2012年6月4日:パート3

 野田内閣の今回の改造人事で、事実上、更迭された田中防衛大臣の後任として、森本敏・拓殖大学大学院教授が抜擢された。 民間人が防衛相に起用されるのは、初めてのことだ。

 森本教授は、言わずと知れた安全保障分野の専門家。 防衛問題に関する森本氏の豊富な知識や幅広い見識は、万人の認めるところだと思う。 人柄もいいし、アカデミシャンとしては尊敬出来る人物だ。 にもかかわらず、「森本防衛大臣」の一報を聞いて、一瞬、耳を疑った。 強い違和感を覚えた。

 あちこちで指摘されているように、日本を取り巻く安全保障の環境がこれほど緊迫しているこの時期に、「民間人をわざわざ国防の責任者に任命する」のはなぜなのか?! 野田首相のセンスが、全く理解出来ない。 まるで、民主党には「防衛大臣の務まる政治家がいない」と言っているようなものだ。

 だいいち、選挙で選ばれた国民の代表ではない森本氏が防衛大臣を務めるということ自体、シビリアンコントロール(文民統制)の原則を逸脱しているのではないか? 防衛庁発足以来、民間人の防衛大臣が1人も出ていないことには、ちゃんと理由があるのだ。 石破茂元防衛大臣の「政治家でもないのに、どうやって責任を取れるのか?」という発言も、そのとおりだと思う。

 過去6ヶ月、参院予算委員会の集中審議や外交防衛委員会において、佐藤正久氏(ヒゲの隊長)が質問に立った時には、必ず田中防衛大臣を守るための「佐藤シフト」なるもの(防衛官僚が大臣を取り囲む現象)が出現した。 なるほど、森本防衛大臣なら、ヒゲの隊長の追及に対して「ピント外れの答弁をする」ことはないだろう。 それでも、理論と実際の政策は違う。 しかも、防衛大臣は、沖縄との交渉の責任者でもある。 森本大臣の対外交渉力や政府内調整力は、全くの未知数だ。

 参院予算委員会における森本大臣との対決を、頭の中でシミュレーションしてみた。 申し訳ないが、防衛大臣はかなり苦労する気がする。(苦笑) 

 あ、お湯が沸いた。 熱い紅茶を一杯飲んでから、ブログの続きを書く。  


直滑降レポートを応援していただける方は、blogランキングへ

山本一太オリジナル曲「マルガリータ」「素顔のエンジェル」無料配信中!