻の挨拶」を一応、掲載しておこう。
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 「大臣を辞めたら、挨拶の順番が下がりました。(笑)衆院議員の後に参院議員といういつもの流れになって、自由なボヘミアン政治家(?)の日常が戻って来たことを実感しています。(笑X2)

 富岡製糸場及び絹産業遺産群の世界遺産登録、改めて、おめでとうございます!カタールのユネスコの会議における登録決定のニュースは、沖縄担当大臣として訪れていた絶海の孤島、南大東島で聞きました。感激のあまり、大澤知事、岩井市長、そして富岡製糸場を愛する会の高橋先生(弁護士)に携帯メールをその場で送ってしまいました。

 現地でのぶら下がりのインタビューで、「これは何百年に一度のことだ!」と感激の言葉を口にしていた大澤知事の姿を見ながら、「やはり、大澤知事と岩井市長は、天から歴史的使命を与えられた人たちだ」と思わずにはいられませんでした。

 さて、遺産登録までの道のりは、けっして平坦ではなかったと思います。大澤知事のリーダーシップ、岩井市長の粘り強い取り組み、ボランティアの方々の運動、多くの市民の応援等々、皆の力が1つになって実現した『ちっちゃな奇跡』だと考えています。

 先日の富岡市主催の記念式典でも申し上げたことですが、私が感動したのは、富岡製糸場のグローパルな価値を再発見し、それを内外に積極的にアピールした関係者の人々の血のにじむ様な努力と執念です。『そこに富岡製糸場がある』というだけでは、世界遺産登録は難しかったでしょう。

 そこで、歴史の事実を1つ1つ紐解き、『富岡製糸場と絹産業遺産群で画期的な養蚕業のイノベーションが進められた。そのことが日本の糸の輸出を押し上げ、欧州の絹の流通に大きな影響を与えた。ひいては20世紀の服飾文化の発展に寄与した』という説得力のあるストーリーを、繭から糸を紡ぐように織り上げた関係者の方々の叡智と行動力に、改めて心からの敬意を表したいと思います。

 もう終わってしまった番組ですが、私がNHKの『プロジェクトX』のプロデューサーだったら、必ずこの物語を取り上げているに違いありません!(笑X3)」 (後略)
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 その後で、世界遺産登録は「終わり」はなく「始まり」であること、大事なのは、この快挙を一時のブームに終わらせず、末永く群馬全体の発展に結びつける努力をしていかねばならないということを付け加えて、挨拶を締めくくるつもりだった。

 ああ、このメッセージを会場に集まった人たちに伝えたかったなあ。

追伸:ふうむ。 一度も話したことはないが、目つきも、態度も良くない。 政治家に向いていないんじゃないか、な。(苦笑) 

 
「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」