夜6時過ぎ。 役所での仕事は終了。 少し時間を調整して、北方領土の歴史とそこに住む人々の心の交流を描いたアニメ映画「ジョバンニの島」の試写会に向かう。 その後は、SNS英語発信プロジェクトの打ち合せ会議がある。 出発前に、さっと本日のブログを書いてしまおう。 

 さて、昨晩の日テレ「深層NEWS」のテーマは、領土・主権に関する日本政府の対外発信戦略。 番組の冒頭で、先ずこう言った。 

 「安倍総理は、日中、日韓の関係を極めて重要だと考えている。総理自身が、韓国は大事な戦略的パートナーであり、中国とは戦略的互恵関係を再構築する必要があると明言している。『問題があるから会わないのではなくて、問題があるからこそ話すべき。対話のドアは常に開かれている』というのが安倍首相の姿勢だ。」

 日中、日韓関係が極めて重要な二国間関係だという総理の認識を100%、支持したい。 そのことを踏まえた上で、このブログを書く。

 昨晩のBS番組でも言及したが、日本にとって領土、主権をめぐる状況は厳しさを増している。 自国の主張を国際社会に浸透させるための情報戦は、近年、益々、激化していると言っていい。

 昨年12月の安倍首相の靖国参拝を契機に、中国政府は世界各国の主要メディアに日本批判の投稿をしたり、テレビ出演を通じて自国の主張をアピールするといったPR活動を精力的に展開している。 中国の基本戦略は、日本との領土、主権をめぐる問題を、過去の戦争(靖国問題や歴史認識)と絡めることで、国際社会の共感を得ようというものだ。

 過去のブログにも書いたが、1月に放送された英国BBC「News Night」という番組に、林景一駐英日本大使と劉駐英中国大使が出演した。 靖国参拝と歴史認識、領土、主権の問題についてのディベートだった。

 林大使のことは、以前から知っている。 国際法局長も務めた優秀で、真面目な外交官だ。 誠実な語り口で、日本政府の立場を説明していた。 が、歯切れよく言葉を飛ばしてくる劉大使のアピールに押されていた印象は否めない。 先月のASEAN訪問時にも、某国の有識者が同様の感想を述べていた。

 ただし、BBCの本拠地で行われたこのTVディベートで、「劉大使が勝った」とは思っていない。 駐英国中国大使が安倍総理のことを終始、「アベ」と呼び捨てにしたことは、視聴者に不快感を与えたに違いないからだ。

 今、60を超える国々で、日本大使と中国大使が現地メディア(新聞、雑誌、テレビ、ネット等)で論戦を繰り広げている。 評価が高いのは、駐独日本大使。 欧米人の友人たちが、「駐独中国大使より、ずっと説得力ある」と話していた。 なぜ、そういう評価を得ているのかは、きちっと分析しておく必要がある。

 先日、ある場所で安倍総理に「日中大使間の情報発信競争」に関する幾つかのエピソードを紹介した。 その上で、こう申し上げた。 「総理、主要国の大使を一度、東京に集めたらいかがでしょうか?各国の大使の発信とその反応を検証し、より効果的な発信戦略を練ったほうがいいと思います。岸田外相にも、一度、提案してみようと考えているのですが…」と。

 あ、そろそろ行かないと。 この続きはその2で。 


「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」