2013年2月21日:パート3

 2月20日の参院予算委員会。 武見敬三氏に続いて質問に立った自民党の古川俊治氏からも、科学技術分野(総合科学技術会議の機能強化問題)についての質問があった。 力強いエールだった。 質疑の議事録(全文)を掲載する。
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2月20日 参議院予算委員会 (自)古川俊治議員
質疑録<抜粋>

(古川俊治議員)続きまして、自由民主党の古川俊治から質問させていただきます。アベノミクス、大変効果が出ていると認識しておりますけれども、円高是正、その効果というのも限界がございますし、国債を伴う公共事業投資も繰り返せるわけではないと。やはりこの予算委員会の議論でも出ておりますけれども、このアベノミクスによる日本経済の再生、そこで一番重要なのは、やはり経済成長戦略であるということになると思います。成長戦略を考えた場合に、規制改革とか減税、これは現在ある産業競争力を、潜在的なものを引き上げていく、これは可能だと思います。

 これも大事ですけれども、一番大事なのはやはりイノベーションの創出、これは第一次安倍内閣の時にも一番の課題でございましたけれども、イノベーション創出の体制を、仕組みをいかに作り上げるか、これが重要だと考えております。そこで、科学技術について、ちょっと考えてみたいですけれども、日本の科学技術政策、これはですね、長い間、司令塔の不在、あるいは、省庁の縦割り、その弊害がよく言われてきました。総理も1月25日に、第1回産業競争力会議の議論を経て、総合科学技術会議の司令塔機能の抜本的強化、このことに言及されているわけでございます。

 ただ、確かにこの総合科学技術会議、なかなかリーダーシップがとれない。このご指摘がございましたけれども、実は、法的な枠組みとしては、経済財政諮問会議と、内閣府設置法において同列の立場にございます。なぜ経済財政諮問会議があれだけのリーダーシップを発揮できたのかと言うと、総理自らが非常に頻繁に開かれるんですね。総理自らがそこに出席して、リーダーシップを自らとられると。これが非常に大きいと聞いております。

 第一次安倍内閣の時、経済財政と科学技術という違いもありますけれども、経済財政諮問会議は31回、総合科学技術会議は持ち回りも含めて、持ち回りが1回あって、10回ということでございますから、差があるわけですよね。法律上同じ部類ですから、総理の関与の仕方、意識の持ち方で、相当このリーダーシップが実質的には変わってくると考えるのですが、総理の考えを伺いたいと思います。

(安倍総理大臣)確かに今、委員がご指摘された点、それが極めて重要だろうと思っております。経済財政諮問会議と比べて、開催頻度も少なく、結果として、総合科学技術会議を中心に、科学技術立国としての日本の戦略をどんどん進めていくという機能は、今一つ機能が発揮できていなかったというふうに、認識しております。
 
 そこで、先般の、日本経済再生本部において、「科学技術・イノベーション立国を実現するため、総合科学技術会議の司令塔機能の抜本的な強化を図ること」を、山本大臣、担当大臣でありますが、対して指示をしたところでございまして、今後私のリーダーシップのもとに、そして、山本大臣を中心に総合科学技術会議の司令塔機能、しっかりと機能を発揮するように、再活性化をしていきたいと考えております。

(古川俊治議員)有難うございます。総合科学技術会議に関しては民主党政権下でも法律の改正ということが考えられておりました。しかし、そこには議員の人数を増やすということや、有識者議員の任期を延ばすと。あるいは目的にイノべーション加えるということ、非常に形式的な議論だという気がするのですが、山本大臣、いかがでしょうか。

(山本大臣)ご質問有難うございます。総理にもおっしゃっていただきましたけれども、この間の産業競争力会議で、「抜本的に機能強化をして欲しい」と、ここまでの指示を頂きました。当然、総合科学技術会議は開催の頻度を増やして、総理にも積極的に出ていただこうと思っています。

