2013年11月24日:パート2

 間もなく夜11時。 熱いほうじ茶を飲みながら、パソコン画面に向かっている。 新たな研究開発法人の創設に関して、下村文部科学大臣と科学技術担当大臣である自分の立場は、完全に一致している。 6月に閣議決定された「科学技術イノベーション総合戦略」「日本再興戦略」「骨太の方針」に創設が明記された世界最高水準の新たな制度は、既存の独法制度の枠を超えた研究開発法人でなければならないということだ。

 なぜ、安倍内閣の科学技術イノベーション政策を担う2人の現職閣僚が、声を1つにして「独立行政法人制度の枠を超えた研究開発法人を創設すべき」と訴えているのか?! その理由を書いておきたい。

 この問題に関しては、与党内にも、政府内にも様々な意見がある。 同じ安倍内閣の閣僚である稲田朋美・行革担当大臣は、「新たな研究開発法人を独法制度の枠外に創設する」ことには反対の立場だ。 行革担当大臣としては、ある意味、当然のスタンスだろう。 独法制度に関わる省庁が、自分たちのコントロールから遠ざかる組織が立ち上がることに慎重なのもよく分かる。

 「いなだひめ」(稲田大臣のネット上の愛称)とは、山本一太がキャスターを務めるニコ動のネット番組「直滑降ストリーム」でも対談した。 あの30分間で、稲田大臣のチャーミングな人柄は、多くの視聴者を魅了したに違いない。 

 研究開発法人をめぐる問題で見解が違うからと言って、自分の稲田大臣に対する見方は変わらない。 政治家としての一貫した哲学や信念は尊敬しているし、安倍総理のために自らの言動を律している姿は立派だと思う。 下村文科大臣もきっと同じ気持ちだろう。 それぞれの信念に従って徹底的に議論し、結論を出せばいい。 

 え? 片方の主張だけを取り入れた決着はあり得ないと信じている。 こっちだって、生半可な気持ちでやっているわけでない。 安倍政権のためになる(=国益に繋がる)という確信を持って主張しているのだ。

 加えて言うと、下村大臣も自分も、独立行政法人制度を否定しているわけではない。 独法制度全体をひっくり返そうなどという意図は全く持っていない。 独法制度は、平成13年、中央省庁等改革の一環として、「国民のニーズに即応した効率的な行政サービスの提供等を実現する」という行政改革の理念を実現するために創設された。 

 独立行政法人制度が設計された時点のモデルは、公的部門の財政コストを下げるために、民間企業の効率化の原理を行政組織に適用した英国のエージェンシー制度だったと理解している。 すなわち、効率化の数値目標を設定し、実施過程の裁量を増やす反面、その達成度を事後評価するというシステムだ。 これは、行政の「定型的業務」を効率化するためには、優れた仕組みだと思う。

 ただし、安倍内閣が創設を目指す「世界最高水準の研究開発法人」を実現するためには、現行の独法制度は馴染まない。 逆に言うと、今の独法制度の枠内に新たな研究開発法人を立ち上げても、グローバル競争に耐えうるような「世界最高水準の制度」にはなり得ない。 少なくとも、下村大臣と自分は、そう考えている。 安倍政権が成長戦略の中核の1つに位置づけた科学技術イノベーション政策に携わる2人の大臣の共通の認識だ。

 今晩、行革推進会議の「第1WG座長見解」を改めて読んでみた。 党の行革本部で配布された(?)「独法制度 6つの誤解」という資料にも目を通した。 この2つのペーパーで指摘されている「新たな研究開発法人を別法化すべきでない理由」の1つ1つに、このブログで反論させてもらう。

 あ、お湯が沸いた。 その2を書く前に、熱いココアを一杯、飲む。

     
「fs山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」