2012年9月18日

 午前6時過ぎ。 神戸市内のホテルで目が覚めた。 尖閣問題が緊迫している。 中国の漁船団1000隻が、今日にも尖閣近海に押し寄せる可能性がある。 加えて、柳条溝事件(満州事変)の起きた今日、60近くの都市で、反日デモの呼びかけが行われている。 

 こうした状況を受け、午後の自民党総裁選挙は中止になった。 正しい判断だと思う。 5人の候補者を含む「総裁選チーム」は、昼過ぎの列車で東京に戻る。 5人揃って、夕方の外交部会に出席するとのこと。 自分も同じ会議に出る。

 さて、昨日のブログで、愛知・滋賀・大阪の演説会では、安倍候補が一番人気だったと書いた。 これはひいき目でも何でもない。 演説のインパクトも、候補者に対する聴衆の反応も、安倍候補と石破候補が競っていた。 が、2人のうち、どちらのアピールに対する拍手が多かったか、どちらの候補者に対して、握手や写真撮影を求めて駆け寄って来る人が多かったかと言えば、安倍候補が石破候補を上回っていた。 他候補の応援に来ていた同僚議員も、同じ感想を述べていた。

 5人の候補者の演説は、それぞれ説得力があった。 が、しかし、聴衆の心を最も揺さぶったのは、明らかに安倍氏と石破氏のメッセージだった。 どの会場でも、この2人が突出していた。 特に、安倍候補の演説には、「言霊」があった。 毎回、演説のボルテージが上がった。 体調は万全だ。 気迫も、声量も、他の候補者を凌駕していたもの。 演説の途中で、何度も拍手が沸き起こった。 

 安倍晋三元総理は、「あの時、政権を放り出しておきながら何だ!あれから日本の政治はおかしくなった!」「もう一度、手を挙げるのは早過ぎる。反省が足りない!」「また同じことを繰り返すのか!」といった厳しい批判や反発を覚悟の上で、やむにやまれず総裁選への出馬を決断した。 悲壮な決意だった。 演説では、必ず「国民の皆様へのお詫び」を口にする。 国民の気持ちを考えれば、当然ことだと思う。 

 にもかかわらず、あれだけの挫折を経験した元総理に、(依然として)これだけの人気が集まる。 演説をすれば、5人の候補者の中で聴衆から最も大きな支持を受け、移動中には、多くの人たちが握手を求めて駆け寄って来る。 「安倍さん!頑張ってね!」「握手してください!」「一緒に写真撮ってもいいですか?」と。 

 普通の政治家があんな辞め方をしたら、そこで政治生命は終わりだ。 が、今でも、こんなに大勢の人々が安倍元首相に声援を送り、再登板を期待している。 これほど多くの国会議員が、「ちっちゃな奇跡」を実現しようと、奔走している。 

 え? 総理としてのカムバックがいかに難しいかは、皆、最初から分かっている。 すなわち、安倍陣営には「とにかく勝ち馬に乗ろう」みたいな根性の人間はいない。 逆に言うと、だから強いのだ。 最後まで、絶対にあきらめない!!

 やっぱり、安倍元総理には、人を惹き付ける「何か」があるのだ。 そうとしか思えない。 終日、安倍候補に同行しながら、改めてそう感じた。 突然の総理辞任劇から5年。 政治家・安倍晋三は、失敗を経験して、より深く、強く、優しくなった気がする。

 あ、そろそろ朝食の時間だ。 食後の紅茶を飲みながら、ブログの続きを書く。  


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