 しかし、他方、今、委員のおっしゃったように、総合科学技術会議の機能強化は非常に必要だと思います。法改正も含めて。実は事務局と何度もブレインストーミングをやりまして、5つか6つの案をつくりました。それぞれ一長一短あるのですが、私の感覚として言うと、例えばやはり、あとでFIESTの議論も出てくると思いますが、総合科学技術会議として、きちっと裁量として戦略的に配分を決められる予算は、あったほうがいいのではないか。それが400億円か500億円か分かりませんけれども、当然この予算を確保するときには、人員もつれてこなければいけないと思うのですが、その予算をしっかり確保して、司令塔機能を強化する、他省庁との連携を強化していくという方法は一つの方策として考えられるのではないかと思っています。

 いずれにせよ、総理にここまでバックアップしていただいていることですから、解散で結局廃案となった設置法みたいな中身では無くて、申し訳ないですけれども、もっと踏み込んだ中身で法改正するのであれば、前向きに、積極的に改革を検討していきたいと思います。以上です。

(古川俊治議員)有難うございます。今、山本大臣からお話があった、世界最先端の研究開発支援プログラム「FIRST」、これは麻生政権の時に2700億という、だいたい科学技術予算の7%近くを官邸主導、そして総合科学技術会議がまさに主導をして決めていくというシステムで、プロジェクトまで全部認定をしたという事例でございます。

 で、それが山中教授のノーベル賞受賞をはじめ、非常に成果が上がっているということでございまして、先日の産業競争力会議の中においても、FIRSTの後継プログラムを作ってほしいと民間議員からはっきり出ているわけです。で、そうした大きな予算を、かつ、重要なのは、総合科学技術会議が仕切って、しっかりプロジェクト単位に落としていくこととともに、基金化をしたということが大きいのです。

 それで、この基金化が考えますと、単年度予算・単年度主義の原則には反するかもしれませんが、予算が単年度だから、科学技術も単年度でなければならないというのは不合理なわけですよね。ところが、財務省がなかなか「うん」と言ってくれない、という事情を聞いて、伺っているのですが、麻生財務大臣、いかがでしょうか。

(麻生財務大臣)ご指摘のFIRSTのプログラムというものは、リーマンショック直後でもございましたので、深刻な経済状況に対応するために、平成24年度の補正予算におきまして、異例な取り組みをやったと記憶しております。

 厳しい財政事情のなかで、数年度にまたがって、いわゆる「あらかじめ基金を積んでおいて」というやり方に関しまして、当然のこととして、なかなか難しいところだったと記憶しておりますが、いずれにしても、2700億円を積ませていただいたのですが、翌年、確か「仕分け」とかいう当時流行った言葉がありましたけども、あれで1500になりましたかね。ばっさり切られて、また後で復活されていましたが、何のために切られたのかさっぱりわからなかったのですけれども、いずれにいたしましても、ご指摘のような科学技術といったようなプロジェクトの話というのは単年度というのは、なかなか適していないのだと私はそう思っていますので、複数年度を見通してある程度安定的な研究資金を確保するという点はすごく重要なことなのだと、私はそう思っております。

 いずれにしても24年度のこの補正予算では出資を活用した新たな産学実用化研究開発事業であります官民イノベーションプログラムに1800億円というような形でやらせていただいて、25年度の予算では、研究開発法人の運営費交付金などを活用させていただいて、長期的かつ安定的な研究資金の確保といったようなことを、今手当を講じているところであります。

 いずれにしても、この科学技術のプロジェクトの場合は、どれが良いのかというのが我々にはよくわからない部分がありますので、これの選定の仕方というのが大変重要だろうと思いますので、今後の総合科学技術会議などにおいて、この点につきましてはよくよく検討の上、ご決断をいただければと思っております。

(古川俊治議員)有難うございます。では、山本大臣、基金化、短くお願いします。

(山本大臣)今、麻生財務大臣から大変前向きの御答弁をいただいたので、すかさず申し上げますが、今のFIRSTは30課題があるのですが、これと別に後継プログラムを考えてほしいというのは産業競争力会議でもいろいろ委員から意見が出ていますので、今の財務大臣の御答弁も踏まえて、積極的に、これについても取り組んでいきたいと考えています。以上です。

(古川俊治議員)有難うございます。ぜひぜひ財務大臣、自分が総理の時にはおやりになった、だがその立場が変わると変わるという対応は無しにして、しっかり基金を付けていただきたいと思います。成果が上がっておりますので。
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 公明党の山本香苗氏との質疑の模様は、次回のブログで紹介する。


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