2011年10月30日:パート2

 午後10時過ぎ。 東京の部屋でパソコンの電源を入れた。 あ、お湯が沸いた。 熱い紅茶を入れて、と。 ああ、苦い! この味を噛み締めながら、前回の続き(その15)を書く。

 中曽根議員会長が特別総会に提案した「新たな役員人事案」は、出席者全員による投票で否決された。 11票差の惨敗だった。(ふう) その時点から、「完全敗北の人事」に至る過程でも、いろいろな出来事があった。 が、そのことはもう、ゴチャゴチャ書かないことにする。 中曽根会長が「何があっても3年の任期は全うする」と決めた時点で、事実上、溝手幹事長を拒否する術はなくなった。 以前のブログにも書いたが、それはそれでひとつの選択肢だと思う。 溝手幹事長を受け入れたとしても、政審会長と国対委員長はそのまま留任するだろうというのが、大方の見方だった。

 もう後のない「3度目の特別総会」の日程が決まった。 その前日(前々日?)、高崎駅のホームに向かう階段を上がったところで、携帯電話が鳴った。 中曽根議員会長からだった。 早口でこう言われた。「あ、一太さん!申し訳ないですが、やっぱり、政審会長は代わってください!自民党の本部人事も固まったようだし、谷垣総裁も心配しているし、いろいろな意味でもう限界です!」 その時、会長が1人だったのか、それとも側に誰かがいたのか、それは分からない。

 「私は依然として納得していません。でも、議員会長がそうお決めになったのなら、そうしてください!」と答えた。 「ところで、私の後任は、どなたを考えているんですか?」と聞いてみた。 中曽根会長は、「まだ決まっていない!」とハッキリ言った。 心の中で、「それはあり得ない」と思ったが、それ以上は聞かなかった。 電話の声が、「一刻も早く電話を切りたい」というトーンだったからだ。

 正直言って、このやり方にも、ちょっぴり傷ついた。 「いくら会うのが面倒でも、1対1で話すのが嫌だったとしても、電話1本で済ませる話だろうか?」と思った。 とても、情けない気持ちだった。(ため息) 中曽根議員会長との短い会話が終わった後、すぐに世耕弘成氏に電話を入れた。 中曽根会長とのやり取りの一部始終を報告した。 「役員人事をめぐる動きについては、頻繁に連絡を取り合おう。包み隠さず、情報を共有しよう」と約束していたからだ。 「うん!驚いた。それと、後任の政審会長はまだ決まっていないって!」

 しばらくすると、今度は、世耕氏から電話がかかって来た。 「私のほうは、会長から00と言われました。え?一太さん、まだ聞いていないんですか?!後任の政審会長は町村派の岩城光英さんだと会長から聞きましたよ!」 TBSの「サタデーずばッと!」の漫画パネル風に言うと、「ガーン!」という感じだった。 この時だけは、悲しかったというより、悔しかった。 噂は聞いていたが、全く知らされなかったことが、本当に悔しかった。(HOLD YOUR HORSES!)

 最後の特別総会は、淡々と進められた。 溝手幹事長、岩城政審会長、脇国対委員長という人事案が示され、拍手で了承された。 異論は一切、出なかった。 心なしか、3派の人々に「勝ち誇った感じ」はなかった。 笑顔を見せるひともいなかった。 沈鬱なムードだった。 総会の後、参院担当の記者たちが、次々にやって来て同じことを言った。 「いや、山本政審会長が外れたのは意外でした。当然、残ると思ってました。3派の中に、そんな雰囲気はなかったけどなあ???」

 この内幕シリーズは、次回で終わりにしたい。 最終段階で人事がどう動いたのかは、間もなく判明するだろう。 欠けていたパズルは、すぐに見つかるはずだ。 でも、真実は、中曽根議員会長の口から聞きたかった、な。(ため息X3)

追伸:中曽根会長から意見を求められて、「小坂幹事長の交代を進言した」件で、ひとつ言い忘れていたことがあった。 自分は、中曽根会長にこんなことも言った。 

 「中曽根会長、私と世耕さんの分析だと、現執行部の留任という同じ人事案で特別総会を正面突破するのはかなり大変だと思います。万一投票になったとしても、厳しい勝負になる気がします。さらに言うと、どちらが勝ったとしても、内部対立は決定的なものになるでしょう!」

 「普通に考えれば、小坂幹事長に交代していただくしかないと思います。が、それでも、中曽根会長が、『小坂幹事長抜きの中曽根体制は考えられない』『小坂幹事長を外したら改革路線は頓挫する』と確信しておられるなら、小坂幹事長続投のためには決定的な対決も辞さないと考えているなら、そう決断してください!このまま突っ込めと指示してください!私は何があっても、最後まで一緒に行きますから!そうすれば、自分にも世耕氏にも火がついて、皆と力を合わせて戦う態勢を作れると思います。方向が定まらないと、我々も動きようがありません!」と。

 残念ながら、中曽根会長は、どちらにも舵を切れなかった。 最後まで、悩み苦しんでいる様子だった。 もっとハッキリ言うと、小坂幹事長の続投に異論が噴出して最初の人事案(現執行部留任)が退けられた後、「何があっても小坂幹事長を死守する」という覚悟や迫力は、中曽根会長から伝わって来なかった。 これも、山本・世耕コンビの共通認識だ。
 
 今回のことで、「政治家にとって決断がいかに重要か」を(改めて)思い知らされた。 執行部にいながら「その決断」を促せなかった自分自身の無力さ、真意を打ち明けてもらえなかった自らの不徳には、本当に怒りを感じる。(ガックリX10) 


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