2014年6月3日

 1998年10月8日に行われた小渕恵三総理と金大中大統領の共同記者会見でも、冒頭、両首脳から金融支援に関する発言があった。 内容は以下のとおり。

小渕総理:「私は(金大中)大統領との間で、両国がおのおのの経済的諸問題の解決に向けた確固たる決意を確認し合うとともに、我が国としても、韓国の経済情勢に関心を払い、必要な協力を引き続き行っていくことを明らかにしました。(後略)」

金大中大統領:「小渕総理と私は両国の経済構造調整努力の成功と、アジアの金融危機克服に向けて緊密に協力していくことにいたしました。私は日本が韓国の通貨危機克服に必要な追加的な金融支援を行ったことに感謝の意を表明いたしました。」

 記者との質疑応答でも、日韓経済協力に関するやり取りがあった。

韓国記者:最後に、お二人の首脳に質問したいと思うんですが、韓日両国の経済協力に関連しまして、ご所見とご意志というのをお聞かせください。

小渕総理:「(前略)日本自身も極めて厳しい経済環境でありますが、我が国は我が国のことのみならず、隣国、韓国の経済発展、これとともに力を合わせてアジア全体の経済に対しての大きな責任を負っているという立場でございますので、相協力して、この日韓の経済協力を更に深みのあるものにしていくことによりまして、その実績を上げてまいりたいということにつきましても、同意をいたしたところでございます。」

金大統領:「既に私は昨年の暮れから始まった韓国の外貨危機に際して、日本が世界のどこの国よりも積極的にその外貨危機の克服のために協力をしてくださったことに対して、公式に感謝するということを申し上げました。

 そして、今回の会談で日本側が我々の経済危機克服のために多くの協力の意思を表明してくれたことに対しても感謝しております。ただし、これに対して2つを明確にしておきたいと思います。」「1つ目は、日本がご自身の状況も非常に厳しい中で韓国の経済に対して支援をしてくれる、その意味に対して心から感謝を申し上げたいと思いますし、我々は国内的に徹底した経済改革の努力をすることによって必ず我々の経済を回復させ、そしてこの難局を克服することによって日本が支援をした、そのやりがいがあるようにするために私は責任を持って努力をしていくことをここで申し上げます。(後略)」

 日韓共同声明、日韓首脳会談後の共同記者会見での両首脳の発言、金大中大統領の国会演説の中身を振り返って感じるのは、当時の小渕総理と金大統領の間に「確固たる信頼関係」があったということだ。 

 日本の相対的な経済力(=韓国にとっての存在感)が今より大きかったという事情もあるとは思うが、金大中大統領は「日本の支援」に対する率直な謝意を表明している。 これに対して、小渕総理も韓国大統領の立場を最大限、慮っている。 お互いに「事実を事実として」受け止める姿勢があったからこそ、良好な関係を築くことが出来た。 日本がアジア金融危機に際して韓国の通貨危機脱却に大きな貢献を果たした。 これは、紛れもない事実だ。

 次回のブログ(その4)では、金慶珠・東海大学准教授が「新報道2001」の中で指摘していた韓国側(?)の認識、すなわち、「韓国政府は当初、日本に公的資金の助けを求めたが、日本側に断られたのでIMFの援助に駆け込まねばならなかった」という点について検証する。


「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」