2013年6月12日

 夜8時30分。 少し前に帰宅した。 大根とジャガイモを切って、沸騰した鍋に入れた。 今晩は美味しい味噌汁を作る。 さあ、今から10分以内に、本日最初のブログを書く。 たまっていた委員会質疑(大臣答弁)の中身を掲載してしまおう。

 5月20日の参院決算委員会(テレビ中継入り)で、自民党の武見敬三氏と古川俊治氏から質問を受けた。 

 自身が著名な医師であり、優れた研究者でもある古川俊治氏は、研究者による補助金等の不正使用の問題を取り上げた。 その上で、「研究費の配分に関して、不合理や重複や過度の(1人の研究者への)集中は問題ではないか!」と質された。 「省庁の縦割りを打破するためには、ファンディングのやり方も変えるべきだ」とも。
 
 科学技術担当大臣として、次のような答弁をした。 「制度全体のバランスを考える必要もあるが、古川議員の問題意識も踏まえて、科学技術担当大臣としてしっかり研究、検討していきたい!」と。

 武見敬三氏の質問は、日本の海洋政策、海洋戦略について。 武見氏は、海洋基本法の生みの親の1人であり、政界きっての海洋政策スペシャリストだ。 武見議員との質疑は、日本の海洋政策を考える上で極めて重要だと思う。 以下のとおり、議事録の重要部分をそのまま抜粋して掲載したい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5月20日(月)(参)決算委員会(自)武見敬三議員
議事録<抜粋>

(武見議員)
 まず第一に、海をいかに守り育てるかというテーマで御質問をさせてい ただきたいというふうに思います。 実は、今日の新聞、ニュース報道などにもありましたけれども、沖縄の南大東島の領海の接する接続水域、ここで外国の潜水艦が潜水したまま航行したということが報じられております。これ、国際法上は領海であれば必ず浮上して潜水艦は航行しなければならないというふうに定められているわけでありますが、接続水域は同様ではありません。

 しかしながら、今月2日以降三度ですか、既に私どもが報道で聞く限りにおいても、同様な接続水域における潜水航行が外国の潜水艦によって行われている。これはある意味で、これは完全に軍事的な挑発行動なんですよ。これは普通じゃありません。こうした状況というのは絶対に見過ごしてはいけません。

 ただし、他方で、我が国はこうした挑発に絶対に乗ってはいけません。常に冷静に対処するということが基本でなきゃいけない。その中で、残念なことでもありますが、過去の歴史の中では、戦前において我が国の帝国陸軍の一部がこのアジアの中でこうした同様な挑発的な軍事行動を一部で取って、残念なことに戦局の拡大を招いて日中間の全面戦争に入り、さらには太平洋戦争に突入をし、我が国の国民の命が320万失われた。このことについては、さらにアジアの国々の無辜の民の生命そして財産、これらがまた大きな被害を被ったということは、これは歴史的な私は事実だと思います。

 したがって、こうした歴史的な事実、経緯については今日においても私は、我が国はやはり謙虚に受け止め、そして反省すべきところは反省するという姿勢をきちんと持っていなきゃいけないと思う。しかしながら、我が国が謙虚に受け止めなければならないこうした歴史の教訓というのは、何も我が国だけが教訓として持たなければならないことではなくて、実はこの歴史的教訓の内容というのは、全ての国が同じく歴史的教訓として共有していただかなければならないことばかりなんですよ。

 したがって、こうした中で、残念なことに、こうした歴史的な教訓をきちんと学ばずに、アジアにもし軍事的拡張主義というものがある、存在するとするならば、我が国も自国の主権、領土、領海を守る、そして堅固な国家としての意思というものをきちんと持ちつつ、この日米同盟をしっかりと活用しながら、自国を守る備え、これをきちんと怠ることなくやらなければならないというふうに私は考えます。

 そこで、我が国の海を守る安全保障という長期的な視点の話に入らせていただきたいんですが、これは我が国、世界で第6位の排他的経済水域というものを持っています。この中には、メタンハイドレートやコバルトリッチクラストや熱水鉱床といった様々な海底の重要な資源が眠っていると言われている。こうした海底資源を調査、開発し、そして産業化するという活動を通じて、我が国の海洋権益をきちんと平素から既成事実としておくことが実は安全保障上非常に重要になります。それを政策として常に明確にしておくことが私は必要だと思います。

 この政策方針に基づいて、海洋産業の育成というのは、同時に我が国が進める成長戦略の中でも明白に位置付けられていなければならないと思います。特に、60兆円の市場規模を持っておりまして、引き続き拡大することが明白な世界の海洋石油及び天然ガス、こうしたものの開発に関わる国際市場において、欧米諸国はもちろん、韓国にも劣り始めているのが我が国の産業の実情であります。

