2012年3月25日:パート2

 その1では、参院自民党が「予算委員会の質問バッターを戦略的に人選するようになった背景」を解説した。 その2では、質問者を決める仕組みについて、具体的に説明したい。

 参院予算委員会の審議には、大きく言って次の3つのタイプがある。 予算委員会の口火を切る各党一巡の「基本的質疑」(総括質疑)、テーマを決めて質疑を行う「集中審議」、あらゆる問題を議論出来る「一般質疑」だ。 ちなみに、総括質疑は、野球で言うと公式戦の開幕試合、その総括質疑のトップバッターは、「開幕投手」みたいなものだ。(笑)

 この3つの基本パターンに、予算委員会の審議を他の特別委員会や常任委員会に委嘱する「委嘱審査」と、予算案の採決前に行われる「締めくくり総括質疑」が加わる。 さらには、予算委員会で、参考人招致や証人喚問が実施されることもある。

 総括質疑と集中審議には、通常、NHKの中継(テレビとラジオ)が入る。 その他の審議は、(テレビの生中継はないものの)ネット上では、オンタイムで流されている。

 総括質疑と締めくくり総括質疑には、総理を含む全閣僚が出席する。 集中審議には、「総理+財務大臣+テーマに関連した閣僚+質問者が指定する大臣」が登場する。 たとえば、来週月曜日の「外交・安保等の集中審議」には、野田総理、安住財務大臣、玄葉外務大臣、田中防衛大臣+指定大臣が顔を揃える。

 参院予算委員会の審議のうち、テレビ中継の入らない一般質疑や委嘱審査、締めくくり総括質疑は、委員等の要望も聴きながら、自民党の理事が相談して決める慣習になっている。 ちなみに、質問の希望を受けつける窓口は、礒崎陽輔理事にお願いしている。 今国会の一般質疑では、礒崎理事の判断もあって、多くの1期生議員に登板の機会を与えた。

 一般質疑は、片道方式(質問者の発言時間だけがカウントされる)の3倍計算。 閣僚から、じっくりと答弁を引き出すことが可能だ。 特に、採決前の「締めくくり総括質疑」は、(テレビは入らなくても)総理を含む全大臣が答弁席に座る。 一般質疑も、戦略的には極めて重要な舞台だ。

 これに対して、NHK中継のある「いわゆるテレビ入り審議」の質問者は、参院幹部と現場(筆頭理事)の会議で、その都度、議論して決めるシステムになっている。 この仕組みについては、その3で。 

 
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