2014年1月25日

 夜10時過ぎ。 ダボス会議の報告をする前に、東京都知事選挙について「どうしても言いたいこと」を書かせてもらう。

 18年前、参院自民党幹事長のまま亡くなった父、山本富雄には生涯の師と仰ぐ2人の人物(故人)がいた。 1人は同郷の福田赳夫元首相。 もう1人は、アジア文化会館の創設者である社会教育家の穂積五一(ほずみ・ごいち)氏だ。

 実を言うと、山本一太の「一太」(いちた)という名前の名付け親は、両親の仲人を務めていただいた穂積先生だ。 ありそうで、なかなかない「いちた」というこの名前は、ど真ん中のストレートしか投げられない不器用な自分にぴったりだと思っている。(笑)

 政治家山本一太に生涯の師はいない。 残念ながら、守ってくれる後ろ盾もない。 が、18年間のキャリアの中で、政治生命を賭けて心から応援したいと思った政治家が2人だけいる。 安倍晋三総理と小泉純一郎元総理だ。 この2人に巡り合えただけでも、政治家として本当に幸せだと思っている。

 小泉政権時代、自分が要職に抜擢される可能性は、最初から皆無だった。 当時の小泉首相が、参院随一の実力者であり、自分が逆らい続けていた青木幹雄参院議員会長と戦略的同盟を結んでいたからだ。 それでも、(微力ながら)小泉改革を本気で後押しした。 カラッとした小泉首相がとても好きだった。 変な下心を持つ必要がなかった分、むしろ気楽だった。(笑)  

 小泉劇場と呼ばれたあの郵政民営化選挙では、官邸に足を運び、小泉首相(当時)に刺客志願までやった。 「総理、強敵がいてどうしても候補者が見つからない選挙区があれば、私が捨て身でやらせていただきます!」と。 

 そのまま議員生命が終わっても、本望だと思った。 心配した飯島秘書官(当時)に、「一太先生、お願いだから、あちこちでそんなことを言うのはやめてください!小泉と親しかった先代の富雄先生に私が叱られますから!」とたしなめられたほどだ。 

 小泉元総理と安倍総理。 人間としてどちらが好きかと聞かれれば、迷うことなく「安倍総理」と答えるだろう。 が、当時の小泉総理は、まさに戦国武将。 既得権益に敢然と切り込む孤高のリーダーは、自分にとってのヒーローだった。 一種の天才であることは間違いない。 そして、今の安倍首相をスターダムに乗せ、次世代リーダー候補に押し上げたのは、小泉元総理と森元首相だった。

 その小泉元総理が、東京都知事選挙で原発ゼロを掲げる細川護煕元首相の全面支持を表明した。 選挙の告示日には、細川候補と並んで街頭演説のマイクも握った。 これは、長年の小泉ファンである自分にとって、本当にショッキングな出来事だった。

 理由は2つある。 1つ目は、「自民党が推薦し、安倍総理が支持を表明している舛添要一候補が破れたら、安倍内閣にとって手痛いダメージになる」と分かっているにもかかわらず、小泉元総理が細川元首相の応援演説をやったことだ。

 今年のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に出席して、改めて「アベノミクス」への注目度に驚かされた。 日本の国際社会における存在感が、明らかに復活しつつある。 安倍内閣の経済再生が頓挫したら、日本は2度と立ち上がれないかもしれない。 そのことも再確認した。 今、安倍内閣の基盤を揺るがすのは、日本再興のチャンスを潰すのと同じことだ。

 小泉元総理が「原発ゼロ」を主張していることに関して、自分ごときがとやかく言うつもりはない。 小泉元首相の損得抜きの信念なのだと思う。 が、だからと言って、こんな政権与党の安定を揺るがすかもしれない手法で、アピールする必要があるのだろうか?! しかも、東京都知事選挙のテーマは、他にも山ほどあるのだ。

 あ、お湯が沸いた。 熱いほうじ茶を一杯飲んで、ブログの続きを書く。 


「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」