2013年12月12日

 先日、ある友人が電話でため息混じりに言った。 「なあ、いっちゃん!涙は女性の武器だよなあ。オレたちは泣けないよなあ!」と。 なぜ、彼がそう思うのかは聞かなかった。 「いや、男性でも女性でも泣き虫はいるよ!」 そう言いながら、自分のことを考えてみた。 確かに、人前で泣いたことは、ほとんどない。 

 3年前、ある間違った目的のために、土下座というものを初めて経験した。(愚かな過ちだった。) が、誰かの前で、何かを泣いて訴えたという記憶は一度もない。 それは、かつて競技スキーの選手で、全日本チームのコーチまでやった体育会系の亡父のこんな言葉が、心に刻み込まれているからかもしれない。 「いいか、一太!男なら簡単に弱みを見せるもんじゃない!苦しくても、泣きたくても凛としていろ!男はやせ我慢するもんだ!」

 さて、話題を変えよう。 新たな研究開発法人の創設に関する議論の焦点は絞られている。 安倍内閣の目指す世界最高水準の研究開発法人を創るという目的は、独立行政法人制度の枠内での手直しで十分果たされるのか、それとも、独法制度の枠を超えた新たな組織にしなければ実現出来ないのか、ということだ。

 新たな研究開発法人創設をめぐる調整は、最終局面を迎えつつある。 今晩、内閣官房の古谷官房副長官補の下に、関係府省の役人が集められたと聞いている。 事務方同士のギリギリの話し合いが行われたはずだ。 この結果を受けて、関係閣僚の協議が行われるという段取りだろう。

 何度もこのブログに書いたように、下村大臣と自分は、一貫して「既存の独法制度の枠に囚われない新しい研究開発法人を創るべきだ」と主張している。 理由は大きく言って次の2つ。 ひとつ目は、独法制度創設以来10年以上に渡って改善努力が行われて来たものの、我が国を代表する研究所の理事長等が、独法制度の限界と抜本改革の必要性を現場から訴え続けていることだ。 

 もうひとつは、過去1年間、安倍内閣の科学技術イノベーション担当として研究開発の推進に取り組んで来た2人の閣僚(下村&山本)が、独法の通則法の枠内では、世界最高水準の研究開発法人の創設は出来ないと確信していること。 単なる思いつきではない。 閣僚として実際に科学技術政策に取り組んで来た肌感覚で言っているのだ。 

 繰り返しになるが、下村大臣も自分も「独法制度をひっくり返そう」などとは、全く思っていない。 今回の独法改革においては、内閣官房行革推進本部が、37ある現在の研究開発法人を「新たな第3類型」に位置づけることを提案している。 この枠組みの下で、中期目標期間の延長、将来を見越した評価、柔軟かつ弾力的な予算執行、国際競争力の高い人材の確保等を実現する可能性にも言及している。

 この第3類型に区分されることによって、研究開発法人をめぐる状況は、今よりかなり改善されるだろう。 科学技術担当大臣として、この点は素直に評価したい。 行革推進本部は、下村・山本両大臣の下に立ち上げた有識者会議の報告書の中身にも配慮してくれたのではないか。

 ただし、(本当に申し訳ないが)「第3類型」に位置づけるだけでは、グローバルに戦える世界最高水準の研究開発法人は生まれない!(断言) あ、そろそろ行かないと。 この続きは、その2で。 


fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」