 これをどのように、これから海洋産業として育成強化をしていくか。これは今後さらに中長期的な対象でもあり、相当にこの排他的経済水域において存在すると言われているメタンハイドレート、レアアースなどの海底鉱物資源開発技術を日本が独自にきちんと獲得する上でもこのプロセスは非常に重要だと思います。

 現に、この2月でしたか、我が国でもメタンハイドレート、一部、1日2万立方メーターですか、調査して採掘することに成功しましたけれども、しかしながら実際にこれを産業化するには1日当たり100倍の量を開発するような技術を獲得しなければなりません。

 しかし、最初の試掘とも言えるこの2月の時点における技術はどこから来ているかというと、外国の企業の技術を使ってようやくできているんですよ。したがって、いかに自国内の技術できちんとこれを開発するようにできるかということが私は非常に重要な課題にもなってきているというふうに思います。

 そこで、海洋担当大臣の所見をまず求めたいんですけれども、この成長戦略の中でも重要な産業分野として海洋産業がある、これをどのように受け止めておられるか、御所見を伺いたいと思います。

(山本大臣)
 武見委員は、平成19年の海洋基本法、議員立法の生みの親の一人でもあって、海洋政策に大変お詳しいので、私が答弁しようと思ったことは今ほとんど言われてしまったんですが、改めてお答え申し上げたいと思います。
 最近、武見委員、がおっしゃったように、我が国の広大な管轄海域で、メタンハイドレート、海底熱水鉱床あるいはレアアースを始めとする海洋資源、あるいは風力発電、洋上風力に代表される海洋再生可能エネルギーに関心が大変高まっております。今後、こうした海洋の開発利用を進め、海洋分野のイノベーションを推進していくことは、我が国の成長戦略の鍵になり得るものと確信をしております。

 こうした認識の下で、先月末に閣議決定した新たな海洋基本計画、海洋基本法に基づく海洋基本計画ですが、重点的に推進すべき取組の一つとして、委員もおっしゃった海洋産業の振興と創出を掲げました。

 具体的に言うと、例えば世界の石油・天然ガス開発については、今後、沖合の大水深下での海洋開発プロジェクトが本格化をいたしまして、市場規模が急拡大することが見込まれております。こうした中で、我が国の有する技術を生かした浮体式液化天然ガス生産貯蔵積出設備、FLNGと呼んでおりますが、こういうものとか、あるいは洋上の生産設備に人、物資を効率的に輸送するための洋上ロジスティックハブなどの海洋資源開発分野への参入を支援していくほか、資源の商業化の実現に向けた技術開発を推進し、国際競争力を有する新たな海洋産業の振興に戦略的に取り組むことが重要だと考えております。

 さらに、洋上風力に代表される海洋再生可能エネルギーの分野は、我が国のエネルギー政策上の観点からも新たな海洋産業としてその育成が急務であり、様々な支援や環境整備に取り組んでい
くことが重要です。

 今後、総合海洋政策本部を中心に政府一丸となって、あるいは官民一体となって、我が国の成長戦略上も重要となる海洋産業の振興と創出に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

(武見議員)
 総理、これ、成長戦略の中での海洋産業の位置付けというものを明確にするのは、その産業自体の重要性ということだけではなくて、平時からこうした我が国の安全保障の基盤整備をしておくこと、そしてこれを国際社会の中で既成事実としてきちんと確認させておくことがやはりいざというときに多くの国々が日本の味方になる、そういう非常に基盤になってくることはもう明白であります。

 したがって、こういった観点から、是非この成長戦略の中でこうした海洋産業というものをきちんと明白に特定化して取り上げるということについてどうお考えになるか、総理の御所見を伺いたいと思います。

(安倍総理)
 まさに、日本にとって海洋はフロンティアであり未来であると思います。日本の排他的経済水域は世界で6番目の大きさでございます。しかし同時に、今、武見委員が指摘をされたように、既成事実化をしていく、これが極めて重要でありまして、既成事実を積み上げていくことによって国際的にも我が国の立場は強くなるわけでありますし、しっかりとその海洋についての私たちの権限が更に明確化していくんだろうと、このように思います。

