2013年5月11日

 日本と中国の関係は、あらゆる意味で重要だ。 その対中関係が、尖閣をめぐる問題で緊張の度を高めている。 尖閣諸島が、歴史的にも、国際法上も、日本固有の領土であることは疑う余地がない。 その意味で、この地域に領土問題は存在しない。 さらに言うと、力で現状変更を図っているのが中国政府であることも紛れもない事実だ。 

 それはそうとしても、日中関係の悪化は両国にとってマイナスだ。 そればかりか、東アジア全体の安定を脅かしている。 同盟国の米国も、日中の対立がエスカレートすることを本気で心配している。 国益でせめぎあう部分があるのは当然だ。 が、それでも、日本と中国は様々な問題を乗り越えて、「戦略的互恵関係」を模索していくしかない。 これは、安倍総理自身が繰り返し明言していることだ。

 両国には、それぞれの政治状況がある。 安倍総理も、どこかのタイミングで関係改善の流れを作ろうと考えているのではないか。 昨年12月に初めての領土担当大臣に任命され、「領土・主権対策企画調整室」を新設した。 領土担当相が対外発信の役割を担うことには、政府内に慎重意見もあった。 でも、自分が押し切った。 先月、大臣である自分の下に、「領土・主権に関する内外発信のための有識者懇談会」も立ち上げた。 が、総理の外交の選択肢を狭めることがないように、全体のバランスを考えながら進めて来た。 これからも領土担当大臣としての発信は、慎重にやるつもりだ。 上記のことを前提に、今日のブログを書かせてもらう。 領土・主権に関する内外発信を担当する閣僚として、言うべきことは言わねばならない。

 中国共産党の機関誌である「人民日報」が、8日付けで「歴史的に未解決の琉球(沖縄)問題を再び議論出来る時が来た」という論文を掲載した。 さらに、同日の記者会見で、中国外務省の副報道局長が「琉球と沖縄の歴史は学術会で長く関心を集めてきた問題だ」と発言した。 これには、本当に驚いた。 というより、一瞬、耳を疑った。 

 そりゃあ、そうだろう。 人民日報の主張は、中国政府の見解そのものと言っていい。 その人民日報に掲載された今回の論文とそれに続く中国政府の発言、すなわち、「沖縄が日本の一部であることを否定するかのような姿勢=沖縄の領有権が中国にあると示唆する発信」は、筋違いとしか言いようがない! 領土担当、沖縄担当大臣として、断じて容認出来ない!(怒) 極めて不愉快だ。

 昨日の定例記者会見(閣議後会見)で、この問題を取り上げた。 いつもは柔らかい表現を心がけているが、さすがに、こう言わざる得なかった。 「断じて看過出来ない!(沖縄の領有権まで持ち出す)中国政府のセンスを疑う!!」と。 学術会の一部にそうした意見があるとしても、これまで中国政府が「沖縄の領有権をほのめかす」ようなことを言ったことは一度もない。 日本政府を牽制する狙いがあったとしても、明らかに行き過ぎだ。

 日本政府は、外交ルートを通じて(引き続き)厳しく抗議するべきだ。  同時に、国際社会に向かって「中国が沖縄の領有権にまで言及している」ことを発信する必要がある。 来週、第2回の「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」がセットされている。 テーマは尖閣をめぐる問題。 日本政府としてどう対応すべきか、しっかりと議論したい。

 
山本一太オリジナル曲「素顔のエンジェル」「マルガリータ」「かいかくの詩」