2012年9月21日:パート3

 昨日、党本部から議員会館に戻る途中で、青年局に所属する某若手議員と遭遇。 自分と異なる候補者を支持しているその議員(絶対に名前は漏らさない)が、こう言った。 「一太さん!少し前に、自民党の支持率がちょっとだけ上がった時期があるんです。あの森元総理が引退を表明した時なんですよね。国民は、長老の顔が全面に出て来るのを嫌がっている。一太さんの言う通り、総裁選挙が長老の思い通りになったなんて言われたら、自民党はもうダメです!」

 「うん!00さん、そこは全く同じ認識です。共通の思いは、しっかり持っておきましょう!」と返事をしておいた。 総裁選が決戦投票まで行った場合、若手議員の多くは、自らの意志で1票を投じるだろう。 そのことを確信した。

 さて、近い将来、総理になる可能性が十分にある次の自民党総裁に誰が最もふさわしいのか? 判断のポイントは、幾つかある。 たとえば、「リーダーとしての覚悟と決意(=政策実現力)」「外交・国防分野の実績(=危機管理能力)」「政治家としての経験」だ。

 今回、総裁選に立候補した5人は、それぞれ政策に精通している。 が、明確な政策ビジョンを持っていることは、もともと不可欠な条件だ。 次の最大野党の党首、いや、総理大臣に必要なのは、細かい政策の知識なんかではない! 国難に立ち向かう覚悟と決断力だ。(キッパリ) 自分はそう思う。

 覚悟と決意という点で、安倍元総理に優る候補者はいない。 過去にあれほどの挫折を経験し、国民に大きな失望を与えたのだ。 「前回、政権を放り投げた責任を感じていないのか?!」「あれだけの失敗をしたのに、カムバックが早過ぎる!」「体調を崩して途中で辞めた人に、総理の激務が務まるのか?!健康は本当に大丈夫なのか?!」 

 安倍候補は、そうした厳しい批判や反発に晒されることを承知の上で、総裁選への出馬を決断した。 悲壮なまでの決意だ。 「何と言われようと仕方がない。批判は甘んじて受ける。が、日本の危機的状況を目の当たりにして、じっとしているわけにはいかない。これまでの経験を、もう一度、日本再起のために役立てたい。もう一回、命がけでこの国のために尽くしたい!」 安倍氏は、その一心で戦っている。

 安倍元総理の突然の辞任は、あまりに衝撃的だった。 そのことで、世の中では、「ひ弱なお坊ちゃん政治家」というイメージを持たれている。 が、しかし、首相としての決断力は確かにあった。 実際、1年という短い在任期間のうちに、教育基本法を60年ぶりに改正し、防衛庁を防衛省に格上げし、憲法改正のための国民投票法や公務員制度改革法を成立させた。 総理自身に、様々なハードルを乗り越える決意と行動力がなかったら、とても実現出来ない政策ばかりだ。

 総裁選街頭演説会で、5人の候補者の演説を聴く度に思う。 カッコいいことを言うだけなら、誰だって出来る。 要は、既得権益や反対勢力と戦って、自らの政策を実現する力があるかどうかだ。 頭の中で、イメージしてみる。 「この候補者がトップに立ったとして、必要な政策を推し進める突破力があるだろうか?困難を突き破る行動力があるだろうか?」と。 

 政治家になったばかりの頃、各部会で持論の政策を雄弁に、論理的に語る若手政策通の先輩議員たちに憧れた。 最初はキラキラして見えた彼らが、族議員に一喝されて黙り込んでしまう場面を何度も目撃した。 政治の本質を見せつけられた気がした。 なぜだろう? 最近、よくあの当時のことを思い出す。

 政治のトップリーダーには、ある種の「情念」(激情)が要る。 総裁選候補者の演説や討論を通じて、その「情念」を感じさせるのは、安倍候補と石破候補だけだ。 そして、どう見ても、退路を断って2度目の挑戦に踏み切った安倍晋三元総理の「言霊」が、他の4人の候補者を圧倒している。 誰よりも強い「情念」と「使命感」を持っている証だ。

 あ、お湯が沸いた。 ミルクを一杯入れた紅茶を飲もう。 この続きは、「なぜ、もう一度、安倍晋三なのか?!:その3」で。

 
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