 そういう中におきましては、まずは外交的にはこうした海については力による現状変更は許さない、あくまでも法による支配を確立させていく、その秩序づくりのために日本は多くの国々と手を組んで、東シナ海、南シナ海においてそういう秩序を確立をしていきたい、このように思うわけでございまして、その中において、先ほど山本大臣から答弁をさせていただきましたように、メタンハイドレートを始め海底熱水鉱床、レアアースを始めとしてたくさんの海底資源、またあるいは、洋上風力に代表される海洋再生エネルギーに注目が集まっているわけでございまして、日本のエネルギー政策においても海洋は極めて重要であろうと、このように思います。こうした海洋の開発と利用を進め、海洋分野のイノベーションを推進していくことは、我が国の成長戦略の鍵となり得ると、このように思います。

 こうした認識の下に、先月末に閣議決定した新たな海洋基本計画では、重点的に推進すべき取組の一つとして海洋産業の振興と創出を掲げているところでございまして、今後、総合海洋政策本部を中心にこれらの課題に重点的に取り組み、政府一丸となって本計画の推進に努めていきたいと、このように思います。武見委員の顔を見ると、海洋の権益そして海洋基本法を思い出すわけでございまして、いいときに帰っていただけたと、このように恩います。

(武見議員)
 要は、成長戦略の中の大きな骨格を策定し取りまとめをしておられるのは産業競争力会議で、甘利担当大臣のところであります。その中の検討項目を見てみますと、幾つかばらけて海洋にかかわることは書かれておるんでありますけれども、その海洋という産業を一つの対象として明確な検討対象にしているかどうかがちょっと定かでないんでありますが、この点、明確な検討事項として設置をしていただいて、そして重点的にこれを育てるということをやっていただけないかと思うんでありますが、この点に関する大臣の所見を伺いたいと思います。

(甘利大臣)
 競争力会議におきましでも、あるいはその下にありますテーマ別会合におきましても、この問題は取り上げられております。

 競争力会議におきましてはどういうジャンルかと申し上げますと、クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現について、この項目でございまして、ここで民間議員からも提言がなされております。総理からも御答弁がありましたけれども、洋上風カの導入の拡大であるとか、あるいはメタンハイドレート等、海底熱水鉱床もこれに入るわけでありますけれども、この開発について民間議員から提案がありました。そして、同じく民間議員からは、先ほど申し上げましたが、この下にある更に議論を深めるテーマ別会合におきましても取り上げられているわけであります。

 今後、成長戦略の具体的な取りまとめを行っていくわけでありますけれども、今委員御指摘の観点に関しても、このセクションにおきまして十分に委員の意を体して国家戦略として取り組めていけるように、継続的に取り組んでいけるようにしっかりまとめたいというふうに思っております。

(武見議員)
 是非、こうした明確な形での海洋産業への取組というのを政府の意思として明確にしていただいて、安全保障という観点からも、どこの国からも疑念を持たれない確固たる方針を作っていただくことを心からお願いします。

 その上で、それを実施しようということになりますと、経済産業省の役割が非常に重要になります。茂木担当大臣に、是非、経済産業省としてもこの海洋産業を育成するということについて是非積極的なお取り組みをお願いしたいんでありますが、御所見を伺わせていただけますでしょうか。

(茂木大臣)
 海洋産業の振興は極めて重要だと考えております。そして、我が国の周辺海域に存在します、一つはエネルギー資源、そしてもう一つは鉱物資源、これを積極的に開発していく、そのための技術開発であったり様々な問題を進めていきたいと思っておりまして、まず、エネルギー関係でいいますと、何と言いましでもメタンハイドレート、先生御指摘いただきましたように、本年の3月に初めての実験も行いまして、この実験の結果、生産の結果をベースにしまして、平成30年に商業化に向けた技術開発、これの確立を行っていきたいと思いますし、これは日本海側にもあるんですね、これにつきましても今後3年間掛けて、一体埋蔵量がどれくらいあるか、こういった調査をしっかり進めていきたいと思っております。

 海のレアアースにつきましでも、本年2月の20日に産学官の勉強会の立ち上げを行いまして、今後3年間で資源のポテンシャル、これをしっかり調査をしてまいりたい、このように考えております。

 何しろ、例えば、先週末にアメリカからの輸出許可、これは総理の強い要請もありましてアメリカからシェールガスのLNG輸出許可が出たわけでありますけど、6,7年前ぐらいから、例えば私も先日行ったマーセラスというところは、生産開始しているんですけど、毎年1千万トン増えているんですよ。もう7千万トン。日本全体の今輸入量が9千万トンですから、それぐらいのポテンシャルある。

 10年前のシェールガスを考えれば、メタンハイドレート、そしてレアアース等々、日本の海域の資源のポテンシャルは極めて先生おっしゃるように大きいと思っております。

(武見議員)
 ありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 武見さんの言うとおりだ。 日本の未来は「海」とともにある!


